で、放課後凛と和樹の特訓、一応無傷にこの場に到達できたから無事逃げおおせたのだろう、こんな事を態々明記しなければならないのが僅かに和樹の苦労を表しているだろう。
特訓と言っても別段特別なことをするわけではない。
和樹と凛の長所を議論し互いに欠点を補う形にすればいい、少なくとも相手の速度がこちらを超えているのだから攻撃される死角を消すように立ち、凛がメイン、和樹がアシストという役回り。
基本的に相手は無手なのだからリーチの長い武器をメインにして、和樹のナイフで牽制また、防御を行うというスタンスを取り、それにあわして凛と模擬戦をしたりイメージトレーニングをする。
基本的にアルがいないと和樹の戦力は正面から戦うなら凛と変わらない、少なくともまともに戦えば、しかも魔法が使えない分、不利でさえある。
といってもお互い信頼しているので案外すぐに戦力は上がっている、互いのコンビネーションがうまく噛み合っているので、相手に対して攻撃を止めない、その為反撃を食らう恐れが低い。
相手が何者であろうと、反撃に出るのは攻撃の後だ、連撃を続ける限り反撃には移り辛い、強引に反撃に転じても反撃を受けていないほうを無視するわけにはいかないから、どうしても反撃も軽いものになってしまう。
二対一なのだから、攻撃を止めずに続ければ勝機はあるだろう。
唯一の問題は人狼と人間のスタミナ差の問題だから、持久戦に持ち込むわけには行かないからある程度制約も多いが、これが作戦の大まかなところではあったが。
そんなこんなで既に日没、というか既に真っ暗、全身から汗を噴き出させ、運動で頬を紅潮させた凛が礼を述べる。
「式森先輩、今日はありがとう御座いました」
この子そういえばキャラの中で一番礼儀正しいのでは、名家のお嬢様だし、武道家でもあるのだから。
そしてこれは礼のついでだろうか。
「で、その式森先輩、お付き合い願ったお礼として、私の部屋でお茶でもどうですか」
凛にしては勇気を振り絞ったのか、耳まで真っ赤になっている勿論これは運動の好調ではあるまい。
それを和樹が断るわけもなく、というかこのとき和樹の眼は妙に怪しかった、というか何かを期待しているというか、獲物を見つけた猟師の目というか、ついでに凛も何かを期待するような眼で時折隣を歩く和樹の様子をチラチラみていましたとさ。
どうやら和樹君は強引に迫られるのは苦手なようだが、控えめに迫られるのはOKらしい。
和樹君、基本的に攻めだしね、何が攻めなのかは言及しないが。
で、数十分後、凛の部屋。
「式森先輩、そのそんな所見ないでください、恥ずかしいです、そんな摘まないで」
お茶はどうした、お前ら。
それに薄暗闇の中で布団をしいて何をしている、まぁ、ナニだろうが。
「凛ちゃん、どう気持ちいい、ほら、ここは」
「式森せん・・・・、そこ、駄目で、そんなとこ・・・あっ、あああああっ、やめ・・・・」
「その、こうですか、んっ、ぴちゃ、ぴちゅ、ぴちゃ、んんっ・・・・・・・・・・・・・・」
「上手だよ、凛ちゃん、もっと頑張って」
凛ちゃん、何時からそんな子になっちゃたんだい、和樹のせいだろうが。
「式森先輩、ダメエエエエェェェ、そんなに・・・したら、私・こわれ。あっ、くっ、もっと、ゆっくり、んんんんんんっ、もっともっと、キスして下・・・さいもっと、お願い・・・・・・・」
「はあっ、そん・・な、上でなん・・・・・・・ああっ・・、モウダメェ。
何か来る、何か・・・・・・・・・・もう、ああああああっ」
と謎な嬌声が上がり、終わったとき恍惚とした凛が裸で、何故か和樹に抱きしめられて幸せそうに寝息を立てていた。
凛が目覚めてから、と言っても凛は裸のままだったので布団に潜り込んで、顔だけだしながら和樹を見送り。
その後部屋の中で行為を思い出したのか悶える様に体をくねらせたり、和樹の名前を呟いたりと少しばかり傍目には怖い様子で余韻に浸っていたという。
で、凛の部屋、朝霜寮を出た和樹君、自宅に向かっている道すがら。
何で男子の和樹が女子寮から出てきて見咎められないとか言う話は置いておいて、帰り道には和樹の食糧配給所、もとい喫茶店チャペルが存在しているのだが。
ここまで書けば大体判りそうなものだが、未だ誤解を解いていない、あながち誤解ともいえない気がプンプンするが、そんな女性が一人いた、因みに麻衣香は捨て置く方針という事で、どうせ現在監視されて何も出来ないわけだし
で、和樹がチャペルを通りかかった瞬間、何か人知を超えた方法でライカが和樹の前にいた、唐突に突然に何の前触れも無く、絶対に一秒前には其処にいなかったはずなのに。
まぁ、この人は何かとんでもないことが簡単に出来そうな気もするが、根拠は全く無いが。
なんとなくそう感じる、どこかの割烹着の悪魔のように(このネタ分かる人いますかねぇ)。
で瞬間移動でもして現れた当のライカは俯いたまま妙な気配を和樹に叩きつけつつ沈黙を持って其処に存在している、和樹としては意図が判らないので怖いことこの上ない。
何となく昨日のアルと雰囲気が似ているので、その辺から何か感づけるかもしれないが、感ずいたら感ずいたらでそれはそれで自分の未来を予知するみたいで不幸だろうが。
因みに和樹はベッドの上ではライカの上に君臨しているが普段はライカの性格ゆえかライカに頭が上らない、大体はツケのせいだろうが、なんとなくライカの年長者といった雰囲気は和樹には逆らいがたいらしい。
「マスター、何か用。こんな時間に」
何とはなしに声を掛ける和樹、沈黙に耐えられなかったかもしれない。
「マスターじゃありませんライカさんです」
ボソッと呟く様に和樹の質問には答えずに呼称の訂正を求めてくるライカ、このやり取りはもう定型句なのかもしれない、態と和樹がライカの呼称をマスターにしているだけなのだが、なお、理由は不明。
そして再び対峙するライカと和樹、高校生と金髪の豊満な美女、しかも周囲は既に真っ暗、かなり変な光景である、目撃者がいないことが救いだろう。
恐らく店の評判が悪くなる、いろんな意味で。
沈黙が破られたのはライカが取り出した一枚の紙、それを和樹の目の前に突き出した。
瞬間、和樹の体が凝固し震える手でその紙を受け取る、その瞬間、確かにライカの口元は歪んだと明記しよう、悦びを彩った形に唇が歪んだのだ。
「マ、マ、マ、マ、マスター、これは・・・・・・・・・・・」
「ライカさんです。因みに内容はそれに書いてあるとおりですよ、和樹ちゃん」
やっぱり即座に訂正するライカ、因みに和樹に渡した紙、数字やら文字やらが色々記述されていたが、端的に述べると。
請求書である。
しかも額面が、五十万円ぴったりになっている、前話では確か七万ちょいだったのに、勿論和樹が最も恐れるものであろうが、この額面がどういう経緯で付いたのか気になる。
勿論、その額面に抗議の声を上げる和樹、確かに上げたくなるだろう四十万も何故か上乗せされて請求されているのだから。
「マスター。この五十万円って言うのは、其処まで只メシを食べた覚えが」
「利子です。因みにライカさんです、いい加減に直しなさい」
突っ込みは忘れないようだ、だが利子にしては暴利だ。
「あの・・・元金の何倍・・・・・・」
「迷惑料です」
和樹の抗議は一言のもとに潰される、元々そう強い発言権などライカに対して和樹は持ち合わせていないが。
「えっと・・・・・・」
「慰謝料です」
「・・・・・・・・・・」
再び始まる沈黙、先程よりもかなり痛い沈黙である、和樹は視線を請求書とされる書類に目を落とすしかなく。
再び沈黙を破ったのもライカだった。
「こんな道端でお話しするのもなんですから、お店でお話しましょう。ちゃんと説明してあげますからねぇ」
和樹にその申し出に対する拒否権は無かった、ライカに手を引かれてチャペルに入る和樹の後姿が手錠を掛けられた罪人の後姿に見えたとか見えなかったとか。
で、チャペル内で、ライカが俯いていた顔を上げて口上を始める、上げた顔は何やら怪しい笑みを湛え、その笑みに和樹はなにやら嫌な予感がするも、請求書が目の前に有る為逃げることが叶わない、何と無く逃げたら額が上っていそうだから。
因みに両者の前にはコーヒーが置かれているのは喫茶店を経営しているライカの意地らしい、どんなロクデナシでも店の中にいる間はお客様、最低限の御持て成しと。
大した客商売のプロ根性である、結果として一応お客(金を払わないので客としては微妙なのだが)である和樹に何も出さないと言うのはプライドが赦さないらしい。
「和樹ちゃん、お姉さんにとってもかなり遺憾なんだけど、断腸の思いで和樹ちゃんにお金を払ってもらおうと思うの。まぁ、社会の底辺を這いずり回る和樹ちゃんの収入じゃ難しい金額かもしれないけどちょっとお金を払ってもらったほうがいいと思ったから。だからさっさと払ってロクデナシ(ハート)」
毒舌+金銭請求、ライカ、和樹を憤死させたいのだろうか。
「・・・・・・・・・・・・・・迷惑料と慰謝料と言うのは何でしょうライカさん」
聞かねばならないことを質問する和樹、呼び方は訂正したようだ、何となくこれ以上機嫌を損ねる行為をしてはならないと言う本能の叫びに応じて。
「ふぅ、お姉さん昨日ちょっと悲しいことがあったの。だから金額は気分で決めちゃったんだけど(オイ!!)。その悲しいことが和樹ちゃんのせいだからしょうがないし迷惑料はそれ、慰謝料はお姉さんを騙してご飯を食べ続けた分よ。ああああっ、こんなか弱い社会の荒波の中を生きるお姉さんを騙して只でご飯を食べ続けて、手篭めにしてお姉さんの豊満な体を貪る鬼畜な和樹ちゃん、でも騙された以上は取り返せばいいの何倍にもして。何か言い訳はありますか、和樹ちゃん」
ライカさん、貴女は何故その悲しいことと銘打って話す内容を嬉々として話すのですか、ちっとも悲しそうに見えませんよ、むしろ嬉しそう。
後言い訳は色々あるだろうが。
「・・・・・・・何時、騙しましたっけ。そりゃ普段からライカさんにたかってますけど」
ちょっとライカの様子に引きながら答える和樹、何か恐れ多いものでも感じたか。
因みに和樹はライカを騙してはいないと先に明記しておく、たかっているのは否定出来ないが、実際毎週最低二回くらいは食事配給して貰っているのだから、既に配給となっているのが微妙に和樹の情けなさを表しているが。
追記すると、和樹は仕事をして割りのいい収入が入ったときはライカにちゃんと支払っているからまるっきりただ飯を食っているわけでもない。
確かに支払いは数ヶ月に一度と言う他の飲食店にしてみれば喧嘩を売っている支払いペースだとしても、しかも支払っている金額も原価に近いのでかなり格安だ。
肉体関係は双方合意の上なので騙したわけではない。
「昨日ね、悲しいことがあったの」
物憂げに頬を傾けて悲しそうな仕草をするが笑顔だからまるで行動がチグハグだ、そのチグハグさが妙なプレッシャーを放っているのかもしれないが。
この人和樹を苛めている時天然なのか計算してやっているのか今一判断しづらい。
「それは聞きました。だから何かしましたっけ」
因みにライカが目撃したことなどちっとも気付いていない、悲しいこともライカの言う騙されたと言う言葉から記憶を探っているから判らない、この辺は本当に鈍感である。
「何てことなの、和樹ちゃん。判らないのですか。惚けるとお姉さん、赦しませんよ。罪に自覚が無いのは人として最低の行いです。幾ら人間最底辺の和樹ちゃんでもその辺は弁えている筈です、そう信じてます」
だから、笑顔で言わないでくださいってば。
大体、和樹君は既に女の子を何十人も囲っている時点で人類最低と銘打たれた人類の敵です(主に男性陣から)、最底辺を突き抜けて地中に潜っています。
故に判りません。
和樹が鋭くなるのは女の子が悲しんでいるとき限定です(特にアル)、ライカのように満面の笑みを湛えて(しかも本心から)、悲しいなんて言ってる人には和樹のセンサーは反応しないんです。
(私が上辺だけで悲しんでいるっていうんですか。この純真無垢なライカお姉さんの純真さを疑うなんて悲しいです。そんなことでは神のご加護はありませんよ、作者)注:戯言です。
「判らないの、和樹ちゃん。だったら赦しがたいけど説明してあげます。昨日お姉さんは悲しい現場を目撃してしまいました、それは非常に悲しい光景だったんです。こともあろうに和樹ちゃんはお姉さんの日々の努力を無に粉砕してくれやがったのです。日々和樹ちゃんの将来のお嫁さんになろうと餌付けをしようと頑張っているのに。そんな健気な努力家なお姉さんの目の前で、他の女の子、しかも年端も行かない少女(凛は傍目幼いので中学生ぐらいにしか見えません)と婚約しただなんて光景を見せ付けるだなんて。なんて酷い仕打ちなんでしょう。和樹ちゃんは鬼畜です、人でなしです、人類最悪です、お姉さんの体だけが目的だった淫魔です。だから心の傷を負ったお姉さんに慰謝料四十二万円です」
どうやら殆どが慰謝料だったらしい、でもライカ、貴女アルが婚約者だっての知ってたんじゃ、知ってって和樹と付き合っていたんでは。
後四十二万とはまた半端な金額だし。
まぁ、その辺の突っ込みは置いておこう、だがまだまだライカの口撃(誤字に非ず)は続く。
「大体、毎週かかさずにお姉さんのところにたかりに来ていたのはお姉さんのフラグを立てようと狙って来てたんじゃないの。毎週お姉さんとベッドを共にしては野獣のように体を貪りやがって、翌朝お姉さんは腰が立たないで大変なんですよ。それどころかもう止めてって頼んでもお姉さんのおなかの中に熱い子種を何回も・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかしたらおなかの中に和樹ちゃんとの天からの授かり物があるかもしれないのに和樹ちゃんお姉さんを蔑ろにして、だからお姉さんの心の傷に対する慰謝料を・・・・・・・・」
「ちょっと待って」
「何です、和樹ちゃん」
何やら男として物騒な発言を口走るライカに和樹が言葉を差し込む、ここは突っ込んでおかないと和樹の未来に関わる。
「ライカさん。ヤッタ時はいつも避妊(特定ゴム製品)していたんじゃ。それに普段からピル飲んでるって・・・・・・・・まさか」
因みにその特定ゴム製品はライカが用意したものである、なお和樹はその特定薬剤の存在を自分の目で確認したことは無い。
和樹のまさかには色々な意味合いがあるが、この推定される行為をされた場合もう男性諸氏は既に女性の手中に入っているとみなしていいので、人生の牢獄に入ることを諦めましょう。
世間は男性に拒否権を認めていません、多分。
無理矢理拒否権を行使した場合、最低人間の烙印が暫く付いて回ります、これも多分。
因みに作者のことではありませんのであしからず。
「あはー」
頬に指を当てて頭を傾げないでくださいライカさん。
だからそれはどこかの割烹着の悪魔だし、「あはー」じゃないし、しっかり返答してあげようよ、和樹君かなり焦りまくった表情していますよ。
「あはー。じゃなくて、ライカさん。病院に行きましょう」
ほら暴走していると言うか、鵜呑みにしている、もう少し疑って掛かろうよ和樹君、まぁ、君がそういう選択が出来る人間ならそんなにモテたりしないんだろうけど。
「あら、和樹ちゃん。お姉さんの旦那様になってくれるのかしら。この甲斐性無しの宿六学生」
芯から毒舌だなアンタ。
「そんな、旦那になるとかならないとか。子供が出来たんなら責任は取りますよ。ライカさんは大切な人なんですから。大体生まれてくる子供がかわいそうじゃないですか。だから先ず病院に行って検査してもらいましょう」
ライカに比べれば和樹君、君は女性関係はかなり鬼畜だが心根は真っ直ぐだよ、いやかなり、ライカの毒舌のほうはスルーしているけど。
「じゃあ、お姉さんも婚約者かしら」
はい、“も”に注目、“も”に。
「まぁ、そうなりますけど。だから病院行きましょう、付き添いますから」
この時ライカの表情はそれはそれは狡猾な笑みを浮かべていたと言う、心の中で。
表層では普通の笑顔、妊娠告知の時にする表情でもないがを保っていたが、その表情のまま、ライカが何の気負いもなく。
「和樹ちゃん。お姉さん病院に行く必要は無いと思いますよ」
サラリと言ってのけやがった、多くの読者は予想済みだっただろうが。
そして呆気に取られた和樹に近づき抱きしめて耳元で囁くように言葉を紡ぐ、この時ライカの顔がこのライカのお仕置きが始まって初めて笑顔以外の表情、僅かな羞恥と嬉しさが零れた表情が浮かんでいた。
「お姉さん。妊娠したなんて言ってないでしょう。お姉さん和樹ちゃんがお姉さんの事を大事に思っているか試しただけです。お姉さんだって和樹ちゃんのこと大好きなのに。和樹ちゃんの姉さんの前で婚約だとか、そんなことを言うんですもの。お姉さんも意地悪したくなります。でも和樹ちゃん。お姉さん嬉しいですよ、お姉さんも大切な一人だって言ってくれたんですから」
この言葉は嘘偽り無く本心だろう、結局なんだかんだ言ってライカは和樹が大好きで、和樹にライカは大切だと言って貰いたかったのだ、ただ其れだけ。
浮気者の女の子を一人に絞れない人間を好きになったが女である以上嫉妬は沸く、その嫉妬から出たちょっと性質の悪いお仕置き、実際はそんなところだろう。
「和樹ちゃん。ライカもこれからは和樹ちゃんの婚約者ですからね。忘れちゃいけません」
結局はこれが狙いだったんだろうね、自分も婚約者としての立場が欲しいっていう望み。
無論、手段はともかくその願望が添えほど間違っているものでもないのも事実だろう、大切な誰かをほんの僅かでも独占したい欲望は誰にだってあるだろうから。
これにて和樹を縛る強固な鎖が一本増えた結果になったのだが、このライカのお仕置きが終わった後この二人、和樹が拗ねたようにライカに文句をいい、ライカがそれを宥め。
その後なし崩しで謎の行為に発展するのだが、その辺は割愛する。
いい加減きりが無い。
で本日最後に和樹は家に帰るなり、アルにいつの間にか買ったのか(というかよくそんな金があったと心から不思議に思うが)シルバーリングを渡し、アルとの約束を果たした。
渡さないとかなり長期間に於いてアルの機嫌が悪いのは判りきっていたので断腸の思い出なけなしの貯金をはたいたのだろうが。
因みに帰るのが遅くなって機嫌の悪さは+αの状態だったのだがそんなものは吹き飛ぶように、アルは涙を流して喜んだ、本当に買ってきてくれるとは彼女は思っていなかったのだろう。
和樹と同居するアルが金銭事情などよく判っている、これがどれだけ和樹の決断を必要と仕方も理解している彼女にはこのプレゼントは和樹が自分を大切だと思っている証左になると正しく理解していたから。
だから彼女は涙を流しながら和樹の首にしがみ付き暫くはくっついて離れなかった。
この時点でアルは和樹の体に染み付いている女の体臭なんぞ気にならず、左手の薬指につけて、自分から和樹の膝の上に座って、これは妾のものじゃ、とでもいうように、猫の匂い付けを連想するのが近い、体を和樹に摺り寄せ、嬉しそうに左手を眺めてはどこか逝ったような微笑を浮かべていたそうな。
ついでにこの日の、夕食+深夜の謎の行為、珍しく特に後者、アルからのサービスがあったそうだ。
ついでにこのような一日は大体7日間続き和樹&凛VS駿司までこの調子だったそうな。
ライカの喫茶店にも七日間毎日寄ることになったのは余談である。
で、試合当日。
怖さが物理的になりつつある神城駿司と和樹と凛。
そして何故か居る、アル、玖里子、B組女子九人衆、エリザベートがいたりする。
これが駿司の怒りの原因だったりするのだが、幾らなんでもギャラリーが多すぎる、本人達は真剣なのに何故かイベント化されてしまっている現状が苛立たしいのだろう。
ただ、騒ぎになった原因が道端で襲い掛かってきたアンタにあるとは夢にも思わないだろうが。
で、本人たちは殺伐としてギャラリーは和気藹々と、まぁ、こんな感じで試合は始まった。
笑顔の筈なのに和樹には何故か言いようのないプレッシャーを放つ男、神城駿司。
妙に疲れた顔の少年式森和樹+肌の張りはよく妙に腰周りがしっかりし、そして女らしさが格段にレベルアップした少女、神城凛。
この二人が対峙し、駿司は無手、凛は刀、和樹は無数のナイフを身に付けている。
ついでに完全に観戦モードで観客になっている、自称和樹の本妻アル=アジフ、麻衣香に言われて来た風椿玖里子、しかもハンディビデオカメラ装備(これも言い付け)、エリザベート、B組女子九人衆。
ギャラリーははっきり言って喧しい、しかも真剣味の欠片も無い、完全に余興として扱っている節がある。
「ほー、あれが人狼か、不可思議な気を持っておる、見るのは久方ぶりじゃが」アル
「確かに、今は珍しいわよね」玖里子
「昔はもっと居ったぞ」エリザ
以下、9人ほど続くというか全然黙っていない、話し声が喧しい位だ、これが駿司のプレッシャーの一因でもあるのだが。
全然決闘の雰囲気にならないから。
「よく来たね、式森君、逃げると思っていたんだが」
かなり毒を持ったというか、完全に和樹を敵視している、まぁ、適ししたくなる気持ちが判らんでもないが。
この毒に激しく反応したのは凛、鋭い声で駿司に反論する。
「式森先輩は逃げたりしない、侮辱するならば駿司とて赦さんぞ!!!」
とかなり敏感に反応していた、どうやらこの一週間で前より和樹に対する愛情が増したようだ、ついでにこの辺でギャラリーの中で(一名除く)の駿司の評価が下落した(早!!)。
この場は殆どが和樹至上主義の巣窟なのだから致し方ないが、そのせいで駿司の居心地が少し悪くなったとかならなかったとか、和樹としても生涯二度目の視線は居心地が悪いのだが(前は沙弓の親父)。
「ふう、で最後に聞くけど凛、大人しく本家に帰るのは」
「私はここに居る、本家には帰らん!!!」
凛が威勢良く啖呵を切ると、更に和樹を見て、勿論凛には向けなかった特有のプレッシャーも同時に叩き付けつつ。
しかもやたら眼光が鋭いし。
「式森君も覚悟はいいね」
このとき和樹は思った、こいつ本気だと
「構いませんよ」
としか答えられなかったけど、今更しり込みするわけにもいかないからねぇ。
「準備はいいかい?」
「無論」「やりましょう」
その瞬間、互いの言葉が消えるか消えないかのところで駿司の姿が消えた、否、凄まじい速度で移動したのだろう。
並みの人間の反射速度を上回る動き、人狼ならではの化物級の身体能力。
しかし凛と和樹はそれを捕らえ、反応した、こちらも常人を超える反射速度。
「凛ちゃん、後ろ」「はい!」
和樹が手に持っていたナイフを振り向きざまに投げ放ち、そのナイフの後を追うように凛が刺突をあわせる。
和樹が後衛で指示を下し、凛が前衛として切り込むコンビネーション。
駿司はナイフを叩き落したが、何とか横に凛の突きを回避する、がその表情には余裕が無い。
「ふぅ、危ない、なかなかやるね」
頬には一筋の傷跡、流れる血液、駿司はそれには構わず和樹達の死角方向にもぐりこもうとするが。
それでも和樹は止まらずに一、二とナイフを投擲し駿司に潜り込む間を与えない、凛はナイフの回避位置に向けて逆袈裟に切り上げ、片手で握りこんでいた砂を叩きつける。
目くらましである、卑怯と言う無かれ、実戦ならなば何でもありだ。
人狼相手に正々堂々となど戯言を述べるほど凛は自惚れても、使わずに負けて和樹と離れ本家に帰ることをよしとする潔さも無い。
使える手段は使う。
駿司は逆袈裟の一撃をバックステップで回避するも紙一重で体に傷跡は増え、最後の砂で一瞬目を閉じてしまう、そのまま後退するが、そこには既に和樹が迫り、ナイフで突きをジャブのように連打で放つ。
正式なナイフの連続突き、人間最高速度の攻撃手段、ジャブは人狼相手にも有効な速度になりうるのか、駿司は捌くだけで精一杯になっている。
そしてその駿司の死角に向けて凛が迫る、まさに息つく暇も無い。
「何故か、ムカつくのは妾だけか」
「いいえ、妙にムカつくわ」
「式森と息が合ってるな」
「うううっ。私あんなの出来ないのに見せつけて」
と、彼女らの不満、ついでに上からアル、沙弓、涼、矢夜はというと妙に息のあった動きが、特に上の二名は本来の和樹の戦闘仲間、自分の居場所を取られた用で悔しいらしい。
「でも、いい動きよね」
「式森君、戦っているときのあの横顔、じゅるり」
「いい写真取れるわ、焼き増し要る、安くしとくわよ」
「「要る!!!」」
とここではしっかり鑑賞(和樹を)していた、和美、美空、来花。
ついでに来花の写真はB組女子内でそれなりの値で取引されていたりする。
被写体は式森和樹なのだが。
とギャラリーのほうは案外呑気だった。
和樹がナイフで連撃を浴びせている内に、凛が死角に回り斬りかかる。
既に全身に細かい傷を作り、満身創痍の状態に近い筈なのに、今宵は満月、すぐさま傷は消えていく、それでも体力の消耗はあるようだが。
人狼とて無限の回復力を持つわけではない駿司の顔に既に余裕の色は欠片も無い。
距離を取ろうとした駿司に向けて、凛が魔法で剣の衝撃波を放ち回避後和樹がナイフを投擲する、暫くこの連続攻撃が続く。
いくら人外の速度と運動能力をもっていようと、基本的に多方向からの連続攻撃を捌くのは彼とてきつい。
どちらも一流のレベルを持っている人間を相手にしているのだ、片方に意識を傾けると片方が疎かになり、その瞬間を和樹達は狡猾に狙ってくる。
駿司はこの追い詰められた戦況の中で内心、凛がこういう戦い方をするとはね、式森和樹かパートナーとしては申し分ないのかな、彼が教え込んだんだろうしね。
的確に凛の評価を下していた。
と言っても、和樹達が圧倒的に圧しているかというとそうでもない、休む間もないのは彼等とて同じで、一瞬でも手を止めれば、すぐさま反撃が来るのはわかっている、一撃に費やされる精神力は確実に体力を奪っていた。
見かけほど優勢ではない。
で再びギャラリー視線。
「和樹、結構辛そうね(ああ、苦しそうなご主人様、後で癒してあげます)」
「ええ、見た目ほど楽じゃないでしょ(必死の神城と式森、二人に責められたい)」
「ねえ、何でこの二人、こんな風に笑いながら見てんの」
微妙に嫌そうに、たまに変な笑いを漏らす二人から身を離す玖里子。
やっぱり呑気だった。
ついでにエルザベートはというと、玖里子の膝の上で割かし真剣に見ていた。
と、そこで対決のほうはというと佳境に入っていた。
和樹と凛の肌には玉の汗が浮かび、その表情も余力を窺わせない、対する、駿司ももはや人狼の回復力も追いつかないのか全身から僅かに出血している。
それでも続く断続的な攻撃を何とか捌いているあたり、化け物であるが。
「やるね、凛、式森君」
「負けるわけにはいきません、式森先輩との生活がかかっています」
ここでギャラリーの不機嫌度上昇、まぁ、この際この不機嫌は捨て置くが。
そこで凛の放った突きを避けたところで和樹が追随し常に斬撃に使っていた大型ナイフのナックルガードで捕らえ肩を打たれた駿司が転倒する、すかさず凛が刀を突きつけ勝負はあった。
「私達の勝ちだ、これで良いな駿司」
刀を突きつけた残心の姿勢で凛が瞬時に告げる。
「ああ、文句は無いよ、それにいい腕になった、もう教えることも無いよ、よって本家に戻る必要も無い」
決着がつき、凛にはにこやかに、それでいて和樹にはいまだ微妙な圧力を発しながら、駿司は参ったねとばかりに両手を挙げて笑った。
微妙な圧力に気付いているのは当事者たる和樹だけだったが。
で再び、今度は和樹と駿司の二人で対峙していたりする。
勿論、ギャラリーはいない。
というか今は顔が怖いというか、雰囲気がどうも和樹の居心地の悪い種類を発していて、要るだけで精神的重圧が辛い。
「さて、式森君、凛とのことどうする気かな。一週間ばかり君たちの様子を探っていたら、僕が見ただけでも、凛以外にクラスメート7人、自宅に一人、喫茶店の女主人、どれだけの女の子を囲ってるんだい君は」
和樹の顔からさっき以上にだらだらと脂汗が出る、身に覚えがありすぎる。
この一週間で和樹がヤッタ女の子、アル=アジフ、神城凛、中田一子、諏訪園ケイ、飯尾未空、高碕涼、松田和美、千野矢夜、杜崎沙弓(ついでにアルに次いで頻繁に和樹に抱かれていたのに、この騒動で一番割りを食ったのは彼女だったりする、一番幸福だったのは凛)そしてライカ、通算10人は弁解の余地が無いなぁ。
と自業自得なことを追求されて冷や汗だらだらの和樹。
「僕も人間じゃないから、何もひとりに絞れとか人間の倫理に縛られた事は言わないけどね、凛はあの通り真面目な子だからね、きっと君に一生を奉げようとか考えているんだよ、分かっているかい」
更に背筋に、しつこいが人生の墓場の予感に更に冷たい汗を掻きつつ。
生きた心地がしない心境で駿司の言葉を聴き続ける和樹。
「僕としても、神城に仕える身だからね、このことを本家に報告しないってわけにはいかないんだよ(ニヤリ)。つまり凛が悲しまないようにするには僕の舌先三寸で決まるって事だ」
君も凛が悲しむのは嫌だろう、そう言葉を吐く神城駿司。
ここで和樹は彼が何を言いたいのか判ったというか判ってはいたんだけど、判りたくなかったというかなんと言うか。
「何、君に今付き合っている娘と別れろと言う訳じゃないんだ、でも凛も一途だしね、僕も保護者としては心配なんだよ。凛と本格的に婚約してくれないかい」
やっぱり、予想通りの口上ですよ駿司さん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・和樹は思考を停止した・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そういえば君は杜崎の娘さんとも婚約している(アルとライカもです)そうじゃないか、凛のことをどうする気なんだい。何、凛とも婚約してくれれば僕は君うを責める気なんて一切ないよ。凛も君のお陰で幸せそうだし、君は男としてはロクデナシなようだけど人間としてはそう悪い人間でも無さそうだからね」
何処となくボロクソに言いながら駿司が和樹の頬にどこから取り出したのか小太刀をピタピタと当てながらにこやかに語りかけてくる、目はまったく笑っていないが。
この懇切丁寧な説得で和樹の人生の一部が他者によって決定されていた(自業自得です)。
もしくは和樹の人生に新たに強固な鎖が巻きついたと言うべきか。
「凛とも婚約よろしく頼むよ。おっとここに念書を書いてくれれば、ああ近いうちに指輪買っておいてね、凛も喜ぶだろうし」
言い逃れが出来ないようにする、駿司案外したたか?
因みにその念書には契約不履行時の呪いの書かれた呪いの契約書だったとか違うとか。
その後、反論できない和樹は思考力の働かない頭でサインをし、凛との婚約を誓わされたのは言うまでも無い。
最も元々抵抗する権利など持ち合わせてはいないのだろうけど、抵抗してもイエスといわれるまで駿司に保護者としての説教+脅迫の名を借りた説得を受けることは間違いないのだから。
和樹がフラフラと立ち去った後、神城駿司。
「女たらしであるが、まぁ合格といったところかな、それに僕との時もどうも本気って感じじゃなかったし、案外掘り出し物か。さてと凛に話して、彼の逃げ場を奪っとくかな」
案外に意地悪だった、ついでにどうも性格が軽かった。
貴方も男でしょうに、和樹君の立場をわかってやりなよ。
「彼の立場を理解して擁護できる男がいたら、その人間は聖人だね」
仰るとおりで。
で、朝霜寮の凛の部屋の窓の外から窓を外側から開けて凛に声を掛けてくる駿司、何で電話や正面から訪問しないのだろう、親族みたいなものだろうに。
「凛、ちょっと」
「何だ、駿司、いまだ本家に帰れと・・」
突然の駿司の訪問に不機嫌そうに返答する凛だったが、さえぎるように。
「違う、違う、式森君のことだ」
「先輩の、どういう」
和樹関連の話は気になるのか凛が続きを話せと促すように駿司に僅かに詰め寄る。
「あの後、保護者として式森君と話したんだけどね、凛、彼と契りを交わしたんだってね」
一瞬で凛が真っ赤になって俯き、モジモジと体を揺すり、小さな声で呟く。
「いや、その・・・・・・そうなのだが」
そんな凛の様子を見て、駿司は面白そうに真剣そうな表情の裏で笑い。
「それで式森君が君と婚約をすると言ってきてね(貴方が言わせたんです)。嫁にすると、凛は本家を継ぐことを嫌がっていただろう、嫁に行けば継がなくてすむだろうし。僕も無理矢理凛に神城を継いで貰って欲しくない。凛には凛の幸せがあるだろう」
というかさっきからの、妙に凛と和樹をくっつけようとするのは、どうせ自分の愛娘(それに近い)はもう心底惚れ込んでいて、しかも思い込んだら一途というタイプなど嫌というほど知っているので、どうせなら達成させてやりたい親心と、男の敵の女たらしにたいするささやかな嫌がらせであった。
しかも凛の競争相手は多いというのが最近の調査であってこの手の経験値が低い凛が勝つには自分が反対して不幸にさせるよりは、と考えたらしい。
まぁ、幼いころの楽しみを奪って稽古三昧を課した自分へのささやかな罪滅ぼしのつもりなのかもしれないが、多分面白がっている要素はかなり多いと見ている。
「・・・・・・・・・・・婚約」
凛は凛でそんな駿司の内心は知らず特定ワーズに敏感に反応したりしているし。
完全に茹で上がったように真っ赤になった凛がそう呟いて完全にあっちの世界に逝っている、さぞや幸せな脳内世界でも作り上げているのだろうか。
凛の脳内世界
(婚約、婚約、私が式森先輩の妻、奥さん・・・・・・・・・・・・・。そう、毎晩あのようなことをしていたのだ、私が妻でも・・・・・・・・妻。和樹が働きに出て私が家を守って、和樹が帰ってくると、・・・・食事かお風呂、・・・・・・・・・お風呂には一緒に・・・・・・・・そのまま私は、和樹さんに愛され・・・・・・・何度も、私が止めてって言っても、何度も・・・・・・・・・・・・私を、前から後ろから、私が上になったり、あれは恥ずか・・・・・・・・でも和樹さんがどうしてもって言うならば・・・・・・・・・・いい・・・・・・・・。そして夜は床の上で子作りを・・・・・・・・・・・・)
と前回に比べて更にナマナマしい想像、この一週間で凛ちゃん目覚めたか?
とそんな凛を眺めて「早まったか」と微妙に考えつつ、それでも満足そうにこれからの算段。
手に式森凛婚礼計画と書かれた紙の束を握っている人狼がいた。
あんた、和樹に怒っていたんじゃないの。
「何、世の中臨機応変だよ」
さいですか。
とそんな人生の一部について勝手に進行されている和樹は、案外幸せだったりする。
「さすが、妾の主じゃ、先ほどは見事であったぞ、どうじゃこれも食べんか」
と、先ほどの凛とのタッグを見せられて、微妙に立場に危機感を感じたのと、何故かする嫌な予感に圧されたアルが和樹にサービスしていたりするからだった。
時折左手に輝く銀を見ては。
「大丈夫じゃ、和樹は妾の夫になってくれるのじゃ、そうじゃろ和樹」
と微妙にさっきの事とかライカの事とかが頭に翳る和樹がそれでも何とか笑顔で答えていたが。
和樹君、嘘吐きである。
数日後、アルと同じ指輪を買った和樹がそれを凛に贈るという光景を眺めている人狼が。
「これで計画は第一段階と、先は長いね」
と、式森凛婚姻計画という冊子を捲ってニヤリと笑う、人外がいたという。
なおこの時から凛も猫化し和樹への甘え方が激化したそうな。
後書き
わーい、原作無視している狼さんの登場だよー、病気とか寿命とか突っ込まないでくれると色々嬉しいところです、いやマジで。
投稿していた際にも人気はあったんですが少々凛の壊れ具合が強化されています、ちょっぴり、ライカさんはかなり、悪女集団が形成できそうな勢いですが。
電波の筆頭デビルキシャ―の影の薄いこと、まるで出番がありません、というか彼女を出すと話がそこで停滞するので案外使い辛いのです、キャラはおいしいのに損な彼女です。
堕ちた天使の世界でこの作品を知っていた方はこの話の後半はお知りにならないと思いますが、感想御意見御座いましたらお願いいたします。
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