第一話 婚約者+妾+邪魔者

 

 

さて、冒頭から突然だが、小柄な少女が下半身裸になって男のといっても少年の腰の上に跨り腰を振っている、少女の表情は恍惚に染まり、快楽を貪る様に体を動かし、艶やかな声を上げ、痴態を晒し全身で肉の喜びを露にしている。

 

そして彼女の相手を務める少年も彼女の動きに合わせ、いや更に蹂躙するような勢いで少女に快楽を与えようとする、腰を掴み、胸を揉み、唇を合わせ互いに感覚を高め合わせる。

 

更に快楽が増すように。

 

少女は男から与えられる悦びに痴態を晒し、少年はそんな少女を愛しげな眼で見上げる。

 

暫くこの特殊な運動が続き一際大きい少女の嬌声が上がるまで続いた。

 

 

 

 

 

で、コトが終わり力尽き倒れ込む様に少女が体を前倒しにして少年の胸に自分の小振りな乳房を押し付けるようにし、少年は少女を抱き締めるように背中に腕を回し、その腰まである長い黒髪を手櫛で梳いていく。

 

その自分の髪を梳かれる感触に少女は先程の興奮とは違った気持ちよさを感じたのか目を窄めさせ、その感触を楽しむようにされるがまま任す、時折少年のもう片方の手が少女の敏感な部分も刺激するがその時はまだ行為直後の感度のいい体は少女に過度の刺激を与えるのか艶の入った声を上げさせる。

 

そのような行為の余韻を楽しみ、暫くそのままの状態で両者とも半裸で特定の部位が凄いことになっている状態で抱き合っていた。

 

淫らな、それでいて当人達にとっては幸せな空気を漂わせた寝室で。

 

 

 

 

 

少年の名前は式森和樹、人受けのする顔だろうが決して美形では無い、全身傷だらけの体の少年。

 

少女の名前は神城凛、本人曰く式森凛と主張する、小柄な体に可愛らしい容姿なのだが、体には少年と同じ傷をそれこそ至る所につけている、只その傷が彼女の裸身を汚すことなく、さらに妖艶さを醸し出していたが。

 

傷が少女の裸身を特徴付けさせ無数に走った傷跡は誇り高き獣を連想させるほどに少女に似合っていたのだから、傷跡でさえアクセサリーに為り得るほどに。

 

で全身傷だらけの男女が朝日の出る部屋で何をしていたかというと。

 

まぁ、既に文章を読んでいればお分かりのことだろうが。

 

判りに判り過ぎて、判然としすぎ、明確に過ぎ、露骨過ぎるのだがあえて一言で表そう。

 

朝っぱらから励んでいやがったこの二人。

 

何を励んでいたかというのは内緒だが、内緒の意味はないが建前である、物事には暗黙の了解なる言語が多分にして必要なことだろう、多分、おそらく、確実に、あからさまなことに対しても。

 

で、話が戻るがこの少年少女が励んでいたのだが、今は朝であり、普通こういう行為に励む時間帯としては余りそぐわない、普通なら夜なのだろうあの手の行為を両者合意の上で楽しむというのは、だったら何で朝から励んでいるかというと神城凛と呼ばれる少女、昨夜から泊まり掛けでこの寝室にいたからだ。

 

因みにこの寝室は少年、式森和樹の個人の資産で購入したマンション(億ション)の一室であり、彼と彼女が通う学校が用意した寮の一室ではないのであしからず。

 

少女が泊り込んだ証拠に二人が横たわるベッドの周りには脱ぎ捨てられた夜着や下着の他に、丸まったティッシュに、ある特定目的のゴム製品が使用済みで複数、そして部屋の隅の方には少女のものと思われる学校の制服がキチンと畳まれて置かれている。

 

部屋の様子から昨夜から何回やってんだと小一時間問い詰めたくなるところであるが、その辺は聞いたら聞いたで当てられそうなので言及は避けるが。

 

 

 

 

 

やっと満足したのか少女が少年から身を離し、少年と囁く様に言葉を交わして触れ合わせるだけのキスで唇を合わしベッドを下りる、マジに幸せそうだ。

 

男に対しては殺意の波動が目覚めそうなほどに。

 

凛は自分の肢体が和樹に晒されるのも恥ずかしがった様子無く羽織っていた上着、彼女が普段から寝巻きとしている単(帯は無し、行為の最中に外れたものと考えられる)をストンと脱ぎ落とし、用意してあったのだろうかバスタオルを一枚だけ持って寝室に隣接されているシャワー室で体にこびり付いた淫欲の残滓を洗い流し、タオルで水気を拭いながら出てくる。

 

やはり全裸で和樹の前で裸を晒すのは最早凛にとって恥じらいの対象にならないのだろうか、凛はタオルを置き部屋の隅のほうの衣装箪笥の上に畳まれた制服と箪笥の中に何故か入っていた女性用下着で身繕いを始める。

 

少年も同じように椅子に掛けた制服を取り(夏服)着込む、勿論少女の後にシャワーは浴びているが、まぁ朝から女の匂いを撒き散らして学校に登校したら喧嘩を売っている以外の何物でもないだろうが。

 

因みに着替え終わった後は部屋を出るのだろうが、何故にこの二人は部屋を出る前に長々と今度はディープキスなどを堪能しているのだろう、凛ちゃんこの話ではマジに色ボケのようだ。

 

後、夏服で隠しきれない腕の傷が両者とも晒されているが既に気にしてはいないらしい、その腕に走っている傷だけでそれなりのものだからそれなりに目立ちそうなものなのだが。

 

 

 

 

 

で、キス終了より数分後少年がエプロンをつけて朝食を作っていましたとさ。

 

その調理する様とエプロンはとてもよく似合っていた、勿論その腕前と相成って。

 

只、ご機嫌に朝餉の用意をしていく少年に対して、テーブルについて少年の調理風景を眺めている少女は少々不機嫌そうであったが、不機嫌そうであるあるというよりは悔しそうと形容するほうが適切かもしれないが。

 

「当て付けか、式森」

 

「ん。何のこと。後ベーコンとソーセージどっちがいい、凛」

 

「分からないならいい。ベーコンで」

 

少年はそんな少女の様子にやっぱり分かっていないようだったが、大体会話が二種類同時で行われている事態がそれを表している。

 

和樹の返答は予想していたのか凛は少々憮然とした程度でちゃんと少年の問いかけにも返答を返した、どうやら凛の不満が見抜かれなかったことに関してはそれほど追求する気は無いらしい。

 

で、その後、調理終了で栄養補給もとい食事開始。

 

ちなみに先程まで居なかったはずの少女がもう一人、黒のゴスロリミニドレスを着た少女が黙々と既に食事を取っていた、不機嫌そうに時々凛を睨み付けつつ。

 

黙々と、凛は微妙にその視線を無視するように、和樹は普通に食事を取っていく。

 

テーブルに乗っている美味しそうな洋風の朝食、トースト、スクランブルエッグ、ベーコン、野菜スープ、サラダ、オレンジジュース、フルーツ。

 

ごく当たり前の簡単な朝食であるが、大体からして和樹の腕も巧いとはいっても世間的な男性の腕前から見ただけで、そう別段抜きん出て巧みなわけではない。

 

故に普通で手間の掛からない簡単なメニューなのだが、この恐らく小学生でも用意できそうなメニューを凛が作ったら間違いなく大惨事になる、断固として、絶対に、確定未来として碌なことにはならない、失敗したら黒煙が部屋から上がり、成功したら天変地異が起こるだろう(断言)

 

その腕前を自覚している凛だが、朝食を突付きつつそれでも自分が用意したい願望は沸いている、無謀なことに、その作ってあげたい相手に用意されるのは些か彼女の中では情けないものがあるとも感じている。

 

彼女としても女の子なのだから、しかも結構古風な家庭に生まれついているので特にその手の思考を持っているのかもしれないが、好きな男に対しては自分の手料理を味合わせて満足させてやりたいのだ。

 

それが先程の会話の根拠なのだが、そんな彼女の葛藤はよそにもし彼女が自分で朝食を用意すると言い出したら和樹と不機嫌そうなゴスロリ少女としては自分の生命活動のためには断固として彼女に食事を作らせはしないだろうが、誰も自ら水銀に近い食物という名の毒物を胃の腑に流し込みたくは無いのだから。

 

まぁ、悩んでも仕方ないと料理に向き合う凛だったが、どうやらその願望は既に思い出しては諦めることがルーチンワークになる程度のもののようだ。

 

で、朝食と共に交わされる朝の会話、余り朝から相応しいとも言えないが、この二人には今更過ぎる内容だ、朝からおっぱじめる二人には。

 

「式森、大体、朝からその、何だ、求めてくるのは私としても・・・だな」

 

どうやら交わりの興奮から冷めて冷静になったらしい、顔を朱に染めて俯きながらスクランブルエッグを掬っている、でも行為の後も裸で男の目の前で着替えをしていたがその辺はどうなのだろうか。

 

それとも朝から睦み合うのは肉体的にキツイっていう苦情だろうか。

 

なお言葉の通りに、朝凛に襲い掛かったのは先に目覚めていた和樹君、昨晩の謎の行為のまま眠りについた凛の艶姿。

 

単を羽織っただけの姿で下着は無しなので寝姿から垣間見える凛の肢体にフラグが立った和樹が朝から獣と化して凛の首筋に舌を這わせたことから始まった。

 

只凛も抵抗せずに、軽い抵抗はしたがそれを一般的に抵抗とは言わないスパイスと言う程度の抵抗をして、前述の通り上に乗っていたんだが。

 

若いってことだよねぇ、多分。

 

何が若いのか言及はしないが、ホント若いよねぇ、作者も若いけどさ。

 

「嫌?」

 

「嫌じゃないけど、その突然だと・・・・・困る」

 

和樹は素で返すが、凛は頬を紅潮させて返す、基本的には凛はあの手の免疫が薄いのだが、これでも大分慣れたのだ、最中や余韻があるときはかなりの色ボケモードには入れるのだから。

 

最初は和樹がそれはそれは苦労したとのことである、色々と、本当に色々と、外伝でも書けそうな勢いで。

 

「ん、自重する」

 

どうやら自重する気は欠片も無さそうだ、完全に気が抜けた返事である、だがその気の無い返事に対して追加される弾劾の声。

 

「そうです、マスター。大体昨夜は私の番の筈でしたのに、凛様」

 

ギロリとばかりに、黒の少女が凛を睨み付ける、どうやら謎の行為昨晩は彼女の番だったらしい、睨みつける眼光には恨みがましい色が浮かび上がって、少女の完成された美貌で睨まれるとそれなりに迫力がある、それこそ凛と和樹もたじろいだ様になる程には。

 

「エセルドレーダ。だが、その、私が式森の婚約者というか、内縁の妻であって、たまにはいいでは・・・・」

 

凛が言い訳じみた調子で言葉を返すが、間髪入れず。

 

ついでに凛ちゃん貴女内縁の妻ですか、そう自己主張しますか、どこかの外道の精霊(白いほうですか、自作ネタですみません)。

 

「一昨日は貴女の魔道書がマスターのご相手だったでしょう。その前は貴女、マスターの精を三晩戴いておりません。貴女がマスターの女性であることにも私がマスターの一番の女性でないことにも否はありませんが不公平は腹に据えかねます」

 

頬を膨らませてとんでもないこというお嬢さんである、ちなみに外見十代前半、何か作者が指摘すると今更に過ぎてしまいそうな気もするが、和樹君のアブノーマルな趣味の具現のようにみえてしまう、言葉尻から彼女も和樹と閨を共にしていることになるだろう。

 

もう分かっている人もいるだろうがだろうが、彼女、エセルドレーダは人ではない化生、精霊なのだ、最古の魔道書“ナコト写本”の精霊、エセルドレーダ。

 

因みに凛も魔道書を保持しており彼女の魔道書は最凶の魔道書魔物の咆哮”別名ネクロノミコン”名をアル・アジフ。

 

二人が二人とも保持者に力を与え、知識を与える外道の知識の具現の姿。

 

まぁ、ここまでくればお分かりだろうが3人の女性(二人ほど外見だけ女性分類)、和樹にラブラブである、半同棲状態で既に男女の関係アリ。

 

しかも和樹と凛はかなり前から恋人同士というか何と言うか。

 

男女の関係を持ちつつ本人が内縁の妻と主張するほどであるから、事実先程朝から求められるのは少し辛いようなことを言っているが普段の生活やいざコトが始まると積極的なのはどちらかというと凛ちゃんのほうである。

 

まぁ、普段の生活から何かと考えがあるらしい、色々と、主に凛の目の前にいる少女と自分の魔道書に諸悪の根源があるのだが。

 

唯一の救いは、彼女たちの中でスタイルが一番なのが彼女というくらいである、悲しい戦いではあるが。

 

まぁ、凛の体型は身長が低いし小柄なことからそれほど胸に関しては小さくないらしいのだが(というかまぶらほ三人娘の中では一番小さいのは某嫉妬キングらしい)。

 

 

 

 

 

朝食を食べ終わりと学校に行くだけなのだが、高校生なのだし、でも何でキスしてから部屋を出るかな、しかも二人ともに。

 

エセルはエセルで和樹の頬に唇を寄せ、微笑を浮かべながら従者のごとく頭を垂れ。

 

「マスター、行ってらしゃいませ」

 

まぁ、エセルは元々が契約に基づくあり方をしてきたのだから恋愛関係よりは契約による主従の関係のほうが板についているからかもしれないが。

 

「留守番よろしく、エセル」

 

「アルが昼にはここに来るらしい。相手をしてやってくれ」

 

頭を垂れるエセルに向けて和樹が言葉を掛け、凛が自分の精霊の相手を頼んで億ションのようなマンションから出て行く二人だった。

 

因みに昨晩からアル・アジフは女子寮の凛の部屋で置いてきぼりにされたことに対して自分のマスターに呪詛を呟くことで晴らしていた。

 

報復として部屋の中にあった凛の好物の菓子が根こそぎ暴食されていたりする、因みに昨夜は凛はアルに対して携帯で連絡を入れただけで、その携帯からは不平不満を連呼する精霊の罵声が響き渡った、なお現在では朝食代わりに凛の金で買ってきたデザート類(時間的にコンビニデザート)を買いあさって暴食していた。

 

恐らく、この家に来た時もエセル相手に散々自分のマスターに蔑ろにされている不平不満を語りだすのではないだろうかと思われる、因みにそのことに関してはエセルには一言も言っていない凛だった。

 

 

 

 

 

で、登校中和樹と連れ添って歩く自称恋人兼内縁の妻(和樹公認)、神城凛の機嫌は坂道を転がるようにだんだんと悪くなっていってたりする、それはもう布に包んで持ち歩いている愛刀“贄殿遮那”を抜かんばかりに。

 

実際朝は偶に抜く、不機嫌の原因を晴らすために。

 

その原因が。

 

「式森君。お早う御座います、さぁ行きましょう」

 

凛の反対側から和樹の腕に己の腕を絡めて胸を押し付けている凛のように黒く長い髪を持つ妙齢の女性、外見年齢だけを問うならば223ぐらいだろう。

 

そんな彼女が甘えるような声で自分の旦那(本人公認)に朝っぱらからにじり寄っていれば凛も不機嫌になろうというものだろう。

 

「どこに」

 

「駅前などに」

 

「何をしに」

 

何と言うか会話が質疑応答のような感じになっている、簡潔ではあるが、ただ簡潔なのは会話だけではなく。

 

「あの辺りに私達に御用があるのはホテルしか無かったとお姉さん記憶しています。勿論いやらしいことを目的としたホテルが目的地ですよ」

 

目的も判り安すぎた、明確に。

 

目の前の女性、紅尉紫乃(年齢不詳、というか不明)の。

 

肩を出したワンピースで和樹の腕を両手で抱え込み、必然的に胸が腕を圧迫する、目的を遂行しようと学校のあるほうとは違う方向に和樹を誘導しようとしていたりするが。

 

因みに一応は教育実習生として和樹達の学校に在籍している筈なのだが、その辺の事情背景は完全にスルーしてくれる方向で行動しているようだ、無視というか記憶の中にその事実が残っているのかもかなり怪しげではあるが。

 

「駄目です」

 

断る和樹君、学生としても正しいのですが、美女の頼みを断る君に少し殺意が沸きます、なんとなくですが。

 

「どうしてです、年上のお姉さんは嫌いですか、神城さんには出来ない色々なことサービスしますよ。例えばコレを使って」

 

更に胸を押し付ける紫乃、確かに凛よりはかなり豊満であるが、直接的過ぎる。

 

それに余り和樹は先程から体を使った柴乃の誘惑にはそれ程乗っていない、諸々の事情でこの程度で反応過ぎるのは今更過ぎるのだ、その辺は柴乃も承知の筈なのだが。

 

「と言うか無理です、学校ありますし、・・・・・・ほら」

 

と和樹が言葉を止め即座に腕を解いた瞬間にその間に恐ろしい速度で何かが通り抜けた、飽くまで何か。

 

凛ちゃんの刀はちゃんと鞘の中にあるし。

 

只単に抜き打ちして神速で納刀しただけだ、狙いは紫乃の肩口、一応捻式居合いなので峰撃ちだろうが、峰打ちでも肩の骨は複雑骨折になるのではないだろうか、凛の持つような長物で叩かれればそれぐらいは当然の結果となる。

 

「紫乃先生、腕にハエが止まっていましたよ」

 

なんでもないと、それこそ心の底から思うように嘘を言う凛、目はまったく笑っていないし、声も完全に冷え切っているが。

 

因みに凛の不機嫌を殺意のレベルに引き上げたのは上記の紫乃の一言である、案外気にしているらしい、色々と。

 

「有難う、神城さん」

 

心にも無い礼を言う紫乃、両者の間に友愛も息災も情愛も無く、ただ獣のような闘争心を静と動の差で迸らせ、両者とも目から火花が散っていた。

 

 

 

 

 

で、和樹君、そんな二人はいつものことと先に学校に行っていたりする、この二人がいがみ合って怪我したことがないのだから、それほど心配することも無いのだ。

 

何故か紫乃は防御がやたらに巧いのである、凛の刀を受け止める金属製の扇がかなり不可思議だが、凛の持つ刀は洒落にならない概念武装、並で防げるものではない。

 

ただ、マッド(あえて誰かとは言わない)が製作した時点で和樹は納得していたりする。

 

いい性格である、ここの和樹君。

 

ついでに登校まで女の子数名に声を掛けられ、追いついてきた凛ちゃんに睨まれる(女の子達が)こととなり、さらに凛は不機嫌になっていたのだが。

 

凛ちゃんの悩みのひとつ、凛の旦那(ほぼ確定)は何故かモテルのである、人類の半数を敵に回せるほど、つまりは男供から、主にB組男子。

 

妻(確定)としてはある程度は諦めていても面白いものでは決して無いだろう、諦めている程度がかなり寛容なのだが、その辺は感情問題だろう。

 

 

 

 

 

和樹二年生、凛ちゃん一年生というわけで教室は別であり、それぞれがそれぞれの教室に向かい学生の本分として授業を受けるのが世の習いである。

 

だがこの日の和樹の学校生活は何故か自分のクラスの女子数名に絡みつくような視線で、何かを求めるような目で見られていた、普段の比ではないレベルで、逆説的に普段も見られているということになる。

 

喩えるなら目の前に血の滴る肉を置かれたライオンの目。

 

それはおいといて、どうせ後でわかる。

 

 

 

 

 

昼食に凛ちゃんと食事に食堂に行って、これもお決まりと言うかこの二人学校でも有名なカップルだったりする(一部の女性と、B組の男子勢は認めていないが)

 

凛のクラスでは和樹のことが凛の完全な恋人と認知されておりその熱愛振りから凛に迫ろうとする男子など皆無になるほど。

 

偶に凛に迫る年上のお姉さまはいたりするが、そのあたりにも敵視されている和樹である、この辺は根拠がかなり嫌な敵視ではあるが、凛にとっても。

 

因みに食堂での食事は弁当などではなくそのまま食堂利用、和樹がトンカツ定食で凛が焼き魚定食を仲良さげに食していた。

 

一部凛に殺意の波動を向ける長身の女子生徒がいたり、羨ましそうに眺める金髪の女性がいたり、その他諸々がいたりするが概ね平和な食事であった。

 

で、その後は先程の紫乃の兄、晴明の魔力診断を受けていつもどおり帰宅する。

 

やっぱり何故か一日餌を見る目で見られていたが、因みに今回は授業風景とかその辺りは思いっきりブッチの方向で。

 

 

 

 

 

帰宅、凛もアルが和樹の部屋にいるので付いていっている、本日彼女が自分の寮に帰るという保証は全くないが、因みに最長一週間帰らないときがあるらしい。

 

夏休みなどの長期の休みの時は殆ど入れ浸りである、勿論+アル。

 

まぁ、凛にしてみれば旦那はいるし食事は出るし、家事はしないでいいし、寮でも家事をしているのはアルだが、これはアルが彼女に家事をやらせない為である、彼女の名誉のために付け加えるが。

 

その他にも旦那と閨を楽しめると至れり尽くせり、大体週に二、三回は泊まる。

 

ある意味彼女の天国で堕落の境地である。

 

で、その凛の天国、もとい旦那の自宅、和樹の個人資産マンションの部屋の前で、口論の声が響いていた、と言うか罵声。

 

玄関のドアを守るように白と黒の美少女が仁王立ちして、その少女たちに対して夜叉のような表情のこれまた多分、きっと美少女(普通の表情なら)が、一方的に怒鳴り散らしているのだから。

 

 

 

 

 

ちょっと時間を遡ると。

 

笑っていたらアイドルなんかよりもよほど可愛らしい美少女が部屋の前に立ち、魔法でも使うのか何やら呟き、一瞬消えたが、再び現れる。

 

どうやら魔法で室内に不法侵入しようとしたらしい。

 

勿論この世界では魔法は当たり前とされている、故にこれぐらいの高級マンションだと魔法による犯罪を防ぐために素材に耐魔素材を使い、侵入することは出来ない。

 

因みにこの世界の世間の常識、なお侵入を試みただけで犯罪である、罪状では家宅不法侵入未遂といったところか、ただこの少女がそのことを理解しているのかは甚だ怪しいのだが。

 

侵入失敗したことに舌打ちをして、今度はちゃんとチャイムを鳴らして、鳴らさないで何故ピッキングツールを出す、この女はなんでもっているのだろう。

 

日常で不法侵入をしているのだろうか。

 

それにしても部屋に誰もいないと思い込んでいるのか、いないと思っているならまず何で不法侵入をしようとするのかが不明だ、空き巣以外。

 

で、あっさり開門、高級マンションを常設の複雑なロックになっているのに何故この少女は易々と突破できるのか大いに謎である、このマンションの鍵はプロでも数分は掛かるシロモノの筈なのに。

 

で、勿論、室内には二人の美少女がいるわけだが。

 

彼女達、室内に魔法で侵入しようとしてきた存在がいることを感知し、様子を見に、正確には追い払おうと(どうせロクなのではないと決め付けて、大体において不法侵入を果たそうとする連中はロクでもない)玄関に出て、見つける鍵を開けて進入しようとしているあからさまに怪しい女。

 

その妙な女は少女たちを見るや目を吊り上げて大声で、詰問調で問い詰めてきたのである色々と。

 

 

 

 

 

で、戻る。

 

と言うか少女が怒鳴り始めたあたりで和樹たちが帰ってきていた。

 

 

 

 

 

さて、少女が犯罪チックな事を仕出かそうとして、いや実際に既に仕出かしてはいるが、家人に未然に阻止されたお嬢さんはと言うと、今度は何が気に入らないのか、なにやら怒鳴り散らしていた。

 

それほど乱暴な言葉遣いではないが、内容は酷く意味不明であり、声の質、大きさ共に尋常ではない、勿論表情も子供が見たら一目散に逃げ帰って布団をかぶって震えて泣き出しそうな程である。

 

と言うか明らかに見た目は年下のエセルとアルに威圧する女子高生、大人気ないを通り越して、なんと言って良いやら。

 

少なくとも犯罪者予備軍か犯罪者か、檻の在る病院への入院か特定の違法薬物の使用で警察と呼ばれ公然と人間を拘束、留置できる組織のお世話になっていそうな感じがぷんぷんとする、それはもう全身で主張するように。

 

 

 

 

 

一応自体の把握に努めようとしているのだろう、和樹が自分の精霊に声を掛ける、頭の痛そうな少女に話を振るような愚は和樹は犯さない、そして彼がこの場で現状を理解して一番信頼に足るのは彼の精霊である。

 

「えーと、何してるの。エセル」

 

微妙に和樹と凛の視線が喚いていた少女を敢えて外しているのは余談、どうもヤヴァイという予感がぷんぷんしているのだ、それはもう凄まじいほど刺すように、警戒感が刺激されている、目の前の少女に対して。

 

本能が警鐘を鳴らしているのだろう関わるなと、まぁそんな警鐘など見た瞬間尻尾巻いて逃げなかったか、高級マンションに付き物の警備員でも呼ばなかった時点で役には立たないのだろうけど、彼と彼女としても今現在そのヤバそうな雰囲気の少女に対して知らない不利をしてきびすを返すのは、今現在怒鳴られている精霊が居る以上は出来ないのだから仕方が無い。

 

そんな諦観が微妙に混じった声であったが、その声でやっと気が付いたとばかりに、和樹、凛の二人の最強の魔道書が和樹たちのほうを向く。

 

二人とも相変わらずの際どいゴスロリミニドレスを着ていた、白と黒という差はあるが、それが彼女たちの白い肌を際立たせて妖精のような印象を与える、そしてこの二人が共通する白い肌と神秘的な瞳と相まって姉妹に見えないことも無い、容貌が似ているというよりは身に纏う雰囲気が似ているのだろう、この二人は静と動の差こそあれ。

 

これって作者だけだろうか?

 

というか何でこの精霊というのは全員が全員ロリペタなのだろう、疑問に思っても仕方が無い疑問だろうが微妙に気になるところであはある、本当に微妙な疑問ではあるが。

 

で、その二人が愛しのマスター(一人はマスターが違うが)の声に対して口を開くより早く、目の前で怒鳴り声を上げていた少女が振り向き、其処からは一種魔法だった、大道芸といっても良いだろうが。

 

十分に金は取れる儀のではないかと思える、というか女優でもここまでは自分の表情を制御できないのではないだろうか、出来たらアカデミーでも何でも総取りすることは難しくないような気がする、絶対。

 

恐ろしい表情は一瞬で柔和な微笑みに変え、耳に毒といっていい種類の罵声はたちどころに止み、鈴を転がすような声になっている、身に纏う雰囲気さえ変えているのだ、とんでもない変化だ。

 

一瞬で天使から悪魔にクラスチェンジしている。

 

完全に自分の顔の表所を司る筋肉を制御し、声帯を自在に扱い、感情を制御出来るのだろうか、先ほど怒鳴り散らしていた辺り感情制御に関してはかなり疑わしいが、前の二つ辺りは本気で実行していそうだ。

 

彼女、本当に人間だろうか、まぁ最近作者は魔王の一人嫉妬王と名付けようかなと思案中だが、因みに部下に嫉妬マスク等がいそうである。

 

「お帰りなさいませ、和樹さん・・・・・・・・・・・・」

 

で妖怪じみた変化を瞬間で終わらせ、声を詐欺師のように変化させ振り向いた途端。

 

止まった、豹変した笑顔と雰囲気を完全に停止させて、本当に器用なことだ、止まるのも変化させるのも、但視線だけは一点を、視線だけがある一点を凝視しているような気がしないでもないが、描写すると和樹の腕。

 

「和樹さん、その女と何をしているんですか?」

 

それはもう低音の恐ろしい声で、何で初対面の女の子にそんな声で問われなければとも思うが、大体凛をその女扱いしているのは十全に失礼すぎる、だが、道理など説いたところでものの役には立つまい、なんとなくそんな気がする。

 

追記するとこの小説では凛ちゃんの事をこの傍迷惑なお嬢さんは知らない。

 

勿論、凛のほうも知らない。

 

因みにこの少女の言葉が何を指し目が何を凝視しているかといえば、和樹が隣の凛と仲睦まじく腕を組んでいたことだろう、それはもうぴったりと。

 

だが、他人にどうこう言われるものでもない、寄り添って歩くくらいはそれほど公序良俗に反するわけでもなし、見ず知らずの少女に指摘されることでもないだろう。

 

因みに腕を組んでいるのは朝、紫乃が腕に抱きついていたのが羨ましかったらしい、珍しく自分から絡めてきたので(ここの凛ちゃんは原作に比べかなり積極的です)、腕を組んでそのまま帰宅しただけ。

 

よって敢えて責められるようなことでもないだろう、浮気でもなければ。

 

「何って、腕組んでいるだけだけど」

 

それはもう端的に事実を、と言うか見て分かることを誤魔化す必要もない、誤魔化しようも無いし。

 

で、その言葉が聞き終わるやいなや目の前の女の子、先程怒鳴り散らしていたときの雰囲気を再び纏って、僅かにうつむき。

 

何やら呪詛のような調子の言葉が聞こえたと思ったら。

 

僅かに俯いていた顔が上がり、嫉妬に狂った目が其処にあった。

 

和樹としてはそんな目で見られる覚えはこのちょっと痛そうな女の子には覚えが無いんだが、このちょっと痛いという評価は直ぐにかなり痛いに変わるだろうが。

 

そんなことには構わず。

 

「和樹さん、浮気ですか」

 

このとき、凛、アル、エセルが微妙に浮気という単語に反応していたりするが、ある理由の為、チラッと、軽く睨んでいたし、凛は未だ抱きしめるように絡めていた腕の力を強めていたが、小振り乳が存分に押し付けられています。

 

さらに凛が和樹の耳元に口を寄せて。

 

(式森、本当に浮気したのか赦さんぞ)

 

(最近はトンと覚えが無いが、前のお仕置きからは誓ってない。それにあの子の名前も知らないんだが)

 

なにやら不穏な内緒話をしていたらしい、と言うか和樹君前歴あるんですかい。

 

いや作者が書いている時点で予想できるような展開かもしれないが。

 

まぁ、今はおいといて、こういう主人公は作者の病気のようなものだし。

 

「浮気って、俺は君のことも知らないんだけどね」

 

まぁ、自己紹介もしていないし。

 

「しらばったくれるんですか、いい度胸ですね」

 

おーい、思いっきり言語の脳内保管しているしこのお嬢さん、それに先程の態度から天と地ほど違うし。

 

「いい度胸って、だから君は誰なんだ」

 

だがそんな原初に通じそうな疑問は軽くスルーされて。

 

「分からないんですか、ふふ嘘言っちゃいけません、其処の女に脅されてるんですね、かわいそうな和樹さん、なんて卑劣なことをするんでしょう」

 

ちなみに会話を重ねるたびに目の前の少女、いい加減面倒臭いので宮間夕菜の不機嫌指数が上がっている、それはもう凄い勢いで、理由としては未だに凛が和樹の腕を抱いていることだが大きいだろう。

 

勿論、某破壊ロボ製作が趣味とする馬鹿とは違う方向性のヤバさのポイントもうなぎのぼりだ。

 

「分からないって言われてもね、そもそも会った事あるの」

 

原作どおりだとして、幼稚園のときに一度だけ会った人間の顔を覚えていたらそれはもう化け物だろう。

 

今ので不機嫌指数が跳ね上がったのか、さらに雰囲気の危険度が増したようだ、既に圧迫感を周囲に撒き散らしている。

 

多分瘴気という名のものを撒き散らしている、もしかしたら汚染されるかもしれない、何かに色々と。

 

「覚えていないって言うんですか、そんな筈はありません、私はこんなにはっきり覚えているんですから、こんなに思っているんですよ、覚えているのは当然です、嘘言わないでください」

 

サイコでしょうかこの方、それはストーカーの理論では、それに言葉が独自的な主観に基づいて、客観性が欠片も無いんでせうが。

 

自分が好きなんだから相手も自分が好きと言う、傍迷惑な思い込みの産物、なお迷惑度は高し、カウンセラーの要有り。

 

この時点で、どうもおかしいと察した比較的冷静なエセルが夕菜に視線を移し探るような目をむけていたが、勿論主に対する無礼に彼女も不機嫌度は急上昇。

 

「大体、その女は誰なんですか、和樹さんとどういう関係です」

 

やっぱり凛は腕に抱きついたまま、目の前にいる頭の痛そうな少女に対する若干敵意を込めているのだろう、その問いかけに対して嘲る様に。

 

「神城凛です、式森の恋人ですが」

 

優越も篭っていた、何気にさらに強く腕を抱きしめている。

 

で、この痛いお嬢さんがその発言を看過するか、するわけが無い、したらエヴェレストが噴火し、アトランティスが浮上するだろう、もしかしたら自転の向きが逆回転になるかもしれない、天変地異クラスの怪異なのだ嫉妬しない夕菜など。

 

「何ふざけた事を言ってるんですか、この女狐さん、和樹さんから離れてください。和樹さんが穢れます。それに和樹さん、浮気ですね、浮気って人類最大の罪悪って知っていますか。やっぱり妻としては、その罪を償わせなければなないと思うんです。私達の愛を永遠のものにする為にも和樹さんが浮気なんて考えられないようにしないと。それに和樹さんを惑わす雌豚を焼却処分しないと。存在自体が汚らわしい」

 

あかん、既に壊れている、いや、最初から壊れていたが、更に壊れたというか、本性が完全に露出したというべきか。

 

「いや、妻って、覚えがこれっぽっちもないんですが、聞いてます」

 

聞いているわけが無い、大体に自分の思考の中で行動を完結させるタイプだ彼女は。

 

(あの人何か怖いんだが)

 

(大丈夫、俺も怖い)

 

和樹と凛のひそひそ話は完全に見解一致を見ているようである、今現在の彼女を見て他者が下す判断は似たようなものだろうから二人のつながりを示す指標とは為らないだろうが。

 

あんな頭の痛そうな人に凄まれたら誰だって怖い、絶対に。

 

で、二人が微妙に逃亡したいという欲望が更に沸々と湧き出しているところに、彼等と彼女の間に滑り込んでくる黒い影。

 

「貴女はマスターの何なのですか、先程からのマスターへの無礼度し難い」

 

怒り心頭なエセルの参戦だった、夕菜の瘴気の中に勇気ある参戦である、どうやら主人への無礼な対応、尋問めいた質問が気に障ったのだろうエセルが普段の物静かな雰囲気をかなぐり捨てて、和樹の前に立つ。

 

こんな痛い存在の前に出られる辺りエセル、中々に主人思いである(少なくとも、作者のエヴァSSに出てくる精霊は平気でマスターを見捨てるのだが、姫さんが切れている時とか)、因みに、和樹以上にボロクソに言われているマスターを擁している某古本娘(登場予定の姫さんより、エセルは骨董娘と言われる)は、自分のマスターのことなど省みず観戦モードで何故かポンポンをどこから取り出してエセルの応援をしていた、それはもう可愛らしかった。

 

両腕を振りながらピョンピョン跳ねていたりかなり愛らしい。

 

だが、ご主人様第一主義のエセルとしては当然の対応だが、それでいいのかネクロノミコン、しかも何故応援(何故かあの娘は苦手なのじゃ、関わると禄な事が無さそうじゃ)

 

 

 

 

 

因みに凛は未だに和樹に抱きついていましたとさ、どうやら離れるタイミングを逸したらしい。

 

 

 

 

 

「何ですか貴女は、そういえばなんで貴女が和樹さんの家にいるんですか、そのお部屋は私と和樹さんの愛の巣となる新居ですよ」

 

違うって、完全に脳内妄想が現実認識として自己固定している、ここまで逝くと(誤字に非ず)立派ですらある、作者の中では某特務機関の作戦部長並の妄想力である。

 

「何故貴女にそのようなことを答えなければならない義務があるのですか。それに問いかけるならばまずこちらの問いに答えるのが礼儀でしょう、質問に質問を返すのは無礼の極み。それにマスターへの暴言、凛様への侮辱看過できません。まず無礼を謝罪し、こちらの問いに答えたら此方も問いに答えましょう」

 

おお、何気に凛まで庇っている、しかも完全に筋が通っている、でも完全に喧嘩を買っているな、勿論喧嘩を売っているのは夕菜だが。

 

この場合エセルが喧嘩を売っているとは該当しないだろうし。

 

「貴女にそんなことを言う権利も資格もありません、言われたとおりに答えればいいんですから。答えなさい!!!!何でいるんです。これ以上私を不愉快にさせると容赦しませんよ」

 

エセルには有るだろうが、夕菜には無いだろうが、そんなことを言う権利も資格も。

 

「貴女が答えないならば私が答える理由が見当たりません、それに礼節を弁えない輩は不愉快です、立ち去りなさい。貴女が容赦しないといってどうするというのですか。暴力に訴えるのならば訴えればいいでしょう。事の是はこちらにあります」

 

売ってもいるかな喧嘩、まぁ、エセルもどちらかというと直情型だし、怒ると怖いし。

 

「言わせておけば、そうですか、貴女も私と和樹さんとの愛を邪魔する悪魔ですか。それに正しいのは私です。愛の為には邪魔者を退ける義務が認められているんですから。だから祓ってあげます、和樹さんもこんな連中に付き纏われてさぞ辛かったでしょう、ねぇ和樹さん」

 

どうやら完全に買ったようだ、嫉妬王のその手が発光し出している、光の根源は収束する魔術の力、そして更に何か悪口雑言を口にしようとしたとき。

 

夕菜が跳んだ、いや飛んだ、なんていうか水平に、恐らく本人が自分の意志で跳んだなら進化の一場面じゃあないかなと期待できるくらいに。

 

で、壁に顔面からぶつかり、あっさり気を失っていた、その点から自分の意志で飛んだのではないというのはわかるが。

 

(因みに今思うとこのシーンは激しく二番煎じだったと感じる作者である)

 

 

 

 

 

それをやらせたというかやらした当人、妙にボロボロの姿の和樹達の通う葵学園の制服を着、三年の徽章をつけた女生徒、彼女が背後から恐らく魔法を纏わせた拳で嫉妬王を吹き飛ばしたのだろう、何と言うかやたら堂に入った踏み込みの姿勢のまま息をついていた。

 

「あの、覇道先輩、何をしているんでしょうか」

 

微妙に震えた声で和樹が尋ねた、因みにやっぱり未だ抱きついている凛の三年生を見る目は険しく、エセルとアル(やっぱり未だポンポンを持っていた)も微妙に敵意を漲らせている。

 

ついでにフルネームは覇道瑠璃、髪をツインテールにし凛々しい表情の中に可愛らしさのある、出るとこ出ていて引っ込むところは引っ込んでいるという、凛、アル、エセルから見ればこいつはそれだけで敵と認識されるような体型の美女。

 

踏み込みの姿勢から、ボロボロの服装を少しはマシにするためなのか、多少正して(それでもボロボロには違いないが)、和樹に向けて言葉をつむぐ。

 

「いえ、先程の罵声を発していた礼儀知らずな人にこのマンションに入ろうとしたとき、いきなり魔法で吹き飛ばされまして、報復をと。非礼に非礼を返すのは主義に反しますがいきなり人を襲撃する輩です。拘る事でもないでしょう」

 

どうやら、ある目的でのライバルと夕菜が感じ取り事前に芽を潰そうとしたらしい、いきなりサラマンダーで吹き飛ばされ、先程意識をとり戻し駆け付け報復を果たしたというところだろう。

 

攻撃には容赦の欠片も加えなかったのか夕菜は未だピクピクと痙攣している、よほど良いところに入ったのだろう、死んでない辺りが脅威な勢いで吹っ飛んでいたから痙攣している辺り僥倖かもしれない。

 

そんな夕菜に瑠璃がスタスタとそれに近寄り足首を掴み、放り投げた。

 

共用通路から中庭へと、地上18階から、流石に殺すつもりは無いのか地面には叩きつけられず落下防止用のネットに絡まっていた。

 

地面に叩き付けられていても死ななかったんじゃないかとか疑問が過ぎるが、その辺は些細なことだ、結果としては夕菜、これにて暫く退場。

 

物語が進んで助かる、どうも彼女が登場すると物語が停滞するのだから。

 

そして何事も無いように、あえて和樹たちも突っ込んだりしな、このさっきからぶっ飛んだ行動を取る女性のことを和樹たちは良く知っている。

 

普段は礼儀正しい見目麗しい、大和撫子と呼べそうな女性であるがその本質はかなり破天荒であることを充分過ぎるほどに熟知しているのだから、だから彼女が突然人間を吹き飛ばしてもそれほど驚かず、これからの台詞にも驚きは少なかった。

 

「式森さん、覇道瑠璃、貴女に婚姻を申し込みに参りました、依然ありませんわよね、私の初めての人」

 

それはもう天使のような微笑で。

 

言動はさらに飛んでいるのかもしれない。

 

因みに和樹の過去の浮気相手の一人、最近シテ無いので些か不満らしいが。

 

なお、この後B組女子、松田和美、杜崎沙弓、高崎涼。

 

三年、風椿玖里子。

 

教師、ライカ・クルセイド。

 

それはもう次から次へと、加速度的に凛の機嫌は悪くなっていったが、後でその怒りは魔道書とともに晴らされることだろう、元凶の肉体と精神的苦痛をもって。

 

もしくは元凶の開き直りとも取れる凛達に対する特定行為の応酬によって誤魔化されるか。

 

 

 

 

 

なお、来訪者全員ボロボロというか、満身創痍であったりする。

 

この原因は夕菜の襲撃だけではなく、ここに集っている人間同士の争いがあったのだが、夕菜に事前に潰されたのは風椿玖里子と覇道瑠璃だけだし。

 

B組トリオは三人とも同時に来たのだが互いに引き攣った笑みで互いを牽制し、自分の最大の敵は隣にいるこいつです、と言う気配をぷんぷん出している。

 

和樹のクラスの副担任ライカ・クルセイドは何かを達成した表情で満ち足りた笑みを浮かべていた、ちなみに服装はスーツ姿、但し所々が破れていたり、焦げていたりするが。

 

 

 

まぁ、何があったかというと。

 

 

 

風椿玖里子の場合。

 

彼女が式森和樹と原作通り家の命令により和樹を婿として迎えろといわれてやってきたのだが諸般の事情により和樹と面識はある、だが未だ男女の関係ではない、玖里子は気があるようだが未だ手を出されていないというのが実情だ。

 

時間の問題であろう玖里子ほどの美女ならば。

 

勿論和樹に思いを持っている玖理子は家の命令を渡りに船とやってきた、それはもう勝負下着まで身に着け、因みに事前に和樹の嗜好を調べ上げ、方法は不明だが、かなりインモラルなものを付けている、かなりヤル気満々だったりするがマンションに着く前に夕菜に見つかりいきなり背後からウンディーネにより激流で流されてのされたのだ、問答無用に。

 

で、暫く路地裏で気絶していた、夕菜の捨て台詞は「邪魔者(浮気相手候補)の排除は妻の正当な権利ですから、玖里子さん安らかに眠ってください」だそうだ。

 

復活に瑠璃より手間取り遅くなったのだ、復活した時、激流の中薄れ往く意識の片隅で確認した加害者に殺意を胸に秘めて。

 

で、報復としてさっきまでの恨みがあるのだろう、ネットに絡まって目を回している夕菜に符を投げて貼り付け金縛りを掛けていた。

 

どうやら晒し者にする気らしい、助ける気は欠片も無い、それどころか本心から晒し者になれとばかりに、風を駆使して夕菜の着衣を乱れに乱したりしていた。

 

女の玖理子が同性に其処までするのだから目覚めた殺意はかなりのものだったのかもしれない、ちなみに夕菜は目が覚める前に誰かに運び出され、そこらの道端のゴミ捨て場に捨て置かれたという。

 

勿論際どい姿で。

 

彼女は襲われる心配など欠片も無いだろうが、というか襲った相手の生命の心配が必要、もしかしたら謎の投稿雑誌に目隠し付で掲載されるかもしれない。

 

彼女を見かけた不届きな輩のせいで。

 

 

 

 

 

B組女子トリオの場合。

 

一日中怪しげな目で和樹を見つめていたのはこいつ等であり二名ほど和樹の浮気相手を自認しており、一名が真の恋人は自分と声高々と主張している女の子である。

 

ちなみに浮気相手を自認するは松田和美、高崎涼、真の恋人と主張するのは杜崎沙弓。

 

どれも標準以上の美少女で三人とも和樹に喰われている、望んで食われたのもいるが、というかぶっちゃければ全員が望んで喰われている。

 

彼女たちも勿論実家から和樹に関する情報を伝えられ向かわされる命は受けていたがたが、家の事情なんて知ったことじゃないとばかりにその情報にある種の危機感を募らせ、ある決意を胸に参戦した連中である。

 

つまりは他の家の連中に和樹を盗られるぐらいなら自分の手にという、正直な願望を持っての参戦だった、結果は一緒とか言う無かれ最愛を他人にやるようなことは看過できないし、やはり自分も最愛が欲しいのだから。

 

で、身近な敵の三人がB組らしく潰し合って、ボロボロになるまでたどり着くまで妨害を繰り返していたりする、一応聡明な彼女たちが今争うとほかの女に遅れをとると気付いて一応休戦して駆けつけたのであるが、気付いたのがこのマンションの前である、気付くのが遅い。

 

只この三人は揃いも揃って将来は式森と名乗れるようになることを目指しているのであり和樹を婿にとる気など欠片も無かったりするので、家の連中の思惑など既に瓦解している、婿に取らなければ自分の家に取り込むという形式ではなく、自分の家に娘が取り込まれるという形式になってしまうのだから。

 

まぁ、どうでもいいことではある。

 

約一名事情は異なるし。

 

 

 

 

 

ある金髪爆乳教師の場合。

 

式森和樹のクラス、B組の副担任、別名“腐海に降り立った天使”とか呼ばれている但し他のクラスには、担当クラスの生徒からは“天使の仮面をかぶった悪魔の使い”等と本人を端的に表す名称が流通しているお姉さん。

 

金髪、巨乳を越えた爆乳、ちょこんと乗った眼鏡、童顔とも言える美貌、モデル張りのスタイルと男の願望を集約させたような美女、ある悪癖を無くせばという条件もあるが、非常に人のいい善人でもある、B組の副担任などを押し付けられる人種にしては。

 

さてこれほどの美貌の持ち主、我等が和樹君の食指が動かぬか、否、否、否、否である。

 

動かないわけが無い、かなり美味しく頂いているというか以前に凛に浮気がばれた時、ほんの二週間前だが、そのときの相手がライカである(ライカの香水の匂いでばれました)

 

和樹、ライカの二人は凛、魔道書二人を除けば最もその手の男女間の交際の深い相手でもあったが、よく二週間前までバレなかったものである。

 

その金髪女教師が何故にボロボロかというと、今のうちに仕込んでお姉さんの豊満な肉体から逃げられないように調教、もとい教育しようとあの手この手の色仕掛けで落とそうとしているのに、鬱陶しい小娘達が自分の獲物を掠め取るような情報を手に入れ、同じように危機感を募らせた、やっぱり和樹の浮気相手、紫乃と担任の伊庭かおり、本人はネクロマンサーと吸血鬼と主張するやっぱりライカと方向性は違うが美女が和樹の方向に向かっていたのだが。

 

あんた達聖職者?という疑問はこの場合スルーするとしてと、誰が始めたのやら、やっぱり潰し合いが勃発、かおりは銃、紫乃は怪しげな薬品、ライカは剣を用いた真剣勝負。

 

死闘の末、ライカの両手に構えた短剣、銘はサンダルフォン,メタトロンによるライカの剣技“スラッシュ・クロス(十字断罪)により物理的に沈黙させて駆けつけたのである、一応片刃の剣による峰打ちなので加減はしているようだが。

 

ちなみにこの二人が目を覚ましたのはかなり後だった、この二人の今回の参戦は無い。

 

 

 

 

 

で、瑠璃を含めたこの六名の言葉がそれぞれ。

 

瑠璃「式森さん。私覇道瑠璃、貴方に婚姻を申し込みに参りました、依存ありませんわよね、私の初めての人。そうですわ将来覇道と式森、どちらの姓がよろしいでしょうか」

 

と何かを誘うような目と、拒否したらわかっていますわよねという目が混在した瞳で見られ、最後の台詞に和樹の背筋が寒くなったりと。

 

因みに瑠璃こと姫さん、彼女の家は覇道財閥と呼ばれるアジアでも随一の財閥で彼女は後とり娘なのだが嫁入りしてもいいのだろうか、嫁入りしたら式森財閥とでも名を変更でもさせるのか、やりかねないという人格を保有しているからその辺は本気かもしれない。

 

玖里子「凛ちゃん、和樹貸して、もしかしたら私に夢中になって帰らないかもしれないけど。その時は凛ちゃんを私のところで養ってあげるから」

 

主に凛に喧嘩を売り。

 

沙弓「和樹、私達今日こそ夫婦になりましょう、そんな貧相な泥棒猫の体じゃ不満でしょ、私の豊満な体で楽しみましょ。ほら、早速ベットに。あ、中に出してもいいから存分に楽しみましょ」

 

それこそ本気の目でそう言うのが怖いのだ、男としては。

 

涼「式森、神城、一緒に快楽の夜を堪能しよう、私は二号でも三号でもいいけど」

 

何も言うまい。

 

和美「こんな色欲塗れの連中に汚されちゃ駄目よ、式森君騙されないで、私と真実の愛を」

 

何気にプラトニックですよねこの人。

 

で、最も問題ある人。

 

ライカ「和樹ちゃん(教師でちゃん付けで男子呼ぶのは拙いと思うのだが)、いけません、いけませんよ。そんなに女の子を囲ったりしては女の子を悲しませます、悲しみは人を成長させますが不条理な悲しみは人を病ませますと神様はおっしゃっております。勿論浮気とは不忠の極みですとも、つまり本気であれば問題ないわけですけど。ついでにお姉さんは本気ですよ、それはもう何でもしてしまいそうなくらい。つまり私が言いたいのは、私のバージンをいいように貪った色狂いのロクデナシの節操無しのキス魔のバトルジャンキーの和樹ちゃん、責任とってお姉さんを貰いなさい・・・・・・・・・首輪をしてあげてもいいから」

 

神様を盾にして自己主張を肯定する発言はやめなさい、神様は嘆いておられます(喜ぶかなキーやんなら)、それに最後の発言は人間として問題が在りすぎます。

 

一応は教師、あんたかおり以上の不良教師になる気ですか。

 

で、六名の言葉と行動を纏めると“結婚して、私を選んで”とされる。

 

 

 

 

 

勿論、歴代和樹君の浮気相手(殆ど現在進行形)+候補に凛ちゃん不機嫌マックス、刀を振り回さないだけ理性的。

 

今のところは妙に暖かい微笑で未だ抱きついている腕をかなりの強さで抓りながら凍える瞳で和樹を見上げている、その程度で済んでいるのがいいことなのか、それともこれは嵐の前のことなのか。

 

まぁ、凛も浮気に関してはある程度は諦めてもいるし従者たるエセルは多少不機嫌そうだがマスターの行動癖など分かっていますとばかりにやはり諦めた目で和樹を見上げていた。

 

(マスター今日も私はお預けですか)どうやら自分の順番が遅くなるかもしれないことを憂いているようだ、諦めたのもそっちのほうか。

 

そうだとしたら完全に浮気のほうは諦めたというところだろう。

 

アルは同情するように自分のマスターの肩、つまり凛の肩を叩きつつ責めるように和樹を見上げていた、心から同情しているかどうかは怪しいものだと思うが。

 

何気に主人に忠実そうでない精霊のアルだから。

 

 

 

 

 

勿論和樹の居心地は凛が怒り狂って暴れたときよりも悪かった、そのときも原因は浮気。

 

 

 

 

 

で、いつまでも外ではなんだからと和樹の億ションのなかにご案内。

 

因みに彼女たちも和樹の家に入ったことがあるのは半同棲中の凛と魔道書コンビのみ、つまりは完全に彼女達のテリトリーであり、室内に入って明らかに凛の私物であろう物を見て女の子たちの目線が微妙に怖くなったのは余談。

 

何故にリビングに寝巻きが散乱しているのですか、凛の私物っぽそうなものが辺りにあるのですか、他にも色々と。

 

勿論エセル・アルの私物もあるし女性用の箪笥の中にはアルの下着の分まである。

 

 

 

 

で、その見せ付けるような愛の巣のような他人の同棲中の部屋に招かれた客人に対して、嫌がらせなのか躾がいいのか態々凛がお茶をいれて振舞っていたが、手をつけた皆さんは揃って渋い顔をしていた、恐ろしく濃い。

 

飲めるだけましなんだよ、この点には凛ちゃん悪気無いから。

 

 

 

 

 

とまぁ、落ち着いたところで、ぜんぜん落ち着いてない、というか段々視線がきつくなっている。

 

「さて皆さんご存知でしょうがあと一年もすれば式森凛と名乗る予定の神城凛です、お見知りおきを」

 

のっけからストレートかよ凛ちゃん。

 

ピキッ

 

絶対にそんな擬音がした、和樹は後に語る。

 

「マスターの第二夫人予定のエセルドレーダです」

 

「同じく第三夫人予定のアル・アジフじゃ」

 

ピキピキピキッ

 

絶対に聞こえたと和樹は主張する、勿論発生源は微笑んでいる美女&美少女6名、一番目が怖かったのは言うまでも無くインモラル教師と姫さん、沙弓。

 

只、先程貧相とか何とか行っていたので意趣返しと人の男に手を出そうとすんなという意思の表れだろう、些細なことである、多分。

 

凛ちゃんのかわいい自己主張である、可愛いかどうかは人の主観に拠るだろうが。

 

可愛いと思う、多分、不敵な凛も。

 

勿論言われっ放しで我慢するような殊勝な女達がこの場に居るか、というかそれ以前にそんな謙虚さもっていればここにいるまい、真っ先に火を吹いたのが。

 

「何を言っているの神城凛。和樹は私の夫よ、そもそも私が和樹の婚約者だったのに、というか今でも私じゃない、横から掻っ攫った癖に。泥棒猫の典型小娘が」

 

怒り心頭で立ち上がって凛を睨み付けている長身の美女、杜崎沙弓。

 

因みにマジ、式森家と杜崎家、本当に婚姻の約束は出来ているし沙弓は数年前まであと少しで愛しの和樹君のお嫁さんになれると信じていたのだ、勿論諦めてなどいないが。

 

この三人は些か特殊、式森、神城、杜崎、ドレも九州の旧家で退魔を生業としているが式森、杜崎の家は仲がいいんだが神城は他と仲が悪かった。

 

子供の頃はこの三人で仲が良かったのだが、家の都合が成長するにして出てきて、和樹と仲良くする凛を神城が押さえつけ引き離そうとしたんだが、まぁ、妨害されるほどこの手の感情燃え上がるもので凛ちゃん実家から現在家出中、和樹がこの葵学園に通うようになってから和樹のマンションに住み着いてこの年から寮に移ってはいたが殆ど同棲。

 

どこで魔道書手に入れたのかは秘密。

 

因みに凛が和樹のところに転がり込んだのは中学三年生の頃からであるが、その当時から彼女は和樹と寝室を共にしていたとかいなかったとか、唯一つだけ断言できるのは学生組みで一番年若い凛がある特定行為の経験値に関してはこの中で一番であると。

 

で、話を戻して婚約者としての乙女の夢を凛に泥棒猫よろしくかすめ取られた沙弓、和樹を追いかけて葵学園に来たが、必然的に凛と再会したわけだが、それはもう仲が悪かった、実家同士の仲の悪さなど問題ないくらい。

 

今現在は凛が沙弓のほうに目線を送りつつ自分の隣に居る和樹にしな垂れかかって挑発していたりする、勿論心の底から過去自分と仲良くしていた筈なのに裏切って(裏切ってはいないのだが)自分が好きだった和樹を独占しようとした友人に対する当て付けが目的で。

 

さらに。

 

「家の決めた約定など知ったことですか、式森は私と愛し合っているのです。例え一時の情欲に流され相手を務めた女の戯言など問題ではありません。それに、婚約を盾にしか迫れない女が夫などと口走る妄想など、相手をするまでも無いですよ。ねぇ沙弓お姉ちゃん」

 

言うね、凛ちゃん。

 

以前の親友も男の前ではライバルですか、原作で手を握るのも恥ずかしがっている君はどこに行ったんだい、しかも最後に以前の呼び方で呼ぶ当たり皮肉が効きまくっていないか。

 

ちなみに完全な余談ではあるが家出するとき和樹と二人して追ってきた神城家の追跡と神城駿司を半殺しの目に合わしてして本家に送り返したそうな。

 

なおこれは既に家出ではなく駆け落ちという、式森も家は認めているんだけど。

 

それはさておき。

 

反論された沙弓はというと、それはもう怒っていた、まぁ、置いておこうなんとか殴りかかる寸前で堪えている様だし、怒りの言葉を出す前に次の方達が出ていたし。

 

その方達の行動が沙弓の怒りを吹き飛ばすには十全すぎるものであったし。

 

「式森さん、瑠璃を捨てるんですの。初めての瑠璃を蹂躙しつくしたのに」

 

目を潤ませて迫ってくる姫さん、何で胸元を開けるんですか、しかも何で下着を着けていないんですか、ボロボロの制服から零れる白い果実が・・・・・・・・・じゃなくて。

 

「式森、じゃあ私第四夫人でいいから、宜しく」

 

ちゃっかり自分の立場確保をしている涼、どうやら正式に妻になるとかその手の事に関してはどうでもいいようだ、しかし何でスカート履いてないんですか。

 

「式森君、沙弓なんかに囚われて辛かったのね、私が癒してあげる、だからせめて第二夫人」

 

何気に友達を引き合いに出す和美、ちょっとエセルの眉が上がった、ちなみに何で舌なめずりして、和樹君のズボンに取り付くんですか。

 

しかも何でその右手は怪しく何かを刺激しているんですか。

 

「あんた、何人に手出してんの、和樹」

 

この場の唯一の理性玖里子、呆気にとられている。

 

そして悪癖を出したお姉さん。

 

「和樹ちゃん、和樹ちゃん、和樹ちゃん!!!!移り気なだけで女の子にだらしない男の子と思っていたのに、お姉さん和樹ちゃんはノーマルだと信じていたのに、なのになんですかこれは、婚約者と恋人の三角関係、ドラマじゃないんですよ、しかも婚約者なんてうらやま・・・・・ゲフン、ゲフン。そんなことよりこっちの女の子はなんなんなのですか、和樹ちゃん、女子というのは成長に時間の掛かるものなんですよ。それをこんな年端の行かない少女を囲って自宅にはべらせるだなんて。あああっ、もしかして泣き叫んでいるのがいい、それとも既に調教済みで自分から求めてくる。そういうプレイが和樹ちゃんの願望ですか。そんなの中東のハーレムですか。神様は嘆いています、神罰ものです、神罰が下らなくてもお姉さんが許しません。犯罪なんですよ、以前から鬼畜属性だとは思っていましたが、それ以前に和樹ちゃん巨乳フェチのはずなのに(私が調教したはずです)、実情はロリコン、ペドフィリア属性の変態、鬼畜だったなんて。あぁ性犯罪者に毒牙を掛けられた私をどうしろと。そうですか、いいでしょう私も教師です、私の体を捧げて和樹ちゃんを正しい道に戻してあげます、じゃあ和樹ちゃんこのマンションの寝室どこ、お姉さんが手ずから教育(調教)をハート」

 

いそいそと上着を脱ぎ上半身裸で和樹に迫るライカ。

 

ライカ節爆発、これさえなければいい人なんだよほんとに、後妄想癖もだが、ちなみに和樹君はあまりのことに自分のせいだが泣きたくなりましたとさ。

 

でも君に泣く権利は多分認められていないと思う、絶対に、鳴かせる権利は大いに認められているんだろうけどね、理不尽なことに。

 

 

 

 

 

勿論収拾などつくはずもなく

 

凛と睨み合いをしていた沙弓も事態に気付き、凛は激怒したがいつの間に脱いだんだという速度で沙弓は下着姿で和樹に抱きつき。

 

最早止められんと諦めた凛が半泣きで「お前が愛しているのは誰だ」と和樹に迫り。

 

アルは、ため息をつきつつちゃっかり和樹の頬に口付けしていたり、エセルは最近の鬱憤を晴らそうと何故か恍惚とした顔で和樹の下半身に取り付いて。

 

結局、凛、エセル、アル、沙弓、ライカ、玖里子、涼、姫さん、和美の順番で全員とやりやがったこの性欲魔人、流石に太陽が黄色く見えたそうだが。

 

 

 

 

 

ちょっと作者、私こんなロストバージンなの、二人っきりで高級ホテルの夜景を見ながらって言う私の夢は、ロマンの欠片も無いじゃない、出て来い作者ぁっ!!!!

 

何故か玖里子が符を持って暴れております、作者は一切関知いたしません。

 

 

 

 


後書き。

 

改訂版、魔眼、前回とは魔眼も種類から性質から変えていくつもりです。

 

それに、ナイア、執事さん、暴君、ハルヒ、可奈子、鶴子、はるかはもっと早く出そうかなっと思いつつ出ないんでしょうけど、前作通りくらいでしょう。

 

改定後参入キャラとして予定するのは、割烹着の悪魔、人類最強の赤色、策師、ジグザグ、葵井巫女子、春日井春日、ミスブルー、ミスレッド、殺人鬼、殺人貴、アルク(白のお姫様)。カレー先輩。りすか。千賀三姉妹。マンイーター。カーニバル。英雄王。人間失格。欠陥製品。死線の青。両儀式などです、この辺は考えているだけですけどね。


ネクスト


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