魔・武・仙の物語【第九章】


 

「ん・・・・?」

 ふと見回りをしていたリュークは、唐突に振り返った。

【どうかなさいました?】

「・・・・・・・この気配は・・・」

 すると突然リュークは駆け出した。

【あ!? リュ、リューク様〜!】

 エルも慌てて、その後を追いかける。

 五班が宿泊している部屋の前でリュークは反対方向から駆け寄って来る刹那と合流した。

「リューク先生! では、やはり今の気配は・・・!?」

 頷くリューク。刹那は舌打ちし、二人は部屋の中に入っていった。

「神楽坂さん! このかお嬢様は!?」

 部屋に入ると、トイレを我慢してモジモジしている夕映と明日菜が起きていた。

「え? そこのトイレに入ってるけど?」

 明日菜は血相を変えている刹那とリュークを見て不思議そうにトイレを指す。

「じゅ、十分くらいです〜!」

 夕映は我慢して飛び跳ねながら答える。

「こ、このか〜。いるよね〜?」

 明日菜が恐る恐るノックすると、扉の向こうから「入っとりますえ〜」と声が返ってきた。その声を聞いてリュークは眉を顰める。

「どけ!」

「あ! ちょ、ちょっとリューク!?」

 明日菜を突き飛ばしてトイレの扉を開けるリューク。そして中を見て目を見開いた。トイレに木乃香の姿は無く、変なお札が一枚だけあって、「入っとりますえ〜」と声を出していた。

「し、しまった! やられました!」

「ど、ど、どうしよ〜!」

「何でも良いから私にオシッコさせてくださ〜い!!」

 夕映が三人を退けてトイレに入ると、リューク達は廊下に出た。

「どうしよ〜! あ〜! 私が付いていながら〜!」

「けど何で奴等は近衛さんを・・・」

「それは・・・」

 刹那が何か言いかけた時、突然、明日菜の頭の中にネギの声が響いた。

≪アスナさん、アスナさん、聞こえますか〜?≫

「え!? な、何コレ!? ネギの声!?」

「ああ、仮契約のカードの力だ・・・けど、これ神楽坂さんもカード持ってないと意味無いぞ」

 リュークにも分かったようで、彼は目を閉じるとネギと念話した。

≪ネギ、聞こえるか?≫

≪あ、リュー君≫

≪近衛さんが攫われた≫

≪えぇ〜!? こ、このかさんが!?≫

≪ああ。これから彼女を・・・≫

≪えぅ!? お、おサル!?≫

 その時、いきなり変な声を上げるネギ。

≪こ、このかさん!?≫

 そして彼の口から出た言葉にリュークは目を見開く。そして念話を終えると、明日菜と刹那に言った。

「二人とも、近衛さんはネギの所にいる!」

「え!?」

「本当ですか!?」

「ああ。二人とも僕に掴まれ!」

 言われて二人はリュークの肩を掴んだ。

「エル、お前はもしもの時の為に生徒達の護衛を」

【はい!】

 生徒をエルに任せ、リュークは目を閉じて呪文を詠唱した。

「我らを彼の地へと導け」

 するとリューク達は光に包まれて、そこから姿を消した。

 

 ぶぅんっ!

 渡月橋にいたネギは光と共に現れたリューク達を見て声を上げる。

「リュー君! た、助けて!」

 ネギは体を小さいサルの式神に纏わり付かれて魔法の詠唱を邪魔されていた。リュークは舌打ちすると、明日菜達と共にサルを取り払う。

「ネギ先生! 敵は!?」

「あ、あっちに!」

 ネギが指差した方向をリュークはジッと見る。

「前方約600メートルか・・・」

「見えるの!?」

「暗くて分かりにくいが・・・魔力を目に集中すれば見える」

 あっさりと凄い事を言うリュークに驚きながらも四人は木乃香を追いかけた。

 やがて前方に大きなサルが木乃香を抱きかかえて走っているのが見える。

「待て〜!」

 するとサルは振り返って舌打ちした。

「ち・・・しつこい奴は嫌われますどえ」

 そのままサルは駅の方へ走って行った。

「何なのよ〜! あのデカいサルの着ぐるみは!」

「恐らく関西呪術協会の呪符使いです」

「奴め、駅に人払いをかけたな・・・」

 駅に人っ子一人いないので不思議に思うと、リュークは人払いの呪符が貼られているのを見つけて眉を顰めた。

 するとサルの入った電車が発車しかけていたので四人は何とか滑り込む。

「うわっと! 間に合った〜!」

「ネギ先生、リューク先生! 前の車両に追い詰めますよ!」

 刹那に言われてリューク達は前の車両に向かって走り出す。その途中でサルを見つけた。

「待て〜!」

 するとサルは振り返って肩に乗っている子ザルが呪符を取り出した。

「ふふ。ほな、二枚目のお札さん行きますえ。お札さん、お札さん、ウチを逃がしておくれやす」

 ドパァッ!!

 サルが呪文を唱えると、その車両に大量の水が発生した。四人は水で溢れた車両に閉じ込められ、サルは前の車両でほくそ笑んでいる。

「ラステボゴボッ!」

 呪文を唱えようにも水の中なので詠唱が出来ないネギ。刹那も水が邪魔して剣が触れないでいた。

「・・・・・・・」

 リュークは動揺せず、マテリアルソードを取り出した。そして氷の刃を作り出すと、刹那に前の車両を指差した。刹那はハッとなって頷くと、リュークと共に前の車両に突っ込んで、それぞれ剣を突き刺した。

 すると、そのヒビから水が一気に流れ出した。

「あ〜れ〜!」

 その水はサルを巻き込んで流れていく。やがて電車はある駅で停まり、扉が開くと全員が水ごと外に流される。

「げほっ! げほっ! がはっ!」

 すると激しく咳込むリュークに明日菜が慌てて背中を摩る。

「リュ、リューク、あんた大丈夫!?」

「あ、ああ・・・・げほっ!(ちっ! やはり水の中は駄目か・・・)」

 リュークは舌打ちすると、同じように流れ出たサルを睨みつける。

「な、中々やりますな〜。しかし、このかお嬢様は返しまへんえ」

 そう言うとサルは再び木乃香を抱えて走り出した。四人も急いで追いかけた。

「刹那さん、一体どういう事ですか!?」

「タダの嫌がらせじゃなかったの!? あのおサル、何でこのか一人を誘拐しようとするのよ!?」

 ネギと明日菜に問われて、刹那は仕方なさそうに答えた。

「じ、実は以前より関西呪術協会の中に、このかお嬢様を東の麻帆良学園へやってしまった事を快く思わぬ輩がいて・・・・。
 恐らく・・・奴等は、このかお嬢様の力を利用して関西呪術協会を牛耳ろうとしているのでは・・・」

「えぇ〜!?」

「な、何ですかソレ〜!?」

 ネギと明日菜は驚きを隠せない。

「私も学園長も甘かったと言わざるを得ません。まさか修学旅行中に誘拐などという暴挙に及ぶとは・・・・。
 しかし、元々、関西呪術協会は裏の仕事も請け負う組織。このような強行手段に出る者がいてもおかしくはなかったのです!」

 悔しそうに唇を噛み締める刹那。先頭を走っていたリュークはこの駅にも人払いの呪符があるのを見つけた。

「やはり計画的な犯行か・・・」

「くっ! 私が付いていながら!」

 そう言って四人は改札口を飛び越えると、長い階段の所で眼鏡の女性がサルの着ぐるみを脱いでいた。その女性を見てリュークは眉を顰める。

「ふふ・・・よ〜、此処まで追って来れましたな」

「ん? お前・・・シオンに埋められた奴じゃないか?」

「!? な、何でソレを!?」

 女性はハッとなって口を塞いだ。リュークはフッと笑うと、マテリアルソードを強く握り締めた。

「シオンに代わって今度は僕が相手をしよう」

「残念やけど、あんさん達は此処で終わりや。三枚目のお札、いかせて貰いますえ」

 そう言うと女性は呪符を取り出した。刹那は呪符を発動させる前に斬りかかろうとする。

「おのれ、させるか!」

「お札さん、お札さん、ウチを逃がしておくれやす」

 だが女性は呪符を発動させた。すると階段に巨大な大文字が発生した。

「喰らいなはれ! 三枚符術・京都大文字焼き!!」

「うあ!!」

「桜咲さん!」

 炎に包まれそうになった刹那を明日菜が庇うように抱き締める。

「ネギ!」

「うん! ラス・テル マ・スキル マギステル!」

「氷の精霊よ」

「吹け(フレット) 一陣の風(ウネ・ウェンテ)」

「凍てつきしは汝の息吹」

「風花(フランス) 風塵乱舞(サルタティオ・ブルウェレア)!!!」

「罪深き者に極寒の裁きを!!!」

 ネギの風とリュークの氷が合わさって吹雪となり、炎を一瞬で消し去った。

「な、何やて!?」

 ネギは明日菜の仮契約カードを取り出し、明日菜と刹那の前に立つ。

「逃がしませんよ! このかさんは僕の生徒で・・・・大事な友達です!」

「と、いう訳だ。四対一は卑怯だと思うが、近衛さんは返して貰う」

 その隣にリュークが立ち、マテリアルソードに炎の刃を作り出す。ネギはバッと仮契約カードを掲げた。

「契約執行(シス・メア・パルス) 180秒間(ペル・ケントウム・オクトーギンダ・セクンダース)!! ネギの従者(ミニストラ・ネギィ) 『神楽坂 明日菜』!!」

「んっ・・・」

 ネギとの仮契約が発動すると、明日菜は光に包まれた。明日菜はグッと表情を引き締めると、刹那に振り返る。

「桜咲さん! 行くよ!」

「え・・・あ、はい!」

 明日菜はダッと階段を駆け上がり、女性に突っ込んで行く。

「も〜、さっきの火、下手したら火傷しちゃうじゃない! そこのバカ猿女〜! このかを返しなさ〜い!!」

【兄貴! アレだ!】

「うん!」

 カモに言われ、ネギは仮契約のカードを出す。

「アスナさん! パートナーだけが使えるアーティファクト(専用アイテム)を出します! アスナさんのは“ハマノツルギ(エンシス・エクソルキザンス)”!! 武器だと思います! 受け取ってください!」

「武器!? よ、よ〜し、頂戴ネギ!」

 ネギは頷くと、明日菜に仮契約カードを向けた。

「能力発動(エクセルケアース・ポテンティアム) 神楽坂 明日菜!!」

 バシュッ!!

「きゃ! き、来たよ、何か凄そう!」

 手の中に現れた光に明日菜は目を輝かせる。が、手に収まったものを見て表情を引き攣らせた。

「な、何コレー!? ただのハリセンじゃない!」

 そう。彼女の手に現れたのはツッコミの必需品であるハリセンだった。

「あ、あれ? おかしいな〜」

【え〜い! 行っちまえ、姐さん!!】

 カモに言われ、明日菜はヤケクソ気味に刹那と一緒に女性に向かってハリセンを振り下ろした。

 バシィッ!×2

 だが、女性の前にファンシーなサルとクマが現れて二人の攻撃を防いだ。

「な、何コレ!?」

「コレが呪符使いの善鬼と護鬼です! 間抜けなのは外見だけです! 気をつけて下さい、神楽坂さん!」

「ホホホホ! ウチの猿鬼と熊鬼は中々強力ですえ! 一生、そいつ等の相手でもしてなはれ!」

 女性は木乃香を担いで再び逃げ出そうとする。

「このか! このぉ〜!!!」

 パァンッ!!

 明日菜は思いっ切り叫んでハリセンを振り下ろすと、猿鬼が弾け飛んだ。

「あ、あれ?」

「何やて〜!?」

 まさか一般の中学生の明日菜が式神を倒した事が信じられず驚く女性。

「な、何か良く分かんないけど行けそーよ! そのクマ(?)は任せて、このかを!」

「すみません! お願いします!」

 刹那は熊鬼を明日菜に任せ、女性に突っ込んで行く。

「このかお嬢様を返せ〜!」

「え〜い」

「な!?」

 その時、刹那に向かって一人の少女が突っ込んで来た。二人はぶつかり合い、弾き飛ばし合う。

「(な!? しまった、この剣筋・・・神鳴流剣士か!)」

「どうも〜、お初に〜」

 その少女は何処かおっとりした口調で喋る眼鏡の少女だった。西洋人形みたいな服を着ており、刹那とは違い右手に大刀、左手に小刀を持っている。

「え? お、お前が神鳴流剣士?」

「はい〜。月詠いいます〜。見たとこ、貴女は神鳴流の先輩さんみたいですけど、護衛に雇われたからには本気でいかせて貰いますわ〜」

「こんなのが神鳴流とは・・・時代も変わったものだ」

「ほな、お手柔らかに〜」

 ダッと月詠は刹那に向かって突っ込んで来る。

「(む!? こ、こいつ、出来る!)」

 小回りの効く二本の刀を相手に刹那は苦戦する。

「ふふ・・・・ほな、ウチはこの辺で」

「近衛さんを返してくれるのか?」

「!?」

 逃げようとした女性だったが、ハッと後ろにリュークが現れて目を見開く。炎の刃を立てるマテリアルソードを構えるリュークに女性は冷や汗を垂らして引く。

「斬岩剣!!!」

「!?」

 ドバァッ!!

 突然の背後からの奇襲をリュークはジャンプして避けて、階段の横のエスカレーターの手摺りに立つ。

「鬼道坂 京・・・!」

「ふふん。新幹線の決着つけよ〜か、ボン」

「お前も生き埋めになってたんじゃないのか?」

「あんなんで死ぬかボケェ!!」

 恥ずかしい事をサラッと言われ、京はリュークに向かって突っ込んで行く。そして、二人はそのまま激しい攻防を続けた。

「ま、まぁコレで足止めはOKやな。ほな、今の内に・・・」

 女性は木乃香を子ザルに持たせ、逃げようとすると後ろから呪文の詠唱が聞こえた。

「ラス・テル マ・スキル マギステル  風の精霊11人(ウンデキム・スピリトゥス・アエリアーレス) 縛鎖となりて(ウィンクルム・ファクティ) 敵を捕まえろ(イニミクム・カプテント)!!」

「ああ! しまった! ガキ(本体)を忘れてた!」

「もう遅いです!! 魔法の射手(サギタ・マギカ) 戒めの風矢(アエール・カプトゥーラエ)!!」

 ネギの放つ風の矢が女性に向かって襲い掛かる。

「あひい! お助け〜!」

 女性は咄嗟に木乃香を盾にすると、ネギは大きく目を見開いた。

「あ! ま、曲がれ!」

 すると風の矢はスッと彼女達からの軌道を逸らした。女性は不思議に思うが、ニヤッと笑みを浮かべる。

「はは〜ん、読めましたえ。甘ちゃんやな。人質が多少怪我するくらい気にせず、打ち抜けばえ〜のに。
 ホ〜ホホホ! 全く、この娘は役に立ちますなぁ! この調子で、この後も利用させて貰うわ!」

「くっ! こ、このかをどうする気なのよ〜!?」

 熊鬼と戦う明日菜が叫ぶように尋ねると、女性は木乃香を肩に担いで笑みを浮かべて言った。

「せやな〜。まずは呪薬と呪符でも使って口を利けんようにして、上手い事、ウチらの言うこと聞く操り人形にするのがえ〜な、くっくっく・・・」

「な・・・・」

「何ですって・・・・」

「外道が・・・」

 ネギ、明日菜が大きく目を見開き、リュークが舌打ちし、刹那は無言で額に青筋を浮かべた。

「ほなな〜、ガキども。お尻ぺんぺ〜ん」

 木乃香のお尻を叩いて笑みを浮かべながら言う女性。

「このかお嬢様に何をするか〜!!!」

「このかに何てことすんのよ〜!!!」

 すると刹那と明日菜が、月詠と熊鬼をぶっ飛ばして女性に向かって駆け出す。

「何やて!?」

「余所見している暇があるのか?」

「!?」

 一瞬、リュークから目を逸らした京。その隙にリュークは彼の腹部に手を添えた。

「風よ 弾けろ!!」

 ドシャア!!

「かはっ!」

 風を暴発させ、京を吹き飛ばす。リュークはネギの隣に立つと二人は頷き合って、ステッキと手を向けた。

「風花 武装解除(フランス・エクサルマティオー)!!」

 パァンッ!

「なぁ〜!?」

 凄まじい突風が吹き、女性の服が消し飛んだ。

「彼の者を束縛せよ!!」

 そして、地面から幾つもの光のロープが飛び出し、女性を拘束した。

「くっ!」

「こんの〜!!」

 パァンッ!!

「あた〜!」

 拘束されたまま、明日菜のハリセンでどつかれる。

「秘剣 百花繚乱!!」

 トドメに刹那の秘剣が放たれ、女性は吹き飛ばされた。

 女性は派手に転げ回り、壁に激突する。

「な、なな・・・」

 女性は四人に睨み付けられ、フラフラと立ち上がる。

「何でガキがこんな強いんや・・・・くっ!」

 女性は苦々しそうに式神を呼び出すと、月詠、京を連れて飛んで行った。

「おぼえてなはれ〜!」

「あ! ま、待て〜!」

 慌てて追いかけようとする明日菜だったが、刹那に「追う必要はありません」と言われて制止させられる。

【そういえば、あいつ。このか姉さんに、薬や呪符を使うとか言ってたけど・・・・】

 ふとカモがポツリと呟くと、刹那は顔を真っ青にして木乃香に駆け寄る。

「大丈夫。気を失ってるだけだ」

 だが、既にリュークが木乃香に浴衣の上着を着せて様態を見ていた。

「そ、そうですか・・・・良かった」

「ん・・・あれ? せっちゃん?」

 すると木乃香は気が付いて刹那の名前を呼ぶ。刹那は顔を赤くして驚いた。

「あ〜、せっちゃん。ウチ夢見たえ・・・変なおサルに攫われて・・・でも、せっちゃんやアスナやネギ君にリュー君が助けてくれるんや・・・」

 それを聞いて刹那はホッと安堵の溜め息を吐いた。

「良かった。もう大丈夫です、このかお嬢様・・・」

 そう言って優しく微笑んで刹那を見て、木乃香は目に薄っすらと浮かべて笑った。

「良かった〜。せっちゃん、ウチのこと嫌ってる訳やなかったんやな〜」

「え? そ、そりゃ私かてこのちゃんと話し・・・・」

 刹那は顔をカァァと赤くして言うが、ハッとなって木乃香から離れて膝を突いた。

「し、失礼しました!」

「え・・・せっちゃん?」

「わ、私はこのちゃ・・・お嬢様をお守り出来れば、それだけで幸せ・・・・いや、それも、ひっそりと影からお支え出来ればそれで・・・あの・・・・」

 もはや彼女自身何を言ったら良いのか分からないようで、背中を向けると「御免!」と言って逃げ出した。

「刹那さん・・・」

「う〜ん・・・イキナリ仲良くしろって言っても難しいかも・・・」

 明日菜は、そう呟くと「桜咲さ〜ん!!」と大声で彼女を呼び止めた。

「明日の班行動、一緒に奈良回ろうね〜! 約束だよ〜!」

 そう言う明日菜に刹那は目を丸くした。

「明日菜さん・・・」

「大丈夫だって、このか。安心しなよ」

「でも・・・って、あれ〜? ウチ、何でこんな格好しとるんやろ?」

 ふと木乃香は自分が浴衣の上着一枚しか着ていない事に気が付いた。

「いえ! それは・・・あの・・・!」

「色々あったわね〜。今日、まだ初日の夜なんて・・・どうなっちゃうのよ、この修学旅行は・・・」

「さて、僕は色々と壊したものの後始末するか・・・」

 慌てるネギを他所に明日菜とリュークは我知らずと言った様子で言うのであった。


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