第六話 騒乱の巻 後編


 

 

 

大ドイツ展会場。

 

和樹達一行、和樹、アル、沙弓、凛、エルザ、玖里子、和美、涼、ケイ、矢夜、未空、そしてかおりにライカに葉流華、そして何故か居るドクターウエスト、美少女、美女軍団の中で白衣を羽織っているこいつだけが妙に浮いていた。

 

単純に言えばその存在全てがこの手のテーマパークから完全否定されそうな存在の癖にここに居るなといいたいところだろうか。

 

因みに同伴者のコメントは。

 

「なんで、あれがいるのよ」沙弓

 

「なんでかついてきたんだ」和樹

 

「というかあの人誰」涼

 

「我が家の隣に住む○○○○じゃ、なに噛付きはせん」アル

 

「というか、夏なのになんで外で白衣着ているの、このあたり浮いているわよ」和美

 

と、学生陣+oneがウエストの存在に疑問を浮かべていた、この辺に突っ込みはまだマシなほうで。

 

「葉流華、あれ何」かおり

 

既にかおりからあれと呼ばれ人間扱いを受けていないウエスト、ちょっぴり哀れ。

 

「知り合いなんだが、どう言えばいいのか」葉流華

 

葉流華は人物評価をどう下すか悩んでいるようだった、確かにどういえばいいのか、というか知り合いといえるだけ立派な気がする、先ず常人は知り合いだという事を完全否定してくれると思うから。

 

「マッドなキチガ○、人間だと思うけど。一応うちの常連かしら。ついでにエルザちゃんのパパさん」

 

前話以降何故か打ち解けているお姉さんズの新参ライカが止めを刺す、貴方も人間と言う枠内にウエストを入れるのを疑問視しますか。

 

いや、何気にウエストたまに人外かと思わせるタフネスは見せるがそれ以外は至極マトモなスペックしか保有していないと思うが、マッドな技術関連を除いて。

 

 

 

 

 

当のウエストはというと。

 

「んー、久々であるなぁ、たまにはこういった、俗世間のイベントにかかわるのも、この銀河一超絶天才の緑色の脳細胞を刺激するのも、我輩の偉大な研究を一歩前進するためには重要であーる。何も我輩の愛しい愛娘エルザがどこぞの変態ハーレム願望少年に、無責任に情欲のまま嬲られ、貪るだけ貪って飽きられたら足蹴にされ、おらおら金がないなら体売って稼いでこんかぁ、しかぁし苛烈な情欲をその純真な体で受け止めたエルザは抵抗できず鬼畜男に貢ぎ続ける。ような未来を心配して付いてきたのではないのであーる・・・・・・・「博士五月蝿いロボ」ぶぎゃ」

 

自分の最高傑作、本人談愛娘エルザを心配して付いてきたのは明白だが、当の愛娘に強制的に沈黙させられているのでは世話は無いと思う。

 

案外親バカなのだ、この○○○○、ついでに薄幸かもしれない。

 

 

 

 

 

そんなこんなで総勢十五名、十分大所帯である、しかも団体行動、協調性を「それってナニ、美味しいの」とでも言い出しそうな面子でこの数では何が起こることやら。

 

 

 

 

それを遠目に見ている妖しい男と女。

 

 

 

 

「ありゃ何だ、フィアールカ?」

 

「目標とその女たちらしいわよ、他にも居るみたいだけど」

 

「マジか、何人囲ってんだよ。あの餓鬼、まともじゃあねえだろうけどよ」

 

「どういうこと、目標は只の学生のはずよ」

 

「んなわけあるかよ、クラスSの魔法素手で吹き飛ばしていたぜ、油断したら食われちまうよ、あの背の高い女と、年食ってる女二人、変な白衣野郎に緑髪の女、それとあの黒髪のちっせえ女は結構やりそうだ、まともにやっちゃこっちが総力つぎ込んでもヤバイかもな、適当に女攫うか?」

 

何気に冷静な判断を下している、まだまだ甘い判定だが、過小評価と言うほどでもない。

 

「任せるわ、でも貴方そんなに用心深かったのね」

 

「はん、楽に仕事してぇだけさ、あの銀髪の女、女ってよりありゃ完全にガキが、あいつにするか」

 

男が見つめる先には、いつもの白いミニドレスではなく、恐らく和美辺りだろうに着せられた、スパッツに、ミニスカート、ノースリーブのシャツに髪をリボンで束ねられた、かなり可愛らしいアルが居た、ある意味最悪の選択であるのだが、他の子でも似たようなものであろうが、ついでに次点に最悪なのはエルザ、かおりである、個人戦闘能力が高すぎる、かたや○○○○だが、技術力はあるウエスト謹製、マギウス・モードの和樹とも渡り合う人造人間、かたや真祖の齢100を超える吸血鬼、狙うほうが不幸な気がする。

 

その次を挙げると葉流華、沙弓、凛となるだろうか、因みに戦闘能力と言うよりは上記の二人は肉体耐久度のほうが図抜けているのだが。

 

 

 

 

 

で、そんなことは露知らずかなりこっちは揉めていた、そもそも基本的に数が多いのである、十五人も居て混雑した中を見て回るのは相当な重労働になるし時間も食う、となると幾人かに分かれてみて回るのが効率的なのだ、そちらのほうが楽だし楽しめるだろう。

 

だが、彼女達が心から楽しむ条件の一つ、誰が和樹と一緒に回るかという点で張り合っていた、勿論和樹に発言権はない。

 

大体、男にこの場合発言権、拒否権、選択権、その他諸々の権利は認められない。

 

論戦の対象になっている和樹はというと、入場してすぐに在るベンチでウエスト相手にその争いを眺めるしかなかった。

 

「少年、一応年長者&良識者(どの口でそれを言う)として忠告するのであるが、ほどほどにするべきであると、最近切に思うのは我輩だけであるか。ついでにエルザはやらないのであるのでその辺は理解しておくようにである」

 

妙にまともなことを言うウエスト、基本的に○○○○だがこの辺はまともなのかもしれない、パパさんとしてはそれなりに優秀なのかもしれないし。

 

「・・・・・・・・たまに、思うかな」

 

和樹が、論戦を繰り広げる面子に目を向けて僅かに疲れたようにため息をつきつつ返答する。

 

「たまであるか、そんなことではあと1年もすると、少年がこの世に精子と卵子が受精した結果細胞分裂で増殖し、母体の中から生まれ出でて18年目の日に少年目の前に10を越す人生の墓場への直行切符を切らなければならないと思うのであるが我輩は、それはもう心の底から。ついでにエルザとその人生への葉壁への直行切符に書くのは禁止である」

 

案外エルザ関連にしつこいウエスト。

 

だが言っていることは的を得ているので和樹としても反論の仕様が無い、ウエストの言っている事は簡単に予測できることなのだから。

 

「・・・・・・・・・・・・どうしましょう」

 

「聞かれても困るのである、というか完全無欠、空前絶後、四面楚歌に少年の荒野を走る獣のような情欲の為した結果であって自業自得であーる、こうなったら誕生日前に我輩が作った幼児まで退行する薬のモルモットになることがお勧めである、しかし法的に人生の墓場にいける年齢であるからあまり意味が無いかもしれないであるが」

 

と、ウエストに説教されているのは人間として少々問題がありまくりなきがする、和樹は少々自分の行動に反省、でもすぐに忘れるんだろうが、をほんの僅かしていた。

 

大体説教されて改めるぐらいならば冥府に行けるぐらいアルからお仕置きの名を借りた折檻を受けることは無いだろう。

 

 

 

 

 

で、女性達はと言うと、直接的な実力行使にこそでていないものの、かなり熾烈な神経戦を広げていた、一往、三チームで分けようとしているが、勿論問題は和樹が入った組の残り4人であって、基本的に他はどうでもいいのだ、基本的に仲はいいのだから。

 

残った十人が適当に分かれてもそれなりに楽しめる、重要なのは式森和樹只一人。

 

「妾は和樹と一緒でなければ嫌じゃ。こんなところ滅多にこれんのじゃから」

 

アルは少しほほを染めて、それでも小さな声で言う、因みに来られないのは和樹達が心から貧乏だからである、遊興費以前に衣食住が最優先だ。

 

「ダーリンと一緒に回るのはエルザロボ、一緒にお昼食べて見て回るロボ、古本娘なんか比べ物にならないサービスするロボよ」

 

テーマパークで何をサービスする気だエルザ、何気に製作者よりも常識が無いか。

 

「はいはい、でも私は誰でもいいかな、この宝石展見てみたいし」

 

玖里子は本当に誰でもよさそうだ、まだ和樹への感情は慕情と呼ぶには程遠いし妥当なところだろうか。

 

「私は玖里子と一緒でいい、たまにはコイツと回ってもいいだろう。滅多にこういうところに一緒に来たこともないし」

 

風椿は姉妹セット行動である、葉流華さん妹思いだよなぁ、原作でも何気に常識人だし。

 

「私は、その、先輩とこの武器展というのに」

 

少し赤くなりながら、というか凛ちゃん、普段考えてることもっと凄いのに今更この程度、と言っても口に出すのは恥ずかしいってところかな?

 

経験値は低いし、本来奥手なお嬢様育ち+修行三昧だったから。

 

「私も久し振りだし姉(親戚のお姉さん)として和樹と一緒に」

 

姉の立場を使おうとするかおり、久し振りなのは事実なのだからいいだろうが、この面子に姉の立場など余り通用しないんじゃないのだろうか。

 

「こんなとこ久し振り、お金なくって、式森君とのデートじゃ、両方とも貧乏だし、だから式森君とがいいなぁ」

 

万年金欠少女、飯尾未空、ちょっと可哀想かもしれない。

 

「和樹とデートって久し振りなのよね、いつも私の部屋引き込んで、アレに耽ってたし、気持ちいいんだけど、やっぱり精神的な繋がりも重要よね」

 

性欲少女、高碕涼である。

 

未空のような同情の余地はない。

 

「私も武器展かしら、和樹も好きだし、一緒がいいわね」

 

沙弓、確かに貴方武闘派だし、和樹はナイフ使いだし、だが凛と一緒で見るものに色気が無いぞお前等。

 

「式森君とがいい、私最近ついてないの、だからみんな可哀想な私に愛しい人との愛を感じる時間ぐらいくれたっていいと思うの、世間は冷たいけど、式森君との愛でなんとかやっていけるわ、ついでにこのドイツ呪術展がいいな」

 

微妙にネガティブなのかポジティブなのか判らないことを言いつつ、ちゃっかり自分の希望は言っている、矢夜、案外前向きなのかもしれない。

 

「私は、式森とならどこでもいい」

 

黒のゴスロリ系の服で逆十字を下げた、ケイが言っている、どうでもいいが周りの客が引いているのは絶対ウエストだけじゃなくて彼女もその一因だろう、絶対。

 

その服装はかなり離れたところからでもよく目立つことだろうから。

 

「和樹とか、駄目なら沙弓一緒に回らない」

 

やっぱりこのSSではみんなの理性と化している松田和美、和樹の微妙な救いになっているかもしれない。

 

「お姉さんも誰とでも良いですよぉ。でも和樹ちゃんとがいいかなぁ」

 

なんか呑気なライカさん、二人きりがなせない時点で完全に行楽モードに突入したのかもしれない、普段お店を経営している分そんなに遠出して遊びに来ることも彼女は無いだろうし。

 

 

 

 

 

結局

 

和樹と共に行動を主張する十人でその中の四人が和樹とであるが、一緒に行くことになったのは、かおり、飯尾未空、ライカ、神城凛の4人。

 

他は、風椿姉妹、アル、ウエスト、エルザの組と、松田和美、杜崎沙弓、諏訪園ケイ、千野矢夜、高碕涼の組、和樹と別れたアルは頬を膨らまして不満をあらわにしていたが、彼女たちが譲るはずもない。

 

ライカもせっかく回ってきた幸運にアルちゃん御免ねぇ、とか言って譲ろうとはしなかったし。

 

かなり不満そうにだが葉流華が宥めつつ、玖里子が促して、使いっぱしりにされたウエストの買ってきた、クレープやアイスクリームで少し機嫌を直していた、本当に少しだったが。

 

昼食時に集まる場所と時間を決め、それぞれが思い思いの場所に足を伸ばしていった。

 

 

 

 

 

松田達は普段同じクラスでしかも和樹関連でそれなりに結束が固いので、原作と比べるとはるかに仲がいい(裏をかこうとしたりしないし、男子、特に仲丸、という共通の敵が居るため)、傍目には普通の女子高生の集団に見えたり見えなかったり、ケイの服装が原因でかなり目立つが。

 

それでも彼女達はB組だった。

 

というか仲がよく結束が出来たため、今まで足の引っ張り合いをして失敗していた謀略がすんなり、彼女達が呆気にとられるほどうまくいく、嬉しい誤算だったろう。

 

欲の権化であるB組の欠点、結束力の無さが無くなり、以前と変わって(「他人の不幸は蜜の味、他人の幸せ砒素の味」の時)仲間内(和樹関連女子)の力が強まり、逆に以前のままの仲丸達が泣きを見ているらしい。

 

団結した欲の権化、彼女たちに実質学園内に敵はいなかった、性格は相変わらずだが、でも一年前に調査された結果よりも彼女達が少し丸くなったと葵学園非合法サークル、アイドル研究会会報より報じられている。

 

因みに会報の内容は。

 

(掲載記事葵学園アイドルランキング一般投票部門

 

なお選出方法は前回会報に掲載されていた写真に写された女の子を任意で投票。

 

一位、どこから嗅ぎ付けたのかアル=アジフ、和樹が懇切丁寧な尋問により写真の出所は判明、平和的な暴力により説得し写真などを回収したという。 

 

なお投票者は男女問わずで教職員からも人気が高かったとかなんとか、教職員取り締まろうよ。

 

二位、意外なことに高碕涼、以前の少年っぽさから女らしさが加わったのがツボらしいただし両性からの投票、しかも年下からが有力。

 

三位、神城凛、妹にしたい、猫になってという年上女性票多数、勿論本人は知らない、それに知らないほうが幸福だろう、学校内で同性から貞操の危機を感じるのは哀れに過ぎる、でも若い女教師からも投票があったとか。

 

四位宮間夕菜、真実を知らないということは幸福なこと、それ以外にコメントなし。

 

五位風椿葉流華、今度はお姉さまになってという女性票、本人はかなり嫌な顔をしていた、というかアイドル?(・・年齢が・・ハッ、作者はどこかに逃亡した)

 

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

十位、エルザ、だからどこから嗅ぎ付けた、記事を知ったウエストが掲載者を拉致って耳元で始終ギターをかき鳴らし、妖しげな薬品で尋問、出所ごとエルザ関連の記憶及び写真の消去を敢行。)

 

因みに彼女達が現在企んで、もとい考えているのは。

 

「和樹を生徒会長に」

 

「そう、それで私たちが役員、副会長は人気の高い沙弓、書記は来花、文化祭実行役員は一子、会計は和美ね(ここが大きな一歩会計を他人に委ねている)、私たちで学園を牛耳るのよ」

 

いきなり話を振られて驚く沙弓に、具体的な役職を振る涼。

 

「いいわね、それ、学校の生活は進路にもかかわるわ、和樹にはいいところ行ってもらわないと、私たちの将来のためにも」

 

とここで頷く一同、和樹君ヤバイぞ、彼女たちは本気だ。

 

因みに葵学園はエリート養成学校なので普通の学校よりも、生徒会といった役職についていたほうが後々有利になるらしい、だが和樹は余り金を稼ぐ素質が無いように感じるのだが、まぁ、その辺は彼女達がしっかりしていればいいことかもしれない。

 

実際こんな風に、かなり具体的に話し合って、和樹の将来談に至るまで話が添加して言っているし、何故か沙弓が一番熱心だったりするが。

 

 

 

 

 

それでも見るべきところはちゃんと見て楽しんでもいた。

 

順調にあちこちでそれぞれ開かれている、ヨーロッパの最新ファッションの展示やアクセサリー、化粧品など女の子の行くところはそれなりに回っていた、勿論最近金回りのいい彼女たちの荷物も増えていった、妙に下着類や露出の激しい衣装が多いのが気にかかるが。

 

使用目的は判りすぎるほど判りやすい。

 

 

 

 

 

アル達はというと、和樹がいなくて不満なアルの不機嫌を何とか鎮め、鎮めるといっても供物として差し出した菓子と、鬱憤晴らしのサンドバッグとかしたウエストを気が済むまでいたぶっているだけなのだが。

 

「痛い、痛い、痛いのである、我輩の頭を叩かないで欲しいのであーる、これ首を絞めるのは反・・・・・・・・・・、ぷはっ、我輩の才能に恐れをなして、今のうちに息の根を止めておこうとは何たる卑劣、この宇宙まれに見る我輩の頭脳が悪いのであるか、それではいけないのであるぞ、他者を妬むのではなく認めるのである、妬んでいては道は開けないのである、そうすれば我輩のように、偉大な一歩をおおおおおおおっ、髪を引っ張るなであーる」

 

「ハハハ、博士。変な顔ロボ」

 

アルはウエストの髪の毛を掴み引っ張りまわしていた、かなり痛そうである。

 

エルザは助けるでもなく笑って見ているだけなので案外に薄情である、エルザの白状が今に始まったものでもないが、そう考えるとやっぱり薄幸かもしれないドクターウエスト。

 

ついでにウエスト達は会場内のドイツのお菓子を食べさせてくれる店のオープンテラスに居るのでウエストが座っているのでアルの手が届く。

 

「アル、○○○○と遊んでないで座っていろ、たしかアプフェルトルテ(ドイツの林檎のケーキ、ベルリンあたりでメジャーらしい)は前に食べさせた時気に入っていただろう、それに他にも頼んでおいたぞ」

 

「ぬぅー、まぁよい、葉流華、チョコレートはあるのか」

 

「ワッフルのチョコレート掛けがあったから、頼んでおいた」

 

「そうか」

 

まだ少々不機嫌そうだが、食べたことのないお菓子に期待があるのか、それほどでもなさそうだ、ウエストをいたぶって憂さが晴れただけなのかもしれないが。

 

(なんか、駄々をこねる子供と母親みたいね)と、見ていた玖里子が考えていると。

 

注文していたお菓子が、それはもう沢山運ばれてきた、この時点でアルの機嫌は完全に直っていた、目の前の盛大なお菓子はアルには大層魅力的に写ったのだろう。

 

只この時一つの不幸と言うか、災害と言うか、その発端を作った、運んできた店員、悪意はないのだろう、というかそう思いたい玖里子だった、というかアレは厚意だったのだろう。

 

「良かったわね、お嬢ちゃん。お父さんとお母さんと一緒にお出かけできて、今日は楽しんでいってください、後こ野アイスクリームは店からのサービスです」

 

とワッフルにチョコレートソースだけでなくアイスクリームが添えられていたものをアルの前に差し出した、それなりに盛大に盛られておりアルの食指を更に動かせるようなサービス、無論アルは喜んだのだが。

 

葉流華が真っ白になっていた、自分の年齢的にお母さん呼ばわりされたのも原因だが、それ以上の理由もある。

 

ついでにアルの外見年齢10から12歳前後、ウエスト恐らく20代中盤から後半、葉流華も同じく。

 

「私が、私がこの○○○○と夫婦、こんな○○○○と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・(延々繰り返しております)・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

半分壊れていた、年齢的なものも含んでいるだろうが、決定打は白衣のマッドとの夫婦扱い、幾らなんでも酷すぎる、人間の尊厳に関わる、こういうとウエストの扱いが悪く聞こえるが、彼女の認識から見ればそんなもんである。

 

一方のウエストはというと、運ばれて来たコーヒーを、優雅に香りで楽しみつつ、自分で注文した、ケーキとクッキーを楽しんでいた。

 

「ウエスト」

 

「欲しいのであるか、どれこれとこれをやるのである」

 

と、自分の立場、ウエストの子ども扱いされたということに頓着せず、というか聞いていたんだろうか?ウエストからクッキーを貰い嬉しそうに頬張るアルとそれを見て和やかに微笑んでいる絵は十分に親子に見えた、外見からにじみ出るウエストの○○○○ッぷりを除けば。

 

因みに実の娘の位置にいるエルザも店員の発言は無視してアルと競い合わんばかりに食事に取り掛かっていた、女の子は甘い物好きと言うスタンスは魔道ロボ煮も通用するようだ。

 

葉流華は。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

いまだ壊れていた。

 

それを見たウエストが言わんでもいいのに。

 

「何を呆けているであるか、風椿葉流華?あの程度のことでほうけるとはなっていないであるぞ、それに我輩にも好みというものがあるのである、我輩としてはもっとこうおとなしく、我輩の知的探究心に賛同してくれる、清らかな女性が好みであーる」

 

言ってしまった。

 

作者としてはこう言いたい、雉も鳴かねば撃たれまいに、と、言ったところで救いになるとは思わないが。

 

玖里子はこれから起こるであろう惨劇の為に、運ばれてきたお菓子を、アルを連れて既に遠くに離れていた、アルは手に一杯にお菓子を持ってキョトンと玖里子を見て。

 

「どうしたのじゃ、妾はまだ食べておるぞ」

 

全く現状を把握していないらしい、今も両手にフォークとナイフを構えているのがそれを表している、エルザでさえ危険の空気を察して、皿を持てるだけ持って玖里子の近くに避難していたと言うのに、完全に目の前の菓子類に集中し切っていたようだ。

 

「アルちゃん、こっちで食べましょう、あの二人はこれから大変だから」

 

その言葉は真実を付いているだろうが大変なのはウエストだけだろう。

 

これよりあまりに凄惨なため音声によりお伝えします。

 

「ど、どうしたのであるか、風椿葉流華、何で妙に表情がないのであるか。そんなでは嫁の貰い手がこないのであるぞ、シングルの女性に偏見は持っておらんが、何故、そんなに風を切って拳が出るのであるか、何故、拳が見えないのであるか、我輩の襟首を掴まないでほしいのである、どこに引き摺っていくであるか」

 

「地獄よ」

 

「地獄、何故にヘル!!! 我輩のような無垢でピュアな純真で子供の心を常に持ち続ける永遠の少年である我輩が、嫌である不許可である、行きたくないのである、我輩が何をしたのである」

 

「存在が罪よ」

 

「ぐはっ、がはっ、げほっ、ぶはっ、ぎゃはっ、ごほっ、ぴぎゃっ、ぬはっ・・・・・・・・」

 

「ほらほら、立ちなさい、たって詫びなさい、生まれてきて御免なさいって」

 

「ぐはっ、がはっ、げほっ、ぶはっ、ぎゃはっ、ごほっ、ぴぎゃっ、ぬはっ・・・・・・・・」

 

誰が嫁の貰い手が無いって、誰ががさつだって、誰が邪悪だって、普段無駄に滑らかに喋るその口で早く言いなさい、誰がそうなの。ほら言えといっている」

 

「ぐはっ、がはっ、げほっ、ぶはっ、ぎゃはっ、ごほっ、ぴぎゃっ、ぬはっ・・・・・・・・」

 

何、聞こえない、日本語を喋りなさい・・・・・・・・・何故、我輩がこんな目にか・・・・・・・・・・・・・・そうか、反省が足りないようだ。それとももっと殴られたいか」

 

(以下続きます)

 

 

 

 

 

あまりに残酷な光景を見せ付けられている、エルザ、アル、玖里子の三人娘、折角の菓子類もほんのり漂ってくる鉄の香りにより台無しにされている。

 

何より阿鼻叫喚をバックコーラスにして和気藹々と菓子を突付く度胸は流石のアルにも無い、三人は引き攣った表情で、肉槐へと変わるウエストを案じるしかなかった。

 

「玖里子・・・・・・・・・・・・ドクターウエストは生きているかのぅ」

 

「多分」

 

「博士、線香は供えるロボから、迷わずお空に旅立つロボよ」

 

姉さん、キレてるわね、と呟いて三人は葉流華は決して怒らせまいと心に誓ったのであった、葉流華のバイオレンスの嵐は恐ろしすぎる。

 

 

 

 

 

で、和樹たち。

 

かおりと凛、そして和樹の興味を持ったため武器展に来ていた、未空は武器に興味はないが和樹と腕を組んでいたので幸せそうではあった、ライカは武器への興味は微妙そうであるが、未空の抱いている腕を羨ましそうに見ていた。

 

これだけ見ると傍目にはカップル、和樹×未空、凛は学友、かおりとライカは同伴者として見られそうなものだが、彼等を見て少年がこの全員を喰っている予想できる奴がいたらそいつはニュータイプかもしれない。

 

だが、この殆ど女性中心の一行は男性が中心の武器展にはあまりに目立ちすぎている気がする、全く女性がいないわけでもないが、和樹が連れている女性は見た目のグレードがかなり高いから嫌でも目立つ、何気に和樹に負の感情を向けているものもいるかもしれない。

 

ついでにドイツといえば銃はHK社しか知らない作者である。

 

MP5(映画でも良く見るサブマシンガン、結構高い)や、PSG1(物凄く高いスナイパーライフル)を見て和樹が。

 

「欲しい」

 

と呟いている、欲して買えるものでもないと言う気がするが、その辺はどうとでもなりそうだ、和樹は自宅にショットガンを持っていたような気がするし。

 

どちらかと言うと銃器に掛かる費用のほうがネックかもしれない、貧乏和樹が手を出すには余りに高額すぎる。

 

「うーん、高過ぎるぞ、これぐらいにしとけ」

 

とかおりが懐から、周囲に見えないようにCz-75(チェコ・スロバキアの名銃、信頼性が高い、いい加減古いのだが、人気が高い、でも拳銃にしてはやっぱり高い)

 

何故こんな物を携帯しているかを突っ込んではいけない。

 

持つ必要がある職業にかおりも従事しているとだけは明記しておくが、真祖の吸血鬼である以上、かおりは銃器に頼るよりも其の肉体の攻撃能力や魔力に頼ったほうが強いのではないかと言う疑問はある、真祖の吸血鬼は化物と呼ばれる連中の中でも上位の能力を保有しているのだから。

 

そしてかおりと和樹+腕に飯尾未空でかなりマニアック過ぎる銃器論議に入ったとか入らなかったとか、中断させたのは。

 

「それより、隣に行きましょう。刀剣が展示しています」

 

銃のことはわからない凛が隣にある西洋刀のほうに行くように求める、どうやら銃器は彼女の好みからは離れるのか今一興味が沸かないようだ。

 

そして刀剣の会場である隣のブースに移動し展示されている数多の種類の刃物を眺める一行、只刃物といっても日本刀のように斬る事が目的と言うよりは突くことや、叩きつけることが目的に作られた剣などが目に付く。

 

日本刀はこと斬ることに関しては世界一の切れ味を誇る刀剣類最強武器ではあるが西洋での剣というものは斬る事よりも叩き付けることを目的として作られた差だろう、其の分頑丈ではあるし(日本刀は脆いという欠点を抱えている)

 

会話はマニアックだが、凛と和樹とかおりそれにライカも加わってそっちでも何事か話していた、一番平和なのはこの組かもしれない。

 

未空は話の内容が判らないが和樹の腕にしがみつくだけでご満悦だったし。

 

 

 

 

 

再び女子高生組一行はというと、買い物も一段落してオープンカフェで昼の集合の時間まで時間を潰していた、見るものもあるのだが昼まででは時間が微妙だった為だ。

 

それぞれ飲み物を頼みつつ、やっぱり世間的には少しずれたというか危ない議題で会話していたりする、テーマは日本の法改正、特に婚姻に関してであるが(彼女たちにとっては死活問題かもしれない、一年後ある書類を携えてある少年を求めて血で血を洗う抗争をしなければならない、仲が良くなってもそこはそれというか、なんと言うかである)

 

日本の廃れたの側室制度の復活こいつらなら本当にやってのけそうなのが怖いところだ、無理矢理弱みを握られて法案を可決させられる議員先生の姿が目に浮かぶようだ、与党、野党の国会議員の皆さんがちょっと憐れ。

 

下らない税金の使い方をする役立たずな国会だが、脅迫されて法案を可決させられるのは苦渋の極みだろうから(因みに作者は国に対して変な偏見を持ってはいません)

 

特に白熱して議論しているのがケイと涼、矢夜(ヤバ目なのが二人いるのに注意)で、それを眺める残りは。

 

「今更だけど貴方余裕だったのよね」

 

一応婚約者杜崎沙弓のことだが、何が余裕なのだろう。

 

「ええ」

 

微妙に優越感に浸った声で返事を告げる沙弓、だが沙弓の返答に対して。

 

「でも、神城も婚約者よね、アルちゃんも、最近危ないんじゃない婚約者さん」

 

和樹に対する立場か、因みにライカが婚約者になっているのは未だバレテいない。

 

そう考えると沙弓の立場は微妙である、婚約者の肩書きが有名無実化しかねない、和美に指摘されるまで気づかなかったのだろうか。

 

沙弓がボソリと凍りつくような声で涼達の論議に意見を提示する。

 

「・・・・・・・・・・涼、議員の家族も調たほうがいいわ、絶対身内の権力強い奴はろくなことしない人間は居ないはずよ、最悪捏造でも何でも」

 

火がついたか、危機感を覚えたかどっちにしろ提示する条件が合法から離れてい捏造も犯罪行為だ、その辺は沙弓もB組だしって言葉で片付けられるが。

 

「どうせ、議員なんて連中は腹に黒い物の百や二百は抱えているでしょうけど。恥部から公開すると脅すのよ、多少の黒い噂はもみ消そうとするけど、人間としての恥じはスキャンダル以上の速度で広がるから」

 

何気に考えていることがえぐかった、失脚以上に人間としての社会生活を奪う脅し方を考えているようだ、やっぱりここの沙弓は黒いのかもしれない。

 

と、話している内容は犯罪集団の密談の一歩手前のような気もするが、まぁ、平和だった。

 

多分。

 

 

 

 

 

そんな様子を眺めつつ、それでも時折えげつない意見を述べる(この小説の良心と化しているが彼女は松田和美である姦計では彼女の右に出るものは早々いない)和美が少し離れたところに見知った顔があることに気付いた。

 

彼女のクラスメート、菫淳子が一人で端のほうの席で一人で座っているのを視界の端に捕らえたのだ、余りかかわりの無い生徒だったが、こんな場所で偶然出くわしたなら多少は気が引かれるのは人間の性だろう、和美は沙弓の袖を引いて。

 

「ねぇ、沙弓あれ菫さんよね」

 

「重婚を可能にするには性的なスキャンダルの暴露は不味いわ、印象が悪いし。世論は敵に回すと厄介でしょうし、都合のいい情報のみを流して世論を操作するのよ、勿論拒否したら人間として社会には二度と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何、和美」

 

何やらかなり物騒なことを述べておられましたが、和美の呼びかけに反応を示す沙弓、原作では比較的マトモな女の子として唯一扱われていた沙弓が壊れている、壊しているのは作者だが。

 

「いや、だからあれ」

 

「あれ、菫さん、どうしたのかしらあの子もここにきてたの?」

 

「さぁ」

 

沙弓も和美も転入してきたばかりの菫淳子に親しいわけではない、そもそも彼女がこの場に来ることを知らなくてもおかしくはないし、来ていたとしたら声くらいは掛けるだろう。

 

向こうも気付いたのか、こちらを向き微笑んでこちらに来る。

 

「偶然ね、こんなところで会うなんて」

 

どこか平坦な声で挨拶を告げる菫、まるで定型文を述べるような単調さの声、表情は微笑んでいるのだが声にまるで温かみが無い。

 

「そうね、貴方は一人」

 

其の声に多少の違和感を覚えるが沙弓は普通に受けこたえる。

 

「連れがいたんだけど、はぐれちゃって、ここで待ってるのよ」

 

やはり感情がまるで篭っていない、抑揚も付いているのだが会話と言うよりは何か決められた文章を読み上げる感じが拭えない。

 

「ふーん、でさ何か用事」

 

「あら、どうして?」

 

和美の問いに僅かに訝しそうに菫が問い返す、この時初めて会話が成り立ったのかもしれない、筋書きの無い会話が。

 

「彼氏と来てるんでしょ、わざわざ私らのとこに来たの、何か用事があるんじゃないの」

 

確かに男連れだとクラスメート、B組連中の前には来ないだろう、日にちが浅い彼女とて其の愚行の意味くらいは理解できるぐらいは在籍していた筈だからだ、因みに愚行とされるのはいいネタにされるからと嫉妬の対象になるから。

 

今のB組の女子の状況ではいいネタにされるほうが可能性が高そうだが、態々ネタを提供するようなこともしないだろう。イジられるのは自分なのだし。

 

「そうね、ちょっと用事があるかしら」

 

と、言って、何気ない仕種で、彼女は手に持った銃を涼に向けて撃った、何の躊躇いも無く、故に沙弓は反応できなかった。

 

「おとなしく付いてきてくれると嬉しいんだけど」

 

冷たい声でそう宣告した。

 

 

 

 

 

和樹達一行。

 

ここも少し小休止、武器、その他を見た後オープンカフェ(会場中に結構ある)で休憩、

しかし周囲の視線が痛かった、と言うか気にしているのは一人だけだろうが。

 

其の一人が被る不幸に関してはどうでもいいし、事実不幸を被っているかどうかも怪しいもんである、幸せな不幸と言う形容もあるが、完全幸福鬼畜野郎にはそんな形容詞は必要ない、傍目には幸福そのもの、本人も居心地が悪いだけで幸福なのだから。

 

 

「式森先輩、このケーキ、なかなかなのでどうぞ一口」

 

フォークに刺さったケーキを差し出しほほを染めて和樹に勧める凛、曰く食べさせる体勢であるが、周囲を殺気立たせるには十分だろう、特に同世代の男性を。

 

「式森君、このフルーツあげるから、そのクッキー私に食べさせて」

 

さりげなく一番おいしそうな提案をする未空、食べさせ合いを所望している、しかも其のクッキーを既に口に咥えているという事は何を狙っている。

 

言うまでも無いか。

 

「和樹ちゃん。お姉さんの作るお菓子と勝るとも劣らない一品ですよー。ほら食べさせてあげますからお口開けて、はい、あーん」

 

何気に子供をあやす感じで年上のお姉さんを強調して迫ろうとするライカ、指で摘んで小さなパイを和樹に食べさせようとしている。

 

でも「あーん」は更に周囲の男性の殺気をかなり爆発的に上昇させている気がする、そろそろ和樹の居心地の悪さは、居心地の悪さでは済まないレベルになりここにいた殺られるレベルに跳ね上がることは確実だろう。

 

で、周囲の男性諸氏以外にも苛烈な嫉妬と憤怒の視線を送っている人間二名、一人は和樹の対角線上、つまり一番遠いので食べさせようにもやり辛い位置に居る伊庭かおり(推定100歳以上)、今現在ワナワナと震えて忌々しそうに三人の美女、美少女を睨んでいた。

 

しかし、この三人肝が据わっているのか吸血鬼の魔眼もなんのその、そんなもの完璧にシカトして和樹に食べさせようとしている、常人なら完全に相手を服従してしまえると言う魔眼を無視して、因みにかおりの魔眼は本当に一般人程度にしか効果が無いのだが、余波を食らった周辺の客が気分が悪くなったりしてちょっと周辺に被害を齎していたりする。

 

もう一人遠距離から睨み付けているのだがそれには和樹もかおりも(かおりは仕事上気付いていないと拙いのだが、どうやら目の前のムカつく光景の精で仕事を忘れているっぽい)気付いていない。

 

「その、和樹さんがん望むならば、公衆の面前であろうと、かまいません」

 

「式森君、そういうプレイが好きなの、言ってくれれば今度から外でっていうのもいいよ。お金掛からないし、スリルあるしねぇ」

 

「そうなの和樹ちゃん。鬼畜だとは思っていたけどそこまで。夜中にお姉さんに首輪をつけて散歩にでも行く。それとも和樹ちゃんが首輪をつけるのがいい」

 

だんだん話の内容が、お子様は聞いちゃ駄目!!な領域に近づいている、特にライカ、というか休日の遊興施設でその手の話は自重しろや、子供づれのファミリーだっているんだから。

 

事実。

 

「ねぇ、お母さん、あのお姉ちゃんたちお外で、何をするの」

 

と、母親に聞いて、まだ若い母親を慌てさせていたりした、かなり周りの客達にはた迷惑な連中である、ますます強くなるかおりの邪眼、魔眼からパワーアップしているから更に和樹達の席は異様なプレッシャーを周囲に放っていたりするし、和樹に集中する男性の嫉妬の想念は段々殺気へと移り変わって和気藹々とした行楽地をを殺伐とした空気に変えてくれているし。

 

主催者側からしたら「どうぞ帰ってください」といいたい客だろうな、こいつ等。

 

で、周囲に不要な威圧感を撒き散らしていた元凶、何を思いついたのか、かおりは唇を舌の潤いで湿した後、自の前にあったケーキを一口口に入れて音も無く立ち上がり、和樹の背後(誰も気付かなかったらしい)に忍び寄り、いきなり唇を押し付け、口に入っていたケーキを舌で押し込みついでに口内を舌で蹂躙する。

 

口移し+ディープキス、よっぽどムカついていたのだろう、口を離すと挑発するように小娘共めという感じで見回していた、ライカは外見的には小娘ではないがかおりから見たら小娘には違いないだろう、精神年齢がどちらが高いかは微妙なところだろうが。

 

「かおり先生、ずるいですよ。それに式森は私の夫となる身。公衆の面前でそんな破廉恥な」

 

「式森君、私も♡」

 

「お姉さんもやっていいかしら」

 

案外に平和だった、かおりがいまだ和樹のハーレムに慣れてないぐらいで、かおりの挑発行為が届いたの凛ちゃんだけだったし。

 

他の女の子たちは多少耐性があるのかもしれない、色々と。

 

 

 

 

 

平和じゃないのもいたが。

 

「小娘どもめ、和樹に何をしようとする、あいつは私のものだぞ、そのスプーンをどかせ、和樹が汚れる。吸血鬼何を、やめんか!!!!・・・・・ああっ・・舌まで・・私の唇が・・・・・・・・・・あのサキュバスめ、仕事を忘れて私の、私の和樹の唇を。私がこの暑い中一人で仕事をしているというのに、お前はカフェでお茶、しかも私の和樹とディープキスだと、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後で大蒜と一緒に漬け込んでやる、吸血鬼!!!

 

双眼鏡片手にブツブツいい、突然叫びだす女、真夏だというのにロングコートに黒いサングラスの外人女性周囲の反応はというと。

 

「お父さん、あの女の人何してるの」

 

と無邪気な好奇心旺盛そうな少年が父親と思しき少年に尋ねている。

 

「夏だからね、暑さにやられたんだろう、可哀想に,デモああいう人の近くに寄ってはいけないよ、それにおかしくても笑ってはいけない、大変な人なんだから」

 

何か、可哀想な人を見る目で父親が息子に注意していた。

 

確かに完全に痛い人であったが、それも重度の。

 

 

 

 

 

後日、十字架をかけ、手に銀の弾丸の詰まった拳銃を握ったディステルが当の吸血鬼に、ニンニクと一緒に漬け込まれるか、聖水を飲み干すか、手持ちのゲームソフトに自ら火を掛けるかという三択に迫ったらしい、それはもう残酷な笑みを浮かべて。

 

吸血鬼が何を選んだ(選ばされた)かは秘密。

 

ただ後日「汚されちゃった、汚されちゃったよ私」と二号機パイロットのようなことをのたまい一晩中和樹に泣き付き、アルと共に気絶するまで何かされたらしい。

 

更に後日、今度は頭に銀の弾丸を喰らうか胸に木の杭を刺すか、硫酸のプールかという三択を提示された時点で人外対人間規格外間でのデスマッチが繰り広げられたという、主にかおりは生命の危機を覚えて。

 

決着は内緒。

 

只、言えることは純粋な吸血鬼のかおりに対してディステルはガチンコで喧嘩が出来る戦闘能力を保有しているといったことだろう。

 

 

 

後半

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