第五話 騒乱の巻 前編


 

 

「よっと、ここに居るのかねあいつは、いつもながら面倒に巻き込まれる奴だな」

 

和樹のマンションの前で大型バイクに跨りライダースーツを着た20過ぎの女性、日本人とは思えない灰色がかった髪を背中まで伸ばしている。

 

化粧っ気がないのでどこか少年のような、いたずらっ子のような印象を与えるが美人。

 

伊庭かおりが呟くように言葉を吐き、なんとなく和樹のトラブル体質は理解しているようだが、そしてまた呟くように続ける。

 

「あいつ等が来ると面倒だからな。それまでにっと・・・・・・・・・・住居って和樹の隣か(ドクターウエストの反対側)。まぁ、好都合っと」

 

と何かを呟きながら降りたバイクを押して駐車場にいくかおり。

 

その表情はどこかチェシャ猫を思わせるいたずらっ気たっぷりの子供の顔をしていた、何か企んでいるようだが、何を企んでいるやら。

 

懸命な方は展開くらい予想していると思うが。

 

 

 

 

 

そのころの和樹。

 

「ニャー、ムニュ、和樹、浮気するでないぞ、むにゃ」

 

と、和樹の腹を枕にしてお昼寝中のアルと一緒にお昼寝をしていた、惰眠を貪っているとも言う、どうでもいいがよく寝ているような気がする。

 

正にどうでもいいが。

 

「アル、凛ちゃん、矢夜・・・・・・・・・、可愛いよ」

 

とどんな夢を見ているのか、きっとかなり不埒な夢だろう、もしくは鬼畜な夢か。

 

因みにアルは自分の男がかなり不愉快な夢を見ているようだが、和樹の腹の感触が気持ちがいいのか完全に熟睡モードでおねむであった。

 

寝言が聞かれたら微妙なものだろうが多分不機嫌になるだろうから、自分の名前はともかく同時に呼ばれたほかの面子の名前で。

 

 

 

 

 

で、和樹の部屋の前でやっぱり何か企んでいるような表情で立っている女が一人。

 

これもどうでもいいが和樹関連で女というと大体展開が決まってしまいそうだ、決まっているといってもいいかもしれないが。

 

「ふーん、ここかな。じゃ私の家はこっちと」

 

女性は視線を左右に見回し自分の部屋と知人の部屋の位置を確認する、言うまでもないが女性、伊庭かおりは何やら怪しげな操作の後ドアを開け放った、自分の部屋ではなく隣の式森と書かれたドアを(鍵はピッキング)

 

因みに犯罪である、家宅不法侵入である。

 

そして開け放ったドアから音もなく体を部屋の中に滑り込ませる、かなり身のこなしはいいのだがその技能の使用方法が激しく間違っている気がする、幾らなんでも空き巣まがいでは技が泣くと言うものだ。

 

しかもこんな理由では。

 

「私の可愛い和樹に女の味を教育するかね」

 

つまりは昼間だと言うのに夜這い、昼間に夜這いというのは言葉に矛盾がありそうだが行為としては間違っていないのだろうからいいとしよう。

 

唯、突っ込むとすると女の味を教育すると言うが、和樹君は恐らくかなり女の味を知り尽くしている、そりゃもう世間の男性陣に喧嘩を売って余りあるくらいには。

 

こんなことを呟く以上は彼女は知らないのだろう、現在の和樹の生活(性活)を、知っていれば到底いえまい、言えて「他の女のことなど忘れさせてやる」とかそれに類する言葉だろう。

 

つまりかおりはいまだ和樹が10人を超える女性と関係して、婚約者までいることを知らない、そう結論していい。

 

恐らくもしこの夜這いもどきが成功しても女の味を教えるのではなく女の快楽を教えられるのではないのだろうか、和樹からかおりへ、多分、絶対、確実に。

 

自分の思惑が根本から瓦解しているにも拘らずかなり妖しい表情で唇を湿らし、部屋の中に滑り込んでいくかおりだった、ちょっと間抜けかもしれない。

 

間抜けを通り越して哀れなのかもしれないが。

 

 

 

 

 

因みに、やっぱり和樹たちは寝てた、基本的にこいつら害意のない連中が忍び寄っても余り反応しない、かおりは邪気に近い淫欲を湛えていたが、害意に該当する気配ではない為、彼らは反応しなかったのだろう。

 

 

 

 

 

さて、式森宅に潜入した伊庭かおりはというと、いくら大きめとはいえワンルーム、和樹を探すというか部屋に入れば見つかるわけだが、固まっていた。

 

何故かライダースーツの前はかなり際どい位置にまでジッパーが引き下げられてそれなりに素敵な姿になっているが、硬直した姿では些か色気が足りない。

 

元々色気がないキャラだといわれたらそれでお仕舞いのような彼女なのだが、それはどうでもいい、現在状態になった原因はと。

 

かおりの眼前で完全に眠りこけていた、そりゃもう気持ちよさそうに、心地よさそうに。

 

さてみなさん、12歳くらいの美少女が半裸の少年の(和樹は上半身裸)腹を枕にして幸せそうに寝ていたら(しかも何かが終わった後が見受けられる)、その当の少年を愛する女性としてはどうするだろうか、多分即座に何らかのリアクションを取るような行動は取れないのではないだろうか、これが赤い悪魔だったら即座に行動するのだろうが。

 

かおりは固まって混沌の坩堝に叩き込まれていた、もしくは自分の妄想世界に。

 

(何で、何で和樹の部屋にこんな妙にロリっ気たっぷりな女の子がいる、それにこれはどう見ても、その、アレが終わった後みたいじゃないか、もしかして私の和樹は、もう汚れた、私色に染めようと思っていたのに、ホワイ、なんで、あの純真は私の和樹が、私の手で教育しようと。それもロリコン、何故ぇぇぇぇぇっ)

 

と、欲望丸出しの叫びを心の中で展開していた。

 

でも、男の子場合汚れたと表現するべきなのだろうか?

 

(ああ、私が日本を離れて、三年で和樹は間違った道に進んでしまったのか。それでは、この体を持って和樹を正しい道に戻すのがお姉ちゃんの使命(違います)。和樹、年上のよさを教えてあげる。初物が取られたのは残念だけど)

 

と、心の叫びをあげて現実を受け入れたようだ、案外立ち直りが早い。

 

因みに、ここのかおりもまた壊れていた、今更だが。

 

そして無言実行とばかりに着ていたライダースーツの上半身を露にし、インナーとして着ていたタンクトップを脱ぎ捨て、上半身裸になって、乳はかなりデカイ、しかも形のよい美乳。

 

容姿と相成りかなりエロチックな姿なのだが、表情は艶美と言うよりは何かを決意したような表情、ちょっと色っぽくない、確かに和樹を矯正するといった決意は秘めているんだろうが。

 

やっぱり和樹を矯正するのは不可能っぽいのでちょっぴり哀れな報われない決意である。

 

まぁ、報われない決意は実行に移されるのだが、かおりは胸を隠さず寝ている和樹に近寄りしな垂れかかる、邪魔(この時点で和樹をマトモな道から踏み外された原因とかおりの中で規定)なアルは片手で脇にポイっとどかし、胸を和樹の胸に押し付けるように正面から和樹の顔を覗き込み、和樹の頬に両手を添えてその唇に。

 

バキッ!!!!(届かなかったようだ)

 

「何をしておるか。このたわけめぇぇぇっ」

 

絶叫と共に繰り出されたアルのドロップキックがかおりの側頭部に直撃、それはもう見事に、アル、何気に体を捻って威力を増す技巧を交えているし。

 

日々、和樹のお仕置きで培った技術だろうか、少なくともアルは体術は単純な身体技能方面だけだったと思うのだが。

 

でも、アルせめて服をちゃんと着てから蹴り技を放とうよ、乱れた服から見えているぞ、という突っ込みはおいといて。

 

どうせ見ているギャラリーもいないのだし、先ずそんなことを考える理性は残っていないだろうから、その興奮した真っ赤な顔を見ていればよく分かる。

 

寝起きも加わってかなり不機嫌度数は高そうだ。

 

でも、方や気絶した上半身裸の美女、方や乱れた服装の怒り狂った美少女、なんと言うか微妙にシュールな光景かもしれない、修羅場みたいで。

 

いや、修羅場になるのかもしれないのだろうが、これから、もう直ぐに。

 

アルはそのままかおり(意識を飛ばして昏倒中)を一瞥して、夜叉のような表情のまま和樹の首を掴み上げ、それはもう乱暴に、判りやすく言うと往復びんたで和樹を起こしだした。

 

そこはかとなく痛そうだが、まぁ、どうでもいい。

 

「起きんか!!和樹。また汝は、この浮気者が!!!今度はこのような年増を引っ掛けよって、何人その毒牙に掛ければ気が済むのじゃ、起きんか!!!!

 

和樹の普段の行動から的を得た怒号だろう、かおりが年増と言うのは外見年齢から酷いとは思うが、童顔で見た目二十歳超えたぐらいなのだから。

 

後、それはともかく、今回に限り無罪なのだが、和樹君、だからといって情状酌量の余地など欠片としてあるわけがないし。

 

 

 

 

 

アルによって強制的に安眠からサルベージされた和樹はというと、目の前に自分の襟首を掴んで据わった目で睨んでいる自分の愛妻(候補)に身の毛のよだつ声音で詰問されることになった。

 

因みに和樹は現在アルに腹の上に乗られて般若の形相のアルから目を逸らせないのでかおりの存在に気付いていなかったりする、訳も判らず叩き起こされて、激怒されている、普段の行いが悪いとは言え、中々素敵な状況である。

 

「どうした、アル。何で怒っているのかな。謝るからその視線は」

 

だが、そんな言葉は無視して。

 

「汝、この年増女は誰じゃ」

 

害意が乗った声、それこそ声で人が殺せそうだ、耐性が無い人間で気が弱かったらトラウマになるかもしれない。

 

だが、そんな声で詰問されていても、誰が来ているかなど理解していない、アルが怒っている理由すら未だ判っていない和樹、一応適当に謝っておこうと先の台詞を述べているような程度しか現状を理解していない。

 

アルが指すこの年増女を首を動かして発見して、意外そうな声を上げた。

 

「えっと、誰って。あれ、かおり姉さん、どうしてここにいるんだ、しかもあんな格好で」

 

で、やっとアルの怒りの原因の存在に気付き、だがその怒りの原因が存在することが理解できずに微妙に困惑の色を乗せた和樹の声に対して。

 

「ほう、知り合いか、で、どういう関係じゃ、汝の浮気相手か」

 

飽くまで詰問口調で問いただすアル、嫉妬で視野狭窄になっているのかもしれない、目覚めたときが目覚めたときなので邪推するなといっても致し方ないだろうが。

 

「えっと、いや親戚の姉さんなんだけど」

 

つまり現在の和樹の言は目の前の小さい外道の精霊には何を言っても通用しないという事である、事実を話せば話すほどに疑惑が増す状態。

 

なまじ嘘でも浮気相手ですといったほうが、今は怒りを買わないかもしれない。

 

「あくまで、誤魔化すのじゃな、覚悟はいいようじゃの。何がいい、これか、これか、それともこれか」

 

アルの手元に御影(日本刀)、変な薬瓶(瓶にウエストと書いているのがかなり嫌だ)、変な鉄球がついた機械(ボンバー君7号、浮気男殴り機)が並んでいる、どれも選びたくは無いが。

 

「アル・・・・・・・()

 

それらのお仕置き器具(殺人凶器)を見て若干声を震わせながら、自分に降りかかるお仕置きと言う名の暴力が過去ベストに入るほどだと理解したらしい。

 

「ん、吐く気になったか」

 

「だから、親戚の姉さん、そりゃ家の仕事はしているけど、三年ぐらい会ってないんだけど」

 

だから正直に吐いても通用しないってば。

 

「ならば何故、あの年増は妾が起きたとき半裸で汝と抱きおうておったのじゃ」

 

和樹としては抱き合っていたところから記憶の欠片もないのだから答えようが無いのだが、和樹が眠っていたのを知っているアルは現在盲目状態で思考能力が低下している。

 

「さぁ」

 

そんな状態で、こんな返答は自殺行為だろう。

 

「ふふふ、妾としてはこのボンバー君を試したいのじゃが、最近暇で、汝が学校に行っているうちに作ったのじゃ、ああ9号まであるから、それからでも良いぞ(ニヤリ)

 

手に取ったのは浮気男殴り機、ボンバー君七号、かなりゴツイ鉄球が付いて愉快そうな威力が期待できそうだ、だが暇だからって、お仕置き器具作るか、アル。

 

「ついでに共同製作者は、ドクターウエストじゃ」

 

「話を聞けって、というか僕を殺す気、そんな怪しげな物で」

 

ウエストが関わった時点で怪しげな物ではなく、絶対に危険物だと思うが、それはそれとして。

 

「汝の言葉は必要ない。生きて残っておれば釈明くらいは聞いてくれようぞ。仕置きに耐えてからならばな」

 

アルの死刑宣告は告げられた、どうなったところで和樹の無罪釈明など通用するような状態ではないのだから当然の帰結なのかもしれないが。

 

 

 

 

 

因みに仕置き後ボロクズのようになった和樹からの釈明により一応かおりが親族であることは納得したそうだが、納得するまでどれだけ苛烈な拷問が行われたのやら、釈明を終えた和樹はお仕置き後より更にボロクズのようにな姿になっていたと言う。

 

ついでにこの晩の情事はアルが何度も失神するまで苛烈に行ったそうな、アルが泣いて許しを請うても更なる快楽をアルに与え続けて苛めて楽しむ和樹の表情はサディストのそれだったとかなんとか。

 

仕返しか、和樹。

 

 

 

 

 

和樹が程よくズタボロから回復した頃かおりが目を覚まし、かおり主観では何故か感じる頭の鈍痛に表情を顰めながら起き上がる。

 

因みに胸は全く隠していない、自分が半裸だという事を忘れているのかもしれないが。

 

「いったー、私何食らったんだろ、二日酔いみたいにクラクラする。あっ、和樹、お早う」

 

何かを喰らったと判っている台詞を吐いている割には呑気な回答である。

 

「おはようではないわ、粗末なものを隠さぬか!!!

 

アルが自分にはない(アルはないに等しい)豊満なバストを晒しているかおりに向かって怒鳴りつける、ついでに和樹も睨みつけておくのは忘れなかった、今更とも思うが和樹に対しては。

 

因みに若干ナイ乳にコンプレックスを持っているアルだった。

 

で、そのアルの突っ込みに対してかおりはというと。

 

「か、か、か、和樹。お前こんな子供に手を出したろう。幾らなんでも犯罪、だからお姉さんが矯正してあがるから、ほらお姉さんの胸もんでいいから」

 

どうやら和樹がロリペド野郎という事を思い出したらしい、かおりが胸を両手で持ち上げ自分で揉みしだいて見せつける、動作だけはかなり色っぽいのだが、台詞と焦った表情が色気をぶち壊している。

 

それにかおりの誘惑に対して和樹の反応は薄かった、別に和樹が真性のロリペドだから反応しないわけでもないのだが。

 

だが、反応するのはいる、と言うか反応しないとおかしい。

 

「な、な、何を言うておるか、この変態女!!和樹も見るでない」

 

怒声を張り上げて、顔を真っ赤にしてかおりに抗議するが。

 

と言っても和樹にとっては見慣れた(かおりは確かに美乳で大きいが、和樹の愛妾達とりわけ沙弓は巨乳+美乳でそれに比べると見劣りする、比べるほうが酷のような気がするが)ものである、大体和樹は余り乳のデカサには拘らない。

 

しかも目の前に怒り狂えるお姫様がいるのだ余り淫欲もわくような精神状態ではない。

 

と、いうわけで和樹はさほど動揺もなくかおりの半裸姿を見ている、アルだけがそんな実情を知っていながら怒っているのだが、好きな男が他の女の胸を見るのは気分がいいわけはないだろう。

 

当のかおりは和樹の反応の薄さに更に和樹ロリペド疑惑を募らせていた(何、私の胸だと興奮しないっての、やっぱり和樹ロリコン、貧乳、微乳にしか反応しない。それじゃあ私のこの豊満なバストは邪魔、いや、実際にヤッテ和樹に良さを、そう胸のある女にしか出来ない事で・・・・・・・・)

 

微妙に勘違いしていた、反応しないのではなくて、慣れているだけなのだが、見破れと言うのも無茶だろうが。

 

というかさっきから五月蝿い(かおり主観)、和樹を惑わしたであろう小娘は一体誰なんだろうという思考にも傾いていた。

 

因みに和樹とヤルと言う思考は既になかったりする、ギャラリー付でそういう事をするほど彼女は恥知らずではないのだから。

 

 

 

 

 

何時までも上半身を晒しておくのに羞恥を覚えたのかタンクトップを着た後、頭に浮かんだ疑問を和樹に尋ねるかおり。

 

「で、結局その娘誰?」

 

アルを指差してかおりが問う、人を指差すのは止めようよ。

 

「あれっ、姉さん知らなかったっけ?」

 

和樹としては知らないほうが以外だったりようだ、往々にして人間は説明した気になっていたりすることが良くあるが、これもその一例だろうか。

 

「私は、三年間日本に居なかったんだけど」

 

「あっ、そうか、アルが現れたときはもう居なかったんだっけ」

 

と和樹が、アルを知らないことに納得したのか手をポンと叩く、アルが和樹と共に生きるようになって何だかんだで二年は経っていない筈なのだから、かおりが知らないのは致し方ない。

 

「結局誰?」

 

「婚約者かな?」

 

?とは何じゃ、妾は和樹の本妻じゃぞ」

 

先ず本妻と言う言葉が出る時点で異常なのだが、しかも十七歳の高校生に、ついでにアルの中のランキングは沙弓が同格、凛は妾、その他愛人(凛との婚約がバレたときはそれはもう・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、よく生きてたな和樹とだけ言おうか)

 

で、かおりは一応の疑問は解かれたが更なる疑問は提起されただろう、彼女は親戚の身の上で和樹を本気で食べちゃおう&自分を貰ってもらおうとマジに考えていたのだから。

 

婚約者など寝耳に水の状態だろう。

 

「・・・・・・・・・・婚約者って」

 

「読んで字の如くじゃ」

 

あるかないか判らない胸を張りつつアルがすこし頬を染めて自慢げに言う、なんだかんだ言って、和樹大好き娘なのだから、和樹との関係を言うのは気持ちがいいのだろう。

 

かおりにとっては気持ちいいどころか困惑の種だろうが。

 

(何、この小娘は婚約者、妻、奥さん、恋人、それは私がなるべき立場で、こんな年端も行かないガキに、和樹がちっちゃい時から私の後ばっかり付いてきたのに、年を取ったら終わり、こんな子供と・・・・・・・・・・・・・・・・ん、本妻)

 

どうやら思考に中で更に問題のある発言を見つけ出したようだ。

 

「本妻って、何?」

 

繰り返すが、世間一般で本妻などと言う表現は使われない、使うとしたらそういうことが赦されている国の国籍所持者だけだろう。

 

「それはじゃな、この浮気男があちこちで女を引っ掛けておって、忌々しいことに他にも婚約者と名乗る女がおるからじゃ、のう和樹(ギロリ)

 

先ほどの赤い顔から睨みつけるが、あまり迫力はない、浮気は諦めているし(お仕置きはするが)、自分が和樹の一番(口には出さないが)であることは判っているので、指輪を貰ってから多少アルが勝者の余裕みたいなのを持ち出している。

 

先程和樹が生命の危機に陥るまで暴力の嵐を振るっておいてだが。

 

「まぁ・・・・・・・・何と言うか」

 

微妙にばつが悪そうだ、というか一応身内の人間、しかも姉に近い立場にいる人間には罰が悪い、親戚の前で鬼畜ですなどといわれて恥を覚えないなら人間をやめてしまったほうがいい。

 

「誰が?誰が婚約者を名乗っている」

 

「ん、和樹の親戚なら知っておるか、杜崎の娘と神城の娘じゃ」

 

ついでに杜崎と式森は仲がよく、神城は和樹の仕事関係(魔道関係)と関わりがある、直接的な繋がりはないが。

 

因みにライカの事はまだアルにバレテいなかったりする、時間の問題だろうが。

 

当のかおりはアルの答えに内なる怒りを募らせて、和樹の婚約者を騙る(彼女の中である一名は認めがたい)旧知の知り合いに思考を傾けていた、それはもう物騒の方面に。

 

(あの杜崎のデカ女、昔から私の和樹にちょっかい掛けてくると思ったら、そう、あの程度のお仕置きじゃ足りなかったか、和樹に近づくなってあれ程言っておいたのに、思い知らせてやる。お前のお好みの方法で“教育”してやる)

 

“教育”の変換言葉はいったい何なのだろうか、“調教”、“躾”、“お仕置き”。

 

このとき女子寮にいた少女が突然、嫌な予感を感じ体をビクッと震わせて。

 

「この気配、あのゲーム女がいる訳ないし、気のせいかしら」

 

と呟いていた、気のせいではないが。

 

かおりが内心、知り合いの少女に断罪を決心していると、それはもう今すぐに実行しそうな勢いで。

 

「で、姉さんなんでここにいるの」

 

和樹は和樹で自分の中で生じた疑問を問いかける、確かこの姉は今現在日本にいないはずだったのだから(因みに姉と言っていますが、飽くまで親戚です)

 

「ああ、言ってなかったっけ、仕事が終わって日本に帰ってきたから隣に引っ越してきたんだよ。ああ、夜這い大歓迎だからいつでもいいぞ、お姉さんがサービスしてやる」

 

最後に、用事を思い出したと言ってアルが噴火する前に香りはさっさと出て行ってしまった。

 

「ああ、沙弓どこにいる、あいつにも顔出しとく」

 

ここで素直に寮だよ、と答えた和樹に罪はないだろう、多分、和樹はかおりと沙弓の力関係をよく理解していなかったのだから、単純に顔を出すと言う意味にとってしまったのだから。

 

罪はない、罪は。

 

 

 

 

 

で、出て自宅に戻った途端。

 

「フフフフフフッ、沙弓。私の可愛い和樹を手に掛けたな、私が海外に行く前にあれ程、親切に(何したんだ)忠告してやったのに、どうやらもっと欲しいみたいだな」

 

かおりは自分の荷物を漁り中からデザートイーグル50AEとグルカナイフ、その他諸々の物騒なものを体に身に付け、笑う修羅の表情をしてある少女の未来を案じさせる言葉を紡いでいた。

 

数十分後、当の少女が悲鳴を上げながら、血走った目の女性に追い掛け回されたというのは余談である。

 

「赦して、許して、ゆるして、ユルシテ〜!!!!

 

背後に一人軍隊のような装備を身に纏わせた修羅に追い掛け回された少女の悲鳴である、彼女も相当強いはずなのであるが、彼女の中で追い掛け回している存在は対抗と言う言葉が頭に浮かばない存在のようだった。

 

 

 

 

 

翌日。

 

「何でそんなにボロボロなの?」

 

朝迎えに来た沙弓の妙に痛々しい姿に疑問を抱くが。

 

因みに体の彼方此方に包帯やらシップやら何やらの手当てが満載になっていたからだ、疑問に思うのも無理はないだろう。

 

沙弓は聞かれた途端震えだし「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」と呟きかなりの心の傷を持った人のような反応を返すだけ、どうやら修羅に追い掛け回された記憶はかなり肉体的と精神的に彼女に負担を強いたようだった。

 

回復にはどれぐらい掛かるのだろうか、案外直ぐかもしれないが、「慰めて」と和樹に朝っぱらからスルことを要求するのはいい根性しているのだから、どうやら和樹のことを諦める気持ちはこれっぽっちもないらしい。

 

大体諦める程度なら最初から和樹と関係を持とうとは思わなかっただろうし。

 

 

 

 

 

で、まぁこの辺はお約束というか。

 

「えーと、今日からここの担任なった伊庭かおりよ。前任の中村先生が、うつ病だか、分裂症だか「あの色ボケクラスはいやだぁ、独身で悪いか!!!!とか訳のわかんない事いって入院したから、私がってことで。ああ、後このクラスの式森和樹の未来の女房です」

 

この瞬間、クラスの男子が凶眼と呼べる目で和樹を睨みつけ(内面はともかくかおりは美人、内面を知ったら万歳三唱で和樹を供物として差し出すだろうが)、この人類の敵に裁きの鉄槌をという前に、おもむろに。

 

響き渡る乙女の声と。

 

「「「あんたらは黙ってなさい!!!!」」」

 

爆炎、雷、氷をぶつけられ沈黙(2.94)

 

段々扱いが小さくなる男子である、ちょっと可哀想かもしれない。

 

因みにこんな場面で絶対に暴走するはずのデビルキシャーこと宮間夕菜は和樹と登校しようと和樹の登校経路で待ち伏せを敢行していたが、本日は途中で手早くだが沙弓と謎の行為をしていたため遅刻しそうになりショートカットルートを和樹達が通った為、現在も待ち伏せ中である、いい加減見切りをつけて登校すればいいと思うのだが。

 

どうやら妄想世界にでも逝っているらしく時間間隔が曖昧になっているらしい。

 

で、和樹は女子八名に取り囲まれ、沙弓はかおりのほうを見て真っ青になってブルブル震えていた。

 

女子はかおりのほうを睨みつけながら、毎度恒例の。

 

??+α回女子有志式森尋問大会が開廷した。

 

なおこの後、麻里子、ケイ、来花が和樹とお仕置きと称するスキンシップを重ね、その日一日中、恍惚としていたらしい。

 

 

 

 

 

かおりは「あの子達なに?」と自分の教え子の行動、特に和樹関連に流石に戸惑っていた(いくらなんでもクラス内に9人恋人がいると思わないだろうなぁ)

 

 

 

 

 

で、時間は飛んで、かおりが来てから数日たったときの下校時。

 

和樹は沙弓の二人でいつも通り下校していた、登校時と下校時は沙弓と一緒が多い(このへんは沙弓がうまくやっているらしい、B組女子相手に)。

 

下校するときいつも「一緒に帰りましょう」と言って撒くのに苦労する夕菜が今日に限って来なかったことが気になるといえば気になるらしいが、気にしてもしょうがない。

 

それに和樹にとっては隣に歩く婚約者の表情が思わしくないほうが気になっている、女には心底甘い男なのだから。

 

「沙弓どうしたの、なんか最近元気がないけど」

 

「大丈夫、なんでもないから、ちょっと寝不足なだけ」

 

と言っているが、たまに虚空を見つめて「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ユルシテクダサイ」と呟くのは寝不足が原因じゃあないだろう、一体何をしたかおり。

 

沙弓としてはその詳細を語ると和樹からかおりに伝わり、チクッタのがバレたら更なるお仕置きが自分を襲うのは目に見えているのだから和樹に語ることなど出来ず、言葉を濁すしかない、身の保身の為にも。

 

「そう、じゃあ今日の沙弓とのはまた今度・・・・・・・・・・・」

 

一応沙弓の体を案じたのだろうが、数日置きの沙弓との男女の過激なスキンシップを止めようかと提案するが。

 

「それとこれとは別、私は和樹が好きなんだから、それで元気になれるのよ。それとも和樹私に飽きたの、私じゃ不満かしら」

 

沙弓が和樹の腕に胸を押し付け、最初は少し顔を赤くして最後は哀願するように目を覗き込む、勿論沙弓は和樹の性格を知り抜いているから、半分は計算ずくなのだが。

 

和樹は基本的に自分が抱いた(欲しいと思った)女が悲しそうな目をするのを嫌う、というのを逆手に取っている、勿論沙弓は和樹を好きだし信用しているが、浮気のささやかな仕返しといったところか(ついでに既に和樹無しでは辛いらしい、肉体的にも、精神的にも)

 

ここの沙弓、妙に黒いし、策士っぽい、でも可愛いかな?

 

とこれを見つめている人間が幾人か居たりする。

 

いや、見つめているのかな、これ、大いに疑問があるが。

 

 

 

 

 

一人目

 

「そう、沙弓、まだわかんないみたいね、私があれほど言ったのに(本人は忠告と主張する怪しげな行為、恐らく拷問とか洗脳とか言う)、それにしてもどういうことうちのクラスだけで9人も、ほかに何人いるの、まさか、あの女まで和樹に手だしてんじゃ・・・・・・・・」

 

と、何故か少し離れたところで和樹達を尾行していたかおりが自分の教育不足(沙弓に対して)を反省し、次の忠告(だから何をする)を考えつつ、現状を嘆いていた、でもかおり本来の目的を覚えているか、お前が態々海外から日本で教師をするようになった理由を、でもあの女って誰だろうねぇ。

 

 

 

 

 

二人目

 

黒いドイツ車に乗った怪しげな男が和樹を眺めていた。

 

 

 

 

 

三人目、こいつが問題か?

 

珍しく、和樹を誘わない、と言っても和樹は大体ほかの女の子(殆ど沙弓)を連れて夕菜をほっぽっているので、夕菜転校から一ヶ月近く経つが一緒に帰ったことはおろか、まともな会話もそれほど無い、会話があってもかなり問題がある、和樹のほうが逃げている。

 

結果最近自分の思い通りにならないのでかなり不機嫌で欲求不満な自称和樹の奥さん、他称妄想暴走ストーカー女(悪意はないですよ悪意は)、最近ではデビルキシャーが俗称となりつつある天災(人災)少女宮間夕菜である、この作品では何気に影が薄いが。

 

電柱の陰に隠れて、というかそこでたまたま待っていたのだが、和樹に逃げられるので待ち伏せに本日から切り替えていたのだ。

 

だが、妄想内で和気藹々と和樹と変える光景を浮かべて愛しい人を待っていたら見せ付けられるのは先ほどの二人の様子、傍目には仲のいい恋人同士(婚約者同士)という様子を見せつけられて(見せつけていません)、この女が正気を保てるか、否魔王夕菜が降臨するのは確実だろう、既に地獄の悪魔扱い、原作でもそんな感じだから問題は無いだろうが。

 

「ふふふ、いつもいつも和樹さんを連れ出していた女狐は貴方でしたか、杜崎さん。和樹さん、もうすぐ私の愛で助けてあげますからね、和樹さん。辛かったでしょうそんな体力馬鹿女に付き纏われて(付き纏っているのは貴方です)

 

と、かなり逝った言葉を放ちつつ瘴気を纏いながら和樹達に近づいていく夕菜。

 

彼女が理不尽の化身となっているのは確実、この話で始めての正式な武闘派少女夕菜降臨。

 

「ダーイ(死ね)

 

某戦争バカの高校生軍曹がいる高校の用務員のような決め台詞を吐きつつ、沙弓に向けて攻撃魔法を打ち放った、どうでもいいけど犯罪(暴行罪)だよねぇこれ。

 

いきなり食らったら普通死ぬだろうし、思いっきり不意打ちだし。

 

彼女からしたら和樹に付きまとう五月蝿い害虫を駆除した感覚だろうが、手が後ろに回るのは確実な行為である、それ以前にストーカー規制法にも引っ掛かりそうだが。

 

 

 

 

 

当の和樹と沙弓はというと突然迫り来る凄まじい濁流に、沙弓が反応するよりも早く和樹が沙弓を背中側に庇い、神城駿司と戦っていたときよりも更に早く踏み込み、特殊な呼吸法により練り上げた力を込めた左手で、迫り来る濁流を掌底の一撃で霧散させた。

 

魔力を込めた水流を唯の一撃で霧散させる特殊な一撃、魔法をアル無しでは使えない、和樹の切り札、駿司に対しても使わなかった、和樹の逆鱗に触れたものにだけ振るわれる力、今夕菜は和樹の逆鱗に再び触れた。

 

自分の女を傷つけようとしたという逆鱗に(アルの時に較べると冷静なのだが、アルに攻撃加えたら和樹は問答無用で内臓破裂くらいはやる)

 

和樹はこの理不尽な攻撃を加えてきた相手に、特に沙弓を狙ったことに怒ったのだ。

 

そして対応は非礼には非礼を、暴力には暴力を、理不尽には理不尽を。

 

 

 

 

 

だが、それを見て収まらないのがこの小娘、特に沙弓を自分の攻撃から庇った事に激怒しているのだろう。

 

「和樹さん、何でその女を庇うんですか!!!!

 

庇わないと、大怪我しいてるぞ沙弓は、そんな理屈は通用しないだろうが、それは凶眼と呼べるほどの瞳で和樹を睨みつけ、背中に魔王を背負ったその姿を見ればよく判るが。

 

「和樹さん、何か言ってください。そんな女を庇って、まさか浮気ですか、許しませんよ!!!

 

許すも何も和樹は夕菜とは付き合っていない、浮気は該当しない、会話もしていない相手に浮気を弾劾される覚えは欠片も無い。

 

「何をする」

 

和樹が据わった声で夕菜に問いかける、怒りに満ちた冷徹な声、冷たい怒気を押さえ込んだ羅刹の声。

 

「何って、そこの女狐に罰を与えるんです。その女は和樹さんを私から引き離す毒婦です、そんな人には当然の報いです。その人のせいで一緒に帰ることもお話すらも今まで出来なかったんです、許しません!!

 

理不尽な事を怒りに満ちた声で大真面目に言ってくれる、電波系の妄想少女の立場が確立して言っている(しつこいようですが原作でもこんなもんです)

 

「怪我をしたらどうする気だ!!!そんな上級魔法を使って、怪我じゃすまないかもしれないんだぞ」

 

和樹の言っていることも最もなのだが、それ以前に突っ込もう、普通の人間なら既に大怪我負っている、無傷な君は十分に化物である、しかも上級魔法を素手で吹き飛ばす辺り。

 

「だからなんなんです、それになんで和樹さんがその女を庇うんですか、やっぱり浮気なんだ!!!お仕置きです、これでも食らって反省してください!!

 

そう叫んで夕菜が和樹に向けて火球を放つ、いくら和樹でも物質ではない炎を防げない、とこんがりウェルダンになりそうなとき、沙弓の放った魔法障壁が火球を防ぐ。

 

沙弓も夕菜には劣るが一流の魔術師、とくに武闘派なので魔法は防御に特化している。

 

いくら魔力に差があってもある程度は防げる。

 

だが、和樹が死んだらどうする気なんだろうか、十分に死ねる威力の炎を放っている自覚は無さそうだが、彼女は和樹の実力なんて欠片も知らないのだろうし。

 

「何で防ぐんですか、防ぐ権利なんてありません。おとなしく喰らいなさい。キシャー」

 

そして先程とは比較にならない規模の火炎、いくらなんでも防げない、というか殺す気か!?

 

少なくとも沙弓は殺す気満々な気は否定しがたいが、超上級火炎魔法、戦術級魔法なぞお気軽に使わないで貰いたい、要塞攻略用魔法など。

 

圧倒的破壊の具現、幾ら和樹でも沙弓を連れては防御は難しい、それでも沙弓は障壁を張り和樹は沙弓を抱えて飛び退こうとする。

 

そこに沙弓の障壁に重ねるように一枚の符によって障壁が張られ、それでなんとか爆炎を遮断する、ついでにこれを張ったのはかおりではない、彼女は飛び出そうとしていたが一歩間に合わなかった。

 

このことを彼女は心底悔しがるのだが。

 

自分の攻撃が再度防がれ更に怒りを募らせた理不尽魔王が更に怒りの声と、怒りの具現を放とうとする前に、夕菜の背後から声が響き。

 

「はい、宮間の長女、貴方はこれで眠ってな」

 

と彼女の額に符を投じた女が、キョンシーみたいに額に二枚の符、魔封、招眠と書かれたものを貼り付ける、それでコロッと夕菜は眠りこけ、その女の傍らにいたいかにもボディガードですといった感じの男に物のようにポイット渡す、男は夕菜を連れて彼女が乗ってきたであろう外国製の高級車に乗って何処かへいってしまった。

 

大暴れした割にはあっさりした退場である。

 

 

 

 

 

でその女はというと、真っ黒のスーツを着たショートカットのどこか知的な感じの美人。

 

風椿家次女、風椿葉流華。

 

 

 

 

 

このときどこかのショタの入った過激なというか法を法と思わない長女が嫌な予感に襲われ。

 

「また私の坊やに女が近づく気がする、玖里子でもまた差し向けようかしら」

 

と言っていたそうな、あなたはニュータイプですか。

 

でもその当の玖里子が最近妖しかったりするんだが、自分の姉妹が敵になりつつ、既に敵か?ということを見抜けていないちょっと間抜けである。

 

 

 

 

 

ついでに玖里子は、偶然その姉の様子を見てさっさとどこかに行ってしまいました(逃げたとも言う)

 

「面倒はごめんよ」

 

適切な判断である、世渡り上手な玖理子さんでした。

 

 

 

 

 

「和樹、沙弓、久し振り、ついでに吸血鬼」

 

葉流華は和樹たちを眺めた後、駆けつけようとして間に合わなかったかおりを見て、ふふっ、と軽く哂った、勿論対象はあからさまだが。

 

で、その対象はというと、嘲るような笑いに対して若干怒りを感じつつ。

 

「ああ、久し振り、この成金女」

 

この二人中が悪いんだろうか、かおりの台詞で葉流華も微妙に不機嫌そうにしているがその表情の中にも笑みも浮かべている、微妙な表情である。

 

 

 

 

 

そんな二人の様子を眺めつつ、ギャラリー達は、和樹と沙弓しかいないのだが。

 

「相変わらずよね、この二人」

 

「仲はいいんだけどね、仲は、あの人まで加わるとね・・・・・・・・・・」

 

あの人、とは誰だろうか、どうも三人とも和樹達は良く知っているようだが。

 

「そうね、三人揃うと、・・・・・・・・・・・・・悪魔の饗宴?」

 

「もうちょっとソフトに、そうだね、サバトとか」

 

「それってソフトなの?」

 

「若干」

 

和樹は、先ほどの怒りも何とやら、沙弓ともどもこれから始まる一種の漫才の観客に成り下がる準備を進めていた、沙弓の手には何故かお茶の缶が二つあるし。

 

完全に観戦モードになりつつ、笑顔な不機嫌と言う共通の表情で皮肉を飛ばし合う、二人の美女を肴にお茶を楽しむのであった。

 

 

 

 

 

当の20歳以上(?)のお姉様がたはというと。

 

やっぱり漫才?をしていた。

 

「成金?私は自分の力で稼いだ金で生きている、おかげでどこかのゲーム狂とは違って塩を振ったパスタの夕食なんて味わったことも無いけどな」

 

因みにかおりは塩振りパスタなどかなり頻繁に食している、勿論葉流華の言ったような理由で。

 

理不尽なのはそんな不摂生をしていても肌が荒れたり美容に影響がない事だろうか、一応は人外、吸血鬼の真祖の末、食事程度では美貌は崩れないという事だろう。

 

吸血鬼は死なない限りその造形が崩れることはありえないのだろうが。

 

「ふん、自炊も出来ない女が何を言うんだか、食べたことが無いんじゃなくて、作れないんじゃないのか」

 

葉流華の料理は凛ちゃんといい勝負とだけ言っておこう、それだけで判るだろう、作られるのは生物化学兵器だという事が。

 

因みにかおりはその料理の被害を一度味わっている、以後二度と口にすることは無く料理をさせようとすることも無いと言う。

 

「くっ、かおり、お前だって」

 

「お生憎、私は家事万能(掃除能力以外)だから、そんなんだから男の一人もよってこないんじゃないか」

 

かおりの料理は家庭料理ではかなりのレベルである、ライカに匹敵できるかもしれない。

 

「いいさ、和樹に貰ってもらうから」

 

葉流華の台詞にかおりが鼻で笑うように言い返す。

 

「誰が、まさか25越えて処女の女がそんな大言吐くなんてねぇ」

 

因みにかおりが海外に幾三年前は葉流華が処女だったのは事実である、かおりは現在でも葉流華が処女だと思い込んでいたようだ。

 

だが、かおりのそんな指摘に対して、ふふん、と葉流華が勝ち誇ったように笑うと。

 

「あら、私は3年も前に和樹に捧げたわよ、和樹の初めては私、私の初めては和樹、貴方が海の向こうに行っているうちに、なかなか甘美だったよ、和樹とのセックスは」

 

葉流華が僅かにほほを染め和樹に視線を向け「今夜、どう」と目線で尋ねている。

 

言葉を受けたかおりには勝者の笑みを向けながら、でもそのやり取りは何となく子供の喧嘩じみても思えるが。

 

 

 

 

 

で、その発言を受けた和樹サイド、和樹は隣の沙弓にかなり圧倒的なプレッシャーを受けていたりする、理由は。

 

「そうなの、和樹。私のとき初めてとか言わなかったかしら貴方」

 

ゴゴゴゴッと擬音でも響き渡りそうな朗らかな笑みで、和樹に詰問、口調表情ともに柔らかいが有無を言わせない迫力を発揮しながら、和樹の以前の偽証を問い詰める、何気に手元の缶、スチール缶がかなりコンパクトなサイズになっているのが怖い。

 

「えと、その、駄目」

 

「まぁ、いいけど、今更だし、二人目は私なんでしょう」

 

発揮していた迫力の割にはあっさりその気配を鎮めさせる沙弓、確かに今更だがそれでいいのだろうか、まぁ、和樹の女関係に比べれば大した事には感じないのかもしれないが。

 

自分の初めてが和樹という事が重要なのかもしれないが、葉流華が自分より先でも納得できる人物であるという事も大きいだろう、ついでに和樹の三人目の女性がアルとなっている。

 

「初めてのとき、今思うと手馴れてたし、・・・・・・・・そのよかったし」

 

どうやら処女でいかされた沙弓らしい。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「どうした、まさか親戚の癖に狙っていたとか。そういえば言ってたか、前に、和樹に女を教えるって、私が教えたんだけど、結構いいのよ、和樹とのは、ねえ沙弓」

 

どうやら葉流華は和樹の女性関係を知っているらしい、それでも納得しているのなら、もう彼女も和樹から離れられないのだろう、唯その台詞を言う葉流華は男を知る女の淫靡さを漂わしていた。

 

しかし、振られた問いを沙弓が答えるよりも前に、かおりがその場に座り込んで。

 

「・・・・・・・・・・ぐすっ、何でよぉ、和樹のこと・・・・・・・・ンッ、大事に思っていたのは私なのにぃ、和樹と離れて三年も世界中に、ヒック・・・・・・・、それなのに、あんたら私の・・・・・・・・・・・ずるいじゃないのぉ、私なんてねぇ、男が欲しいな・・・・・・・・・・・・初めてだったのに、私がずっと和樹と・・・・・・・・・一緒にいたのに・・・・・・・・私だけぇ・・・・・・・・・・・・・・除け者に・・・・・・・・・酷いじゃないか・・・・・・・」

 

泣き出してしまった、顔が童顔なのでその泣き顔が幼さを強め、そして普段の態度から想像しない姿は痛々しかった、可愛らしくもあったが。

 

因みにかおりは最低でも100年以上を生きている、その一生の中で連れ合いを持ったことは無く、和樹は生まれたときからの付き合いとなっている。

 

いうなれば彼女は和樹に一番近い女性という事に為るのだろう、彼女は姉で。

 

そして何時しか女として和樹と接したかった、長い生で初めて得た慕情、それをのけ者にされて親友に先を越され、和樹自身にすら蔑ろにされたように感じたのだろう、その悲しみが彼女に涙を滴らせる。

 

だが、その涙を放っておける和樹か、否。

 

「えっと、かおり姉さん、姉さんのこと好きだから、その、のけ者とかそういうんじゃなくて、・・・・・・好きだよ、姉さん」

 

と、慰め+地雷を落としていた、ついでにこれ和樹意識してやっていない、天然なのだ、天然で女を落としている。

 

それから暫くは和樹が慰めの言葉を、もとい地雷の言葉をかおりにかけ、それを聴いて涙の意味が変わるかおりがいた。

 

安直な展開だが石を投げないで貰いたい。

 

 

 

 

 

それを傍らで見ている女二人は。

 

「これで、また一人増えたわよ、葉流華さん」

 

微妙に沙弓がむくレている、今更だがやっぱり気分がいいものではない。

 

「いいじゃない、あいつもさ、私たちの何倍も生きているのに一人ってのは本当なんだよ。

惚れた男に抱かれるくらいいいだろ、それに今更だ、あいつ何人に手出ししてるか」

 

「そうだけどね、そう言えば前から気になっていたんだけど、何であの時和樹を独占しなかったの?出来たでしょう、お師匠様」

 

「んー、あのときから私、かおりやあいつとは許すつもりだったし、お前も惚れてたでしょ、アルも私が連れてきたようなもんだし、まぁ、アルは江美那に頼まれたんだが。ああなっちゃったあとは和樹の好きでいいかなって、それにあいつに抱かれた女は幸せそうだ」

 

「葉流華さんも?」

 

「お前もだろ」

 

この会話から推察するに葉流華はかおりがこうなるように会話を進めたのかもしれない、かおりが和樹に抱かれるように、親友の孤独が癒されるように。

 

沙弓もそれを察したのか不機嫌な表情を引っ込め、苦笑交じりに笑っている。

 

二人が顔を見て、軽く口元で微笑み。

 

「今夜4人でどうだ」

 

「かおり先生、いきなり4p。初めてでしょ、あの人」

 

「だろうね、耳は肥えているんだけど、でも私も久し振りだし、いいだろ。お前はしょっちゅう和樹に抱かれてるんだろう」

 

「いいけど。あの古本娘ほどじゃないわよ。私の回数は」

 

同居と通い妻の差だろう、それは。

 

「それにあいつを鳴かせるのも面白そうだ」

 

「私にはやめてよね、私は和樹に喜ばして欲しいのよ。レズの趣味は無いわよ」

 

「分かったって、でも面白そうだろ。それに私もレズッ気は無い」

 

「そうね」

 

ついでに当のかおりは自分の初体験がかなり特殊なものになることを気付かず、和樹の言葉で真っ赤になって、涙を流して和樹に抱きついていた。

 

 

 

 

でその後。

 

葉流華の個人的に所有している高級マンションの寝室、馬鹿みたいにでかいベッドの上で。

 

「ああっ、和樹、そんなとこ汚い、舐めない・・・・・・・・あああっ、やめて、私、そんな、初めてなの・・・・・・・に」

 

「ちょ・・・・・・・・・あんたたち、そんなとこ、っていうかなんで、揉まないでよ・・・・・・・・あっ、くっ、ふぅっ、耳はやめ、胸、コラ葉流華、あんた、そこ舐めないで・・・」

 

「和樹、かおり先生のここ、やっぱり処女みたいだから、優しくね」

 

「か、和樹、そのや、優しく、お願い」

 

「・・・・・・クッ・・・・・・・・・・はっ、ううっ・・・・・・・・もう、大丈夫、動いて」

 

「あっ、・・・・・・・・・・・・くっ、んん」

 

「かおり、ここどうだ、ほら、痛みも和らぐかな」

 

「あ、あ、あんた、そんなと・・・こやめて、和樹、見てる、今、入ってるの・・・に

ああっ・・・・・・・・な、そこやめ」

 

「和樹、そろそろ、私も欲しい、その我慢が・・・・・な」

 

「は、はる、・・・・・・今日は和樹、私の、あっ、くぅっ、和樹膣に・・・・出して、私、吸血鬼だから・・・滅多に大丈夫・・・・だから・・・・・・・和樹、感じさせて」

 

「あったかい、これが・・・・・・和樹の・・その、なんか・・気持ちいい」

 

 

 

 

 

その後、沙弓と葉流華がそれぞれ和樹の相手となり、三人揃って恍惚とした顔で被きに抱きついて幸せそうな顔で眠っていた。

 

特にかおりの顔は、長年何時も僅かに張り付いた寂しさがなく、微笑みに包まれた顔に和樹がキスをして、聞こえていないと判りながら囁く。

 

「姉さん、僕が多分最初に好きになったの姉さんなのに、悲しませて御免」

 

そう言って、和樹も眠りに付いたのだった、かおりの顔から涙が流れているのには気付かずに。

 

 

 

 

 

追記、その日朝帰りとなった為、アルは真っ赤な目で(寝ていない)帰ってきた和樹を睨み、ボンバー君シリーズ9号まですべてを用いて和樹にお仕置きしたそうな。

 

中々、三途の川は綺麗だったとのコメントが帰ってきた和樹の台詞だった、どうやら臨死体験一歩手前までいってこれたようだ。

 

 

 

 

 

 

追記2、和樹たちを見ていたドイツ車では。

 

「おいおい、あの餓鬼、素手であれを防ぐか、こりゃ、苦労するかね」

 

と、一応夕菜、微妙に和樹の一時の平安を守っていたりする。

 

 

 

 

 

かおりと結ばれて数日後の国際空港ロビー。

 

クリーム色のロングコート、背が高く、艶やかな金髪を背に降ろしている女、サングラスを掛けているのでその表情は見て取れないが、モデル並みの美人だというのはそれでもわかる。

 

先ほど日本に到着したのだろう、少し早足でロビーを歩いていた、急いでいるのかその表情は若干焦っており、焦っている内容が内容なので拍子抜けするが。

 

本人には真剣な問題なのかもしれない、多分。

 

「くそっ、葉流華だけでなくかおりに沙弓もか。それに誰だ和樹の部屋に住んでいる娘は。

到着が遅れたのが忌々しい、これでは私が和樹があの毒婦どもに穢されて。それに仕事はどうしたんだ仕事を忘れてあいつら抜け駆けしおって」

 

だからかおりにあんたは和樹との再会が理由で日本来たんじゃないでしょ、少なくとも表向きはと言うか対面上は、せめてその方面でも焦ろうよ、少しはさ。

 

一応仕事を放棄して乳繰り合っている吸血鬼に対しては愚痴に近いようなことを言ってはいるが。

 

「そんなもの、和樹なら独力で何とかするかもしれん、あの二人が張り付いているのだしな。

だが私を蔑ろにしたこと後悔させてやる、特にあの吸血鬼、私より数日帰国が早いだけで、泣き落としとは・・・・・・・・・・・・やってみるかな?案外上手くいくかも知れんな」

 

時たま忌々しそうに手にある書類、和樹が心配で麻衣香同様個人的に調査を依頼した報告書が、本来とは違う用途で彼女を焦らせていた、本来は和樹の身辺に危険が迫っていないかを調べさせていたのだが、彼女主観の危険が入れ替わっている。

 

どうでもいいが地の文に突っ込まないで貰いたい。

 

「今何か言ったところで仕方が無い、行くか」

 

渋面を貼り付けたような表情で、と先ほどよりもさらに足早に彼女は空港から去っていった、目指すは葵学園。

 

 

 

 

 

で、話は和樹サイドに戻す。

 

最近自分の部屋ではなく葉流華のマンション、億ションなのでかなり広い、にパラサイトしている、かおり、和樹、沙弓、アル(一人ぼっちになるので和樹が連れてきた、勿論デンプシーロールのお仕置きを話した途端喰らったが。それでも付いてきた)、食費までたかっているので正しく寄生虫。

 

沙弓以外の三人はまるで金が無いトリオなのだ。

 

と、言っても、葉流華=生活無能力者、アル、沙弓、かおり、和樹=家事能力あり。

 

結果としては葉流華の生活環境、特に食事事情はかなり上昇していたりする、久し振りの家庭料理を美味そうに食べていた、一人ぐらいの彼女の食事は殆どが外食なのだから、なまじ金持ちだから高級料理ばかりにも辟易していたらしい。

 

なお製作者アル・アジフ&伊庭かおり、人外コンビの夕食を突付いていた、メニュー肉じゃが、しめ鯖、新香、茄子の味噌汁、五目御飯、伊達に長生きしていない二人だった。

 

「姉さんの御飯は久し振りだけど、美味しかったよ」

 

和樹が久し振りに食べる、姉(正しくは姉ではないが)の料理に賛辞を述べると、かおりが僅かに照れるように表情を綻ばせ。

 

「ありがと」

 

自分は何も言われないアルが拗ねたような口調で言葉を紡ぐ。

 

「和樹、妾も作ったのじゃが」

 

「アルも美味かったよ」

 

も、扱いに少し拗ねたのか、ほほを膨らませて微妙に和樹を、見上げる、そんな様子を和樹が見て、アルが拗ねているのを見て取って。

 

「拗ねるなって」

 

と、猫のように顎の下を撫でる、アルは気持ちよさそうにして、機嫌は直したようだ、猫化は更に進んでいるようだが。

 

「コラ、和樹、くすぐ・・ったい、ひゃん、くぅぅ」

 

顔を真っ赤にして、猫のように背を仰け反らしている、猫そのものともいえる。

 

(((いいなぁ)))

 

周囲女性陣の正直なところといったところか、葉流華ですらそう考えていたのだから。

 

で、食事が終わりまったりしているところで鳴りインターフォンがいちおう家主、葉流華が応対するために玄関に向かう。

 

玄関の先に現れたのは。

 

「どしたの、玖里子?」

 

滅多に顔を見せない腹違いの妹、その他に凛、和美、ライカ、久し振りのエルザもいる。

 

他の人物は顔を知らないのもいるからスルーされたようだ。

 

 

 

 

 

なんでこの珍しい面子が揃ったかというと、時間は少し前に遡る。

 

和樹の自宅前で何故かばったり偶然出くわしたのだ、和美、凛、玖里子、ライカ、の面識があったりなかったりする四人が。

 

ライカと玖里子が互いに知らず、他の面子の顔は大体判っているようだった。

 

因みに和樹の家の前には下記の住所に現在いますご連絡は下記住所まで、式森探偵事務所と書かれた張り紙が張ったとか、滅多に客が来ないがその辺は律儀な和樹だった。

 

ついでにそれぞれの用事はというと。

 

 

 

 

 

神城凛の場合。

 

ここに着く暫く前の思考を抜粋する。

 

(駿司にこのようなものを渡されたが、どうやって、その式森先輩を誘えば)

 

顔を若干赤く染めながら、いつもの巫女服のような出で立ちで手に持った“大ドイツ展”と書かれたチケット2枚を見つめていた。

 

駿司に強引に押し付けられたチケットらしいがどうやった和樹を誘えばいいのか悩んでいるようだった、この辺は初心な凛ちゃんには難行だろう。

 

(でもこれはその、デートというのでは、式森先輩と、そ、その恋人同士であるという証左となって(何を今更)、でも私は、そう、これを貰ったのだから、婚約者という)

 

凛が見つめる左手の薬指には確かに銀の指輪、アルと御揃いが輝いている、勿論駿司に脅された和樹が無い袖を更に振って頑張って買った一品であるのだが。

 

それをふにゃぁ、と擬音を盛大につけたくなるような表情、つまりしまりが無い、で見ている表情は普段の凛からかなりかけ離れている、壊れているといってもいいだろう。

 

(式森先輩がこれを送られてから(駿司に脅されました)3日と空けずにその、あれだ。私の体を・・・・・・・和樹さんに愛されて、和樹さんは私の胸を揉みしだいて・・・・男性の・・・・・・・を押し付けて・・・・それを私が口で・・・・・奉仕するのは嫌じゃ、ってなにを考えて・・・だが・・・・・最近では上に乗るのも嫌じゃな・・・・・・でも私は後ろから・・・・・・・激しくされるのが好き・・・・・・・でもデートとなれば昼は一緒に歩いて、・・・・・・・・食事を取って、その後夜景のみえるホテルで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ガラスに手を付いて後ろから・・・・・・・立ったまま、何度も・・・・・・・・私が懇願しても・・・・・・・・何度もおなかの中に、それでは妊娠してしまう・・・・・・・・和樹さんの子、いいな・・・・・・・・・アレに細工でも)

 

虚空を眺めながら時折恍惚とした表情を浮かべる凛だった、周りに誰もいないのが幸いか、いたら絶対檻のある病院送りだろうから、黄色い救急車に乗せられて。

 

まぁ、二年生の某女子生徒は今すぐにでも檻のある病院に入院したほうが人類のためと明言できる存在がいたりいなかったりするんだが。

 

ついでに和樹、凛ちゃんかなり最後のほう君にとって危険な思考をしてるぞ、もう一度言うが女の子がそんな思考をし出したら君はもう籠の中の鳥になるしかない。

 

真の鬼畜に為る勇気が無いのならば、だが、和樹にそんな外道なことは出来まい。

 

いやまあ、君の場合遅いか早いかの違いで、近いうちに出来そうだけどね、多分。

 

ライカさん出来たかどうか明言して無いし(前話参照)

 

 

 

 

 

松田和美の場合

 

凛に比べてこの子は案外まともだったりする、何げにこの小説では常識人の苦労人で通っている、原作ではB組最強の策士。

 

(式森と、デートか久し振りかしらね、でも今回枚数余っているし、沙弓とアルちゃんも一緒に、あの二人とは仲良くしてないと(ついでに女子一同の共通認識))

 

ついでに持っているのは“大ドイツ展”のチケット4枚だった。

 

(あの子案外可愛らしいところあるから、そうね今度はあの服を)

 

どうやら和美は結構アルを気に入っているらしい、台詞から着せ替え人形としてかもしれないが、原作でも恋愛関係はクリーンなお嬢さんでしたし部屋もかなりマトモだろうからセンスは悪くないだろう。

 

もしかしたら奥さんにするには一番いいのは彼女かもしれないと作者である。

 

何気に健気だし、優秀だし、優しいし、度量は広いし。

 

 

 

 

風椿玖里子の場合。

 

このお姉さんは純粋に大量に手に入ったチケット、何のなのかはもう言うまい、でみんなで遊びに行こうと純粋に誘いに来たらしい、和樹を狙ってないわけではないらしいが。

 

恋愛的経験値は案外低めの常識的な金持ち娘、今現在の和樹に対する感情は以下の通りのようだ。

 

(無理して狙わなくても、向こうからねぇ。それに姉さんも怖いし)

 

どうやら向こうから狼になってくれるのを待っているようだ、姉、麻衣香が怖いと言うのも事実だろうが、彼女の和樹に対する執念を理解しているのも最近使い魔のようにこき使われている玖里子なのだから。

 

しかし彼女、自分の他の姉が既に向こう側にいると知って、それ以来結構積極的になったりするんだがそれは余談(葉流華談、玖里子は案外奥手で初心だから、なかなかね)

 

 

 

 

 

ライカ・クルセイドの場合。

 

「私も和樹ちゃんの婚約者なんだから偶にはデートにでもいくべきじゃないかしら」

 

と、微妙に和樹が自分をデートに誘ってくれない不満を漏らしつつ手にチケットを携えて歩いていた、デートって言ってもあんた等数日に一回のペースで和樹が通いの夫の如くに来てナニやナニを散々やらかしておいて、和樹君に体は一つしかないんだよ。

 

まぁ、恋する乙女にはその辺の不満を抑えろといっても無駄なのかもしれないが。

 

因みに彼女も純粋にデートを楽しもうと来訪したらしい。

 

 

 

 

 

来訪動機を見てみると本来清純派な筈の凛ちゃんが一番生々しい想像をしているのは免疫が全然無い状態から和樹のハードプレイにより調教された結果だろうか。

 

それだとかなり罪作りな和樹である、凛ちゃん完全に和樹に開発し尽くされたという事なんだから、責任を取ってあげようね、和樹君。

 

 

 

 

 

で一同マンションの入り口で会い、和樹のところに来たのだが、この時点で凛とライカの二人きりでデートというのは潰えている、危険は去っていないだろうが。

 

というか、あの凛ちゃん、もしかして駿司がなにか吹き込んでいないか、女の子が男を手に入れる方法(男の視点より、こういう手段をとられたら男が逃げられない方法)とか。

 

で、玄関先にあるメモに目を留めるのだがかなり大雑把な地図は他人が見たら判り辛い、電話番号なども記載はされていたから電話すれば良いだけなのだが。

 

そこにちょうど、買い物から帰って来た、エルザ(いちおう彼女がウエストの世話をしている)が。

 

「ん、ダーリンのところに行きたいロボか?風椿葉流華のとこロボよ」

 

ついでに葉流華とエルザとドクターウエスト、知り合いであったりする、どういう敬意で知り合ったかは詳細には記さないが。

 

玖里子は、エルザが口に出した名前が気になるところだ、自分にとっては意外すぎる名前が出てきたのだから。

 

まさか自分のもう一人の姉が和樹を餌食にしたなど夢にも思っていないだろう。

 

「葉流華って、姉さんとこ」

 

「妹さんロボか?」

 

エルザ、そういえば玖里子の顔は知っていても名前は知らないのだった、登場したときは自己紹介が終わっていたし、それ以降会うことも無かったのだから。

 

「そうよ、姉さん知っているの?」

 

「知っているロボ、葉流華のとこいくロボ?」

 

これはエルザの単なる親切心と、ダーリンに会いにいけるロボと言う恋慕の感情から出た言葉だが、基本的には親切な娘なエルザである、ついでにこのときエルザ、ウエストの食事の用意のことなんて銀河の彼方においてきて、付いて行く気満々である、哀れ製作者。

 

 

 

 

 

数時間後のウエスト。

 

「エルザ、遅いのであるなあ、我輩腹が減って、ちょっと気分がブルーなのである、・・・・・・・・・・ちょっと見に行くのであるか」

 

どうやら腹が減って○○○○ぶりもなりを潜めているようだ、何気に自分の義娘の心配はしていない、暴力でエルザをどうにか出来る存在など早々無いと割り切っているのかもしれない、それよりはどこかで道草食っているほうを疑う。

 

そんな考えを抱きつつ、ウエストがドアをあけた先には、「ダーリンのとこ行ってくるロボ、今夜は帰らないロボ、エルザ女になってくるロボ、博士はこれ適当に食べるロボ、ピーマンもたべるロボ、夜更かしは駄目ロボ」と書かれた、紙が貼り付けられた材料のままの買い物袋が合ったりする。

 

ウエストは何も言わずそれを持って部屋に戻り、以外に器用な手つきで調理を行い、手先は器用らしい。

 

完成すると、それを食卓にもって行き、突然涙を流しながら。

 

「我輩は要らない製作者であるか・・・・・・うううっ」

 

涙ながらにお手製のチンジャオロース(言いつけを守ってピーマン入り)を突付きながら、どこぞの少年のようなことを呟いていた、どこか哀愁の漂う父親のようだった。

 

 

 

 

 

で、そんなこんなでこの五人が葉流華のマンションに来ていたのである、ついでにこの部屋馬鹿みたいに広かったりするので全員が入っても狭かったりするわけではない。

 

「姉さん、久し振り。でもなんで和樹と一緒にいるの」

 

何と無く玖里子は答えを確信しつつも一応の確認のつもりなのか質問を出す。

 

「それは、私が和樹の恋人の一人だからな」

 

玖里子は諦めたように首を振り、予想通りだったことにため息を吐きつつ、妙に疲れた声を呟く、もしかしたら本当に疲れたのかもしれないが。

 

「姉さんも、麻衣香姉さんもよ。どうなってんのよ」

 

「江美那もだよ、お前も加わるか、麻衣香姉だけが抱かれてないんだけどな」

 

と久々の姉妹の交流を図っていた、玖里子にとっては何故か疲れる姉妹の交友と為ったのは言うまでも無いが。

 

 

 

 

 

因みに凛、和美、エルザ、ライカはと言うと、和樹のほうにとっとと行っていた、家主のほうも何も言わないからどうでもいいことだろう。

 

この時点でチケットはみんなで行くとなっていたのだが。

 

「大ドイツ展?晴海でやってるやつ」

 

「そ、みんなで行かない」

 

「ダーリン、一緒にお出かけロボ」

 

「いいんじゃない、結構話題になってるみたいだし」

 

「ほう、ドイツのゲームメーカーも、おもしろそう」

 

「先輩、行きませんか」

 

とみんな結構乗り気である、勿論和樹に否は無く、行くことになった。

 

 

 

 

その夜、エルザ、玖里子、沙弓、和美が、それぞれ、エルザは博士が心配ロボ(基本的に仲はいい)といって帰り、3人は用事があると帰っていった。

 

今夜も、美女たちの嬌声は上がるのだが。

 

「和樹、そうそこ、ひゃん、くっ、はぁっ、胸を揉む・・・・くはぁぁっ、そこは、止め、いっちゃ・・・・・・ははっ・・・・・・・膣に、和樹のを・・・・・・」

 

「なんか来るっ、これ・・・・・また昨日と同じ、駄目ぇぇっ、こわれるっ、こわれるぅっ、・・・・・・・やめてぇぇ、駄目・・・・・・・・・・・・あっ、あぅはっ・・・・・・・・・ああああああああつつっ」

 

「先輩、・・・・・・くぅ、くちゅ、くちゅ、ぷはっ・・・・・んっ・・どうです・・・・・・ひゃん、そんなとこに舌を挿れないでぇ、あっ・・・・・・・ぴちゃ、くちゃ、んんんんっ、あっ、んんんんんんっ、凄い、まだこんな・・・・・・・・・あっ」

 

「なれ、なれぇ、妾はぁ、わらわ、・・・・・・んんんんんっ・・・・もっと唇を・・・・・・感じさせてくれぇ、なれの唇、・・・・・・・・・・はっ、熱い」

 

「和樹ちゃん、和樹ちゃん、和樹ちゃん。・・・・・・・・駄目、お姉さん駄目ェ。そんなとこに指入れないで、きひぃ。いちゃ・・・・・・・」

 

と五人とも存分にイカされたようだ、既に2人ダウン、葉流華とかおり、ライカ、やっぱり年齢か?

 

アルは和樹が覆いかぶさるようにいまだ行為に耽っており、凛はそんな和樹の唇に自分の唇を押し当て、和樹の手を秘部に押し当てていた、すっかり凛ちゃん目覚めているようだ。

 

「壊れる、こわれるぅ、もうだめ、だめぇぇぇっ、なれぇ、・・・・・ゆる・・して・・・・・こわ・・・・・・れ・・・・・ふああああああああああああああああっ」

 

「和樹さん、和樹さん、後ろから・・・・・・・んっ、ああああっ、はげし・・・・きゃん、く、・・・・・・・こうですか、はぁぁっ、んっんんっ、ちゅ、・・・・・・・・・・」

 

こいつらは化け物か?

 


 今回の後書きは前後編なので第六話に纏めます。

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