第一話 ご懐妊+帰還+正妻+妾+愛人+鬼畜王

 

 

 

題名どおり誰か妊娠しています、さて誰でしょう、最初の人物紹介の時点で分かった人はちょっと吃驚です。

 

 

 

このお話九峪が火魅子を再び女王の位置に据え現代に帰るところから始まります、と言うかぶっちゃけ九峪+一名は帰って時の御柱に入っちゃっているし。

 

そんなところから物語の始まり始まり。

 

 

 

 

 

厳粛な雰囲気で救世主、神の御使い、復興の立役者である九峪帰還の儀式は執り行われていた、執り行うは新たな火魅子、星華。

 

既に九峪は火魅子が召喚したときの御柱に体を埋め、彼に付き従いし唯一の従者もその中に体を消し儀式は終盤に差し掛かっている、後は九峪を九峪の居た世界に戻しこの世界から消え去る最後の締めを行うのみ。

 

術式は成功、新たな火魅子は火魅子としての相応しい力を持ち、時さえ越える秘術を使いこなし、其の秘術をもって大いなる恩人に恩を報いる。

 

火魅子とて、九峪を返すことに呵責が無いわけではない、永遠にこの時代、この場所に、自分の近くにいて欲しいと言う望みが無かったわけではない、だが九峪はあまりに大きな存在になりすぎた、この場にこの時代に自分の隣にいるには大いなる存在になりすぎた。

 

よって彼はもといた場所に戻るが相応しい、彼の伴侶を伴って。

 

まぁ、まるで余談なのだが彼と共に帰る伴侶を決定する際かなりの悶着があったのだがその辺は割愛する、詳細に描写する機会があるかもしれないが、今現在ではそれほど重要でもない。

 

只この時、最後の最後で周りの人間も天魔鏡のキョウも当の九峪でさえ予想してはいなかったのは九峪が入った時の御柱に何人もの女性が後を追ったということ。

 

それはもう猛然としたダッシュで、周りの人間が止める間無いほどの勢いで、最後の一人が入った瞬間光の柱は消え去ったのだから、追いようもないし、まず九峪が行ったあとではどうしようもない。

 

自分がいた時代を完全に指定できるのは其の世界の住人である九峪のみ、再び火魅子が秘術を執り行っても時の迷子になるのが落ちだろう、つまりは誰も彼を追いかけることは出来ず誰も彼女達を連れ戻すことは出来ない。

 

結果、九峪が帰る儀式をする前よりかなりの女性が減った祭事場で出遅れたというか出し抜かれた女性達が憤慨していた、因みにこの中には九峪の同伴者として付いていこうとした人間はいたのだが本当の意味で出し抜かれた連中も数人存在していたりする。

 

姉妹同然に生活していた人間に裏切られ完全に取り残された火魅子たる星華は地団駄を踏み、其の火魅子の位に相応しくない悪口雑言を吐き出し暴れ狂い。

 

ウサギの耳を持った豊満な肉体の姉妹は抜け駆けした姉に呪い事を呟き、特に次女のほうが八つ裂きにしてやるとか、私のご主人様をあの馬鹿姉になどとかもし本人が聞いていたらリンチでもされそうなことを口走り。

 

双子同然に生活していた片割れが飛び出したのに心から祝い、この娘は純粋に祝福しただけだったが、心の底で片割れの幸せを祈っていたりするんだから中々美しい姉妹愛ともいえる。

 

内心「あれだけ焚き付けたんだから、行ってもらえないとこちらとしてもねぇ」、つまりは貴女は焚き付けたと。

 

自分たちの直属の上司が同様の行動に走って呆然としている際どい衣装の部下が大量にいたり、因みに一番近くにいた副官はあまりのことに意識を飛ばしていた、もう一人の副官は微妙に悔しげではあった。

 

ある酒飲みの女性は隣にいた弟分を八つ当たりなのか容赦の無い暴力を振るっていたりしたし。

 

他にも色々面白いリアクションをとるものもいたが割愛、きりが無い。

 

いや、マジで。

 

 

 

 

 

で、九峪が帰るべき現代、一巻で九峪が消えた発掘をしていた遺跡にて(作者は小説版しか知りません、よってゲームオリジナルのキャラは出てきませんし炎戦記のほうのキャラも出ません)

 

突如光に包まれて現れた数人の人影、其の人影は力なく光の中から地面にくず折れ倒れこんだ、移動の際のショックで意識を失っていたのだろう。

 

其の人影の中には九峪は勿論いるが、それは当たり前、全てが終わったら帰るのが前提だったのだし、戦争が終わると基本的にはあの世界ではやるべきことのない九峪が帰るのは自然の成り行きとも言える、帰らねばならない事情などもあったがその辺は割愛する、愉快な話ではない。

 

問題なのは九峪が移動のショックで気を失っているときに九峪同様突然そこに現れた複数人の女性、勿論先程飛び込んだ女性陣であるが九峪同様気を失ってはいる、どうも移動で意識を保つのは困難なようだ、それでも呼吸などは穏やかなので肉体的には問題なさそうである、当事者、九峪にとっては予定外だろうが彼女達に異常が無いことは僥倖だろう。

 

これで何か以上でもあれば九峪としては目も当てられない。

 

九峪の最も近くにいた女性は九峪に寄り添うように倒れていた。

 

長い髪をポニーテールにして、端正な顔立ちにやたら露出の高い皮製の乱破装束を着、鍛えられた体を持つ美女、清瑞、元々は九峪の護衛を勤めていた女傑であり、唯一、九峪の帰還に同行することになっていた九峪の恋人、いや正確には九峪の妻、よって彼女が居るのは必然。

 

元々同時に手をつないで時の御柱に入ったのだ、彼女が居なければ目を覚ました九峪が恐慌を起こすかもしれない、それだけ九峪が彼女を慈しんでいる証拠でもあるのだろうが。

 

因みに清瑞が帰還の同伴として来る事になった経緯は様々だが相思相愛であり、なおかつ既に彼女は彼の半身といえるほどに関係が深かったことだろう、閨も何度も重ねているし、肉体的、精神的結びつきも強い。

 

といえば話が綺麗に聞こえるが決め手になったのは伊雅に清瑞との関係がばれ、半強制的に婚約状態、清瑞が其の立場を利用し勝利を収めたといったところだろう。

 

実際彼女は復興国の中では九峪の妻として認知されていたのだから、周りからも同伴には問題ないと言う意見が多かった、しかも彼女は安定した時代ではそれほど仕事の無い忍、無位無官の彼女が女の幸せを求めてもいいだろう。

 

勿論清瑞との婚約の際(反対派の女性はかなりの数に上ったそうだが)には彼女の父親とされる人物から、其の申し出を承諾するのに迫られた、刀をもってと言うか武力をもって、清瑞を嫁として貰うか折檻を受けるかと迫られた、あの娘馬鹿の親父に、この時点で決定していた出来レースだったともいえる。

 

何だかんだで正妻は強いのである、離婚裁判の時でも。因みに最後の台詞は戯言。

 

実際、帰還が決まった際、九峪としても最近めっきり関係の深くなった清瑞をどうするかは悩んでいたのだが、帰らなければならないが清瑞を連れて行くのは忍びなかったらしい。

 

現代に連れて行くということはこの世界の全てとお別れを意味しているから、脅迫(父親に)されたのを切欠に清瑞について来るかと聞いたのは九峪からだった、殆どプロポーズなのだが。

 

一緒に自分の世界にきて生きてくれなんて言う趣旨の台詞は九峪としてもそのつもりで言ったのだから何の問題も無いが(結局のところ同伴者の争奪戦は、同伴者を決めるのは九峪なので、彼の意思一つである。九峪へのアプローチ合戦となったのは言うまでも無いが)

 

その時、清瑞は涙を流して喜び、二つ返事で頷き九峪の世界に行くことを返事したらしい、もう一人の交際相手も、因みにもう一人の交際相手は先程飛び込んだ面子の中にいるのだが、このもう一人は九峪と清瑞も承知していた、事前に打ち合わせをしていたのだから知っていて当たり前だが。

 

結果ここに清瑞ともう一人がいるのはおかしくないと言うか当然、確定事項、いないと問題。

 

 

 

 

 

問題なのは残りの八人−一人。

 

永遠のロリっ子、絶対十歳以下と言えそうな容姿と肢体、最も目立つのはそのうさ耳(本物)、魔兎族の兎華乃、真っ先に光の柱に飛び込んだアグレッシブな見た目幼女、と言うかいいのか魔人この世界に飛び込んで。

 

戦闘能力なら最強に位置するが魔人が現代社会に適応できるのか。

 

次いで眼鏡の知将、インテリ系の美人さん、体型はスレンダーといえるが胸は無い、宗像の亜衣。

 

星華の後見人だった筈では、確かに火魅子にすると言う目標は叶っただろうが、復興国の宰相としてならしていた立場はいいのか、でも案外現代生活には適応できそう。

 

さらに亜衣の妹、恐らくこちら側に来た人間では一番の常識人+家事能力高しだけど姉以上に胸は無し、宗像の衣緒、何で鎚持ってきているんですか、と言うか姉ともども何でこの世界にいるんだろう。

 

もう一人の妹はいいのか宗像姉妹。

 

何故に居る第二弾、知将ぶりならば九峪を越えるかもしれない巨乳美女、但し露出過多のエロいお姉さん、天目、女の手管と言う利点なら彼女がナンバー1だろう、何故か普段の際どい衣装ではなく少し大人しめの服を着ているのが、それでも露出は多い。

 

仕事に部下はいいのか、放りっぱなしはあまりに無責任。

 

お姉さん系の常識人、但し踊り子の衣装を常時着用の美女、剣姫志野、人格面がマトモそうでまともでない典型人材、最悪の酒乱女。

 

一座はいいのか、元々根無し草生活だから現代にも適応出来そうな気もするが。

 

志野の妹分、こまっしゃくれたガキ、口は悪いがもしかしたら一途、人形遣い珠洲、何故か一番最初に飛び出し、体力の問題か柱に入ったのは二番手だか、柱に入るとき妙な舌打ちをしていた女の子。

 

彼女がなんでいるのかかなり不思議な状況だが、このssではあの性格は改善されているのか、適応能力はこの子もかなり高そうだ。

 

この人も何でいるんだろう、ワイルド系スタイル抜群お姉さん、格闘士織部、ホントになんでいるんだろう、彼女が一番そういった理由の探求では困難かもしれない。

 

でもこの人も案外常識人だからこの面子では苦労性になるのは確定事項か。

 

そしてもう一人の剣姫、真面目振りならこの面子では清瑞に次ぐか、伊万里。

 

多分女性の中では一番に苦労を背負っているんじゃないだろうかそんな予感がぷんぷんする、先ず現代適応は可能か?

 

総勢9名のお嬢さんである、なお人選は作者の独断と偏見です、というか好きなキャラで弄れそうなのを選考しただけ、何でこいつがいるとか、突っ込まないでください。

 

電波です、電波なんです、それ以外はありません、根拠はこの小説書いている時の精神状態のみが知っています。

 

 

 

 

 

まぁ、そんな九峪合わせて10人が深夜の遺跡跡に転がっていたのだ、深夜なのでこんな人気の無い場所誰にも発見されなかったのが幸いというべきか、発見されたら大騒ぎになるだろうから、色々な意味で。

 

それはこんな小説では気にする必要も無い、と言うか気にしたら何も出来ない。

 

 

 

 

 

真っ先に目が覚めたのは経験者の九峪、ぼんやりとした表情で体を起こしまだ目の冷めない頭で、周囲を振り仰ぎいまだ鈍い思考で周囲を観察する。

 

(ここは、帰ってきたのか・・・・・・あれは電灯!!)

 

そのはっきりしない視線の端に以前の九洲には無い、文明の欠片を見つけ、一気に思考が回復する、なかなかいい目覚めの刺激になったようだ。

 

(帰ってきたんだ・・・・・清瑞は、そしてあいつは)

 

帰ってきたのを実感して今度は自分と共に入った恋人と言うか既に奥さん決定の清瑞と奥さん公認の愛人を探しだす。

 

入ったときは紛れも無く一緒だったが、出るときまで一緒と言う保障は無い、と言うかどういう原理で移動しているかなど知りようが無いのだから不安を感じるなと言うほうが無茶だ、彼女達がいなければこの世界に戻ってきてもそれは無味なものだろう。

 

特にもう一人は一緒に入ったわけではないのだから。

 

といっても、清瑞はちょうど九峪の反対側にそれこそ少し手を伸ばせば触れるようなところにいたので探すまでも無いし。

 

もう一人もさらに後ろにいた。

 

いたのはいいんだが、何と言うか、その光景に問題がありまくりだった。

 

九峪はその問題ありまくりの光景を見て固まった、真っ白になったといってもいい。

 

それはもう九峪の背後には知ってはいるが、ここに居るわけ無いと言うか居るはずの無い人間が大集合、これで固まらないだろうか。

 

いや固まるだろうが、何故に清瑞達2人を連れて来た筈なのに、さらに七人も転がっているのか。

 

真っ白になって。

 

暫く思考停止し。

 

数分間硬直し。

 

それから何でこうなったか考え出して。

 

切れた。

 

「何でお前等がいるううううううううううううううぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!

 

吼えた、どうやら思考力の限界を超えたらしい。

 

と言うか想像はついたのかもしれないが、あまりの事態に脳がそれを受け入れるのを拒否したか、人間不測の事態には叫ぶか悲鳴を上げるかしかないのかも知れない。

 

因みにこの叫びの後また暫く思考停止状態となる。

 

なまじ原因が想像出来る分だけ来るものがあったのかもしれない。

 

 

 

 

 

で、その咆哮に目が覚めたのか、女性陣も起きだしてきた。

 

と言うかかなりの声量であったのだから気絶から睡眠に移りつつあった彼女たちを目覚めさせるには十分だったようだ。

 

真っ先に起きだしてきたのは、九峪争奪戦に勝利し(といっても特に何もしていない普段一緒に居た為いつの間にか両思いになっていた)、正妻の地位を得、妻として恋人として現代に同伴してきた清瑞。

 

まぁ、時間差なんてほとんど無くてゾロゾロ起きだしてきたのだが。

 

誰もが暫く思考が定まらないのか、焦点の合わない目で周囲を見回す中意識の回復は一番早かったようだ。

 

「あの、九峪様? どうかなさいましたか」

 

で、いまだぼんやりする清瑞が呆然としている九峪に気が付き、声を掛ける、因みに九峪以外の存在には気がついていない、気がついていたら彼女もここまでナチュラルに反応しないだろう。

 

ちょうど九峪が他の人間とは逆の方向に居た為だ。

 

只呆然としている九峪が気になって、九峪の視線が自分のさらに後ろに向かっているのに気がついて振り向くと、清瑞も思考を停止させた、幾らなんでも予想外だろう。

 

因みに同伴するもう一人は、後から時の御柱に入ったので、気がついたとき周りに他の人間がいたので微妙に拗ねていた、何と言うか邪魔者と言うかいまだライバルが多いのかという感情を込めて。

 

なんとなく九峪と清瑞の呆然とした姿に同情を覚えたとか覚えなかったとか。

 

 

 

 

 

で、清瑞の復活は若干早く、九峪が再び現世回帰するのと同じ頃に帰って、他の予定外の闖入者(天目達のこと)が意識を復活する頃には思考を取り戻していた。

 

突拍子もない九峪に一番付き合いが長い清瑞ならではの回復力かもしれない、何が起きても動じない精神力を強制的に養わされた思わぬ副産物、当初は嫌でも身に付けられたものでしかないだろうが。

 

九峪は未だに目の前の現実にショックを受けているようだった、何気に突拍子も無い当人が一番イレギュラーに弱かったりする、今この時においては。

 

 

 

 

 

暫くしてやっと現実を見つめる気がもてたのか、この頃には意識を確かに回復させた女性陣の前で困惑した顔で言葉を紡ぎだした。

 

「で、何でお前等が俺の居た世界についてきているんだ、帰り方なんてわからないんだぞ」

 

天魔鏡が無い以上、もう一度戻る手段は九峪の知識には無い、というか天魔鏡があっても妖しいのだが。

 

今は九峪が残り八名に問いただしていたりする。

 

九峪の問いに返したのは。

 

「えーと、九峪さんに付いて来てしまいました」

 

兎華乃、悪びれた様子がまるで無い、と言うか完全にのほほんとした調子で言っている、まるでそれが如何したと言わんばかりに。

 

まぁ魔人だからそれほどあの時代に執着が無いのかもしれないし、生命力も強いからどこででも生きていけると言う自信の表れなんだろうし、妹達も独力でやっていけるレベルだ心配するほどではない。

 

だが言われた九峪としては、こんな言葉も出ようものだ。

 

「付いて来ましたって」

 

そこで他の面子も兎華乃に続いて。

 

「まぁ、その私も端的にいうとそうなります」

 

なにやら歯切れの悪い亜衣、理知的な彼女がこのような感情的な行動は珍しい、彼女は本来自分を自制して見送る側の行動を取るのが常と考えられるような性格だ。

 

事実何故か顔が真っ赤だし、どうやら自分の行動が思い返すと恥ずかしいらしい。

 

「はい、九峪様、その、私も申し訳ございません」

 

やっぱり真っ赤な衣緒、因みに、ここにいる女性陣ある共通点があったり無かったり

 

「九峪殿、その何だ、責任はとってもらわんと、私としてもな」

 

普段尊大な癖に、妙にモジモジした天目、微妙に少女っぽい、人間では最年長のはずだが、少し頬を染めている、其の姿が似合っているのが妙に不思議な感じがしないでもない。

 

只、責任の辺りが意味深だし、その九峪を見る目が不安そうだ、だが天目って、こと恋愛に関しての経験値もしかしたら低いのかもしれない、体を使う手段は習熟していても、そこに至る経緯みたいのが生娘と変わらない可能性はありそうだ。

 

天目のような女だと、と言うか位だと普通の男は迫ってこないだろうし、あの性格なら男のほうが引きそうだ。

 

それを考えると女としては悲しい人生を送っていたのかもしれない、それは本人が断ずる問題なのだろうが、客観的に。

 

「天目さんの言う通りですよ、九峪様、その、えっと責任ですか」

 

微妙に責めるような恥ずかしがるような目の志野、衣装と相まって妖艶ですらある。

 

「そう、九峪は責任を執る義務がある、それを放り出そうとしたから取立てに来ただけ」

 

珠洲、言っていることは一番何と言うか直接的だか、完璧に拗ねた顔で顔を真っ赤にして九峪を睨みつける表情は可愛らしいを通り越して激しく萌え。

 

特に取り立ての辺りの羞恥に染まった表情は、べストオブ萌え(因みに作者は珠洲が火魅子伝の中では一番好きだったりする)

 

只、何故ニヤリと笑って九峪を見て、時折志野と清瑞以外の女を忌々しそうに睨んでいるのだろうか。

 

「お、珠洲いいこと言うじゃねえか、そうだよ、九峪様、責任は取らなくちゃ、勿論私にも」

 

ニタニタ笑いながら挑発的に胸を寄せる織部、何がそんなに嬉しいのだろう、妙に艶っぽい気もするが、こちらは妖艶と言うよりはやはりスポーティな感じが強い。

 

それに特定の楽しみを見つけたはた迷惑な人種の目だ、絶対に。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(真っ赤)

 

伊万里、口をパクパクさせて何か呟いているが聞こえない、脳内で何を展開しているのやら、普段は真面目だが、あっち方面は子供並と言ううわさのある彼女である、そう大した事ではないような気もするが。

 

と各自のコメントを頂いた現状で只一人コメントをしていない清瑞の視線がかなり怖いことになっていたが、九峪はそちらを見ることなく背中に脂汗を盛大に流していたりする。

 

現実逃避に走ったと言い換えられるかもしれないが、清瑞の視線の意味も嫌って程わかっているだろう、九峪としてはここにいる面子に思い辺りがありまくるらしい、ある特定行為において。

 

清瑞も何人かは把握していたが知らないのが居たようだ(しかもそれは九峪自信が嫌って程知っている)、九峪の生命活動が微妙に危険かもしれない、恋人の機嫌に比例して。

 

人これを自業自得と言う。

 

 

 

 

 

まぁ、端的に言うと、九峪が気に入っているからこの女性陣はついてきたと言うことらしい。

 

なんかトンデモ発言が続いているし、これからも続く。

 

「それに九峪さん、私のこの幼い体と変身後の体、上にも下にもどちらにも白いものを注いで下さったでしょう、初めてだったんですから、妾で十分ですから子を生しましょう」

 

兎華乃に手を出したか九峪、それにしても兎華乃の変身操れるようになっているようだ。

 

外見年齢にそぐわない艶かしい視線で九峪を見つめ上げている、どうやら色事に目覚めているのかその目が微妙に好色そうだ、因みに兎華乃は変身後の豊満な体で九峪の寝所に忍び込み誘惑したようだ、九峪が暫く兎華乃の体に溺れたことは秘密、かなり具合が良かったらしい。

 

この時点で清瑞の中で不機嫌度、レベル2、半殺しレベル。

 

「お姉様とで夜伽を勤めましたのに、それはもう奴隷のように扱って」

 

「九峪殿、私の肢体を貪るようにして無責任です、疼く体の責任はとって下さいそれに何か眼鏡がいいとかなんとかいって顔にばかりかけてらしたのに」

 

因みにこの二人は、襲われたのでも、夜伽を勤めたのでもなく、兎華乃と同じく、と言うかもっと激しく、九峪に襲い掛かったらしい。

 

どうも姉妹揃ってMらしいが、寝ている九峪に亜衣が口でいきなりやらかしたらしい、そして徹底した奉仕プレイ九峪が堕ちるのは早かった、二人掛りと言うのも堕ちたりゆうのひとつだろうか、それとも姉妹と言うシュチュか。

 

最後のほうは九峪もかなりやる気満々だったのだが、普段理知的な亜衣と苛めがいのある衣緒ツボだったらしい。

 

清瑞の不機嫌度、レベル3、全殺し確定。

 

「その、私も初めてでしたし、やはり最早九峪様以外は」

 

やっぱり一途な志野、君の惚れた相手につめの垢飲ませてあげよう、直るとは思えんが。

 

鬼畜王だし。

 

志野は雰囲気が良い時になし崩しと言うか、体を合わせた回数も一番少なかったりする。

 

で、恐らく一番問題なのは。

 

「九峪、私の体を上から下までいいように貪って、それこそ調教するような苛烈さで行為を連続させて、私が少しでも生意気なことを言うと、お仕置きだとか言って、無理矢理○○に○○を○○○んで、○のような姿勢で後ろから何回も、最後には白いのを飲ませようと」

 

していません、全部この妄想小娘、珠洲の妄想です。

 

やったのは上から下まで貪った辺りまで、珠洲に手を出したのは事実なのだが。

 

無理矢理の部分はかなり嘘です、そういうプレイを彼女が望んだことはかなりあったようですが。

 

 

 

 

 

さて何で、原作では九峪と犬猿のなかの珠洲がここまでついてきたかと言うと。

 

この子は何故か九峪をいつの間にか気に入り、本人もいつからとかは自覚が無いらしいが悪口を言ってじゃれているうちに好きになっていたようだ。

 

珠洲にしてみれば自分の立場を振りかざさず何を言っても流してくれる九峪葉かなり心地いい存在だったのかもしれない、だが気がついたら自分は嫌われるようなことを言いまくっているわ、やたらライバルはいるわ、そして自分は表面上素直になれないで、かなりスタート地点からやばい位置にいたのだが。

 

生来なのか単に短気なのか、それともストレートなのか、九峪を呼び出して裸で迫ったらしい、それ以外の手段を思いつかなかったと言うのが正しいかもしれない、それほど人付き合いすらうまく出来ない珠洲が、男女の駆け引きなど到底出来ようはずもない。

 

珠洲の脳内に九峪は助平と言うのがインプットされていたのも事実なのだが、その辺は事実なのでどうでもいい、実際鬼畜王だし。

 

因みに珠洲は十代前半、しかもやるとなったら手段を選ばないのか痺れ薬を盛って動きを奪ううちに純潔を捧げた、と言うか初体験が既成事実作りの為っていうのはどうよ。

 

一度想ったら一途なのだろうが、手段は選ばない性格だ。

 

だが其の思いは本物だったのだろうが、いや本物以外では有り得ないだろう行為の最中に痛みに耐え、泣きながら好きだと言う珠洲の姿はいやらしく幼く健気な感情の本流だったのだから、他人を求める、男を求める女の感情そのものだったのだから。

 

其の姿に当初はやめろとか言っていた九峪も折れた、因みに、珠洲は清瑞との関係とか知って迫ってきたらしい、九峪もこの時点では清瑞以外には手を出していない時期だったし。

 

それでも恋人にしてくれとしかいわず、一度心を許した人間に対する執着心は凄いものがあるようで、清瑞も折れるしかなかった。

 

ただ、珠洲に手を出したのは別問題と処され九峪が清瑞のお仕置きと称される我が侭をかなり付き合わされることになったのだが、内容は地獄の特訓から膝枕まで様々だが普段の主従関係が二人きりの間では崩壊していたとだけは書いておこう。

 

因みに珠洲への罰、清瑞からはなかったらしいが、なんとなく彼女がそこまで素直に自分の思い人に好意を寄せるのが嬉しかったらしい、何せあの珠洲なのだから。

 

で、戦争も終わり、九峪が帰らなければならない時期が近づいてきた頃、九峪に連れて行ってくれと泣いて迫り、珠洲が九峪と清瑞も説き伏せ、志野を諦めて付いてくるといったときの気迫は凄まじく清瑞も折れたのだ。

 

なお、この同伴に対して九峪には一切の発言権を与えられることは無かった、ある意味当然である、鬼畜王に発言権などあるはずがない。

 

つまりもう一人の同伴者と言うのは珠洲だったりする、志野まで飛び込んできたのは彼女にとっては嬉しい誤算だろう、珠洲としては志野も大切な人間には変わりないのだから。

 

余計なおまけも大量に付いて来たのは不本意だろうが。

 

 

 

 

 

「九峪様、私にもやっちゃったよね、気に入ってんだから、逃がさないよ」

 

酒に酔ってやってしまったらしい、但し織部ははっきりと意識があったが、つまりはそういうことだ、女は怖い、特に目的を得て、手段を選ばない種類は特に。

 

残りの伊万里は。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(かなり真っ赤)

 

最早言うまい、多分上乃辺りに唆されたのだろう。

 

 

 

 

 

で、最後に爆弾投下するのはこの方。

 

性格とか、キャラとか、存在そのものに似合わない、オドオドモジモジした天目。

 

雷、地震、台風、津波が一斉に来るより珍しいと思える少し気弱な天目。

 

それこそ、子犬のような目で周囲を見回し、より一層体を小さくして不安そうな小さな声で、小さな声だったが内容は核爆弾級なのだが。

 

「その、九峪殿の子がな出来てしまったのだ、私のおなかの中に今子がおるのだ。私だけならともかく父親不在ではこの子が哀れで、付いて来てしまった。その、九峪殿父親になってもらえぬか」

 

どうやら天目ご懐妊のようだ。

 

因みに天目は自分の才能、策謀を無駄にフル活用、何が気に入ったのか九峪陥落に力を降り注いだ、それはもう戦争の算段を企てる以上に緻密に頭を巡らした。

 

そしてかなり巧みに九峪を陥れて、肉体で迫ったのであるが、勿論天目は清瑞との中を知っていて自分から九峪が手を出させるようにしたのだから、天目との関係は九峪にとっては完全に浮気である。

 

無理矢理関係を作られたと言う形式よりも、双方合意の上と言う形に拘ったのは後のことを考えてだろう、ついでにこの時点では天目は九峪が元の世界に帰ることは知らなかったが。

 

のめり込んだのは天目のほうからで、策略は自分からドツボにはまってしまった感がある天目だったが、妾として九峪のそばに居れるものだと思っていた。

 

九峪が帰ると知った時は悩みに悩んだらしい、九峪に懇願して自分も付いていこうかと考えたのは子供の存在が無くてもよぎった事だろう。

 

だが天目は将軍職で事実上の復興国副王、彼女が率いる親衛隊もいる、其の全てを放棄して男に走るのは些か無責任すぎた、だが子供の存在と天秤に掛けたときに九峪を追う行動を選択させた、女としての母親としての選択。

 

其の選択は責任を放棄してしまえるほどには強かった。

 

まぁ、子供が出来た敬意は妊娠適齢期だったのも災いだろうか、天目から離れる寂しさを紛らわす為に九峪との体の逢瀬を数日連続でやったのが拙かったのか。

 

その辺の詳細は大した問題ではない、どうせ九峪がここまで自分に追いすがってきた女を無碍に出来るはずが無いのだから、と言うか渡る前に言われればそのままこちらに同伴するのは天目になっていたか、天目も加えられたかのどちらかだろう。

 

因みに清瑞、珠洲不機嫌度、レベル4、完殺決定。

 

 

 

 

 

周囲の反応は。

 

「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええええっっっっっ!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」

 

それはもう驚いたようだ、と言うか驚くなって方が無理。

 

あの、天目である。

 

策を巡らして、ほくそ笑む天目、部下を顎でこき使い、大胆不敵な天目がまず、弱々しい、こちらのほうが驚きのパラメーターの方が高かったりするのは余談だが。

 

子供が出来たと言うのも十分に驚きに値したのだがまずそちらに驚くのが天目の人間性を周囲がどう評価しているか判ろうと言うものである。

 

因みに天目といえ子を宿したのは初めてなので不安になるなと言うほうが無茶だが、それも自分が心の底から愛した男の子供、そして場所は自分が知らぬ秘境と変わらない新天地に男が離れそうなときに後をおって、二度と故郷に戻れない状況では。

 

不安を覚え、恐怖に脅え、臆病になる、それは当たり前の反応。

 

それに加えて人間絶対に守るものが出来たら臆病になるものなのだ、特に女性はその傾向が強い、おなかの中にいる胎児ならばなおのことかもしれない。

 

ここで性の話は問わないが、女性は本来守ると言う行動に関しての行動力は男性のそれをはるかに超える、動物においては子を育てている雌ほど凶暴で攻撃性が溢れた存在はよく見られる傾向なのだから。

 

凶暴性は子を害される恐怖から、攻撃性は自身の不安を奮い立たせるために、臆病さが行動を生む。

 

 

 

 

 

天目の一世一代の告白と言うかなんと言うかを受けた九峪はと言うと、刺すようなと言うか刺さっているに近い殺気をビンビン背中に受け(九峪主観)完全にあっちの世界に行っていた。

 

因みに現在の九峪の脳内世界には、赤ちゃんを抱いた天目とそれに寄り添っている自分の姿、其の九峪に対して殺気を発している女性陣、特に清瑞&珠洲だろうか。

 

(はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは)

 

九峪あまりのことに壊れかけていた。

 

 

 

 

 

で、あまりのことに壊れかけた九峪が現世回帰を果たしたのは、案外短い時間だったりする、いまだ返事をもらえない天目に不安そうに見つめられると、早々壊れてもいられないようだ。

 

九峪としては、生命の危険レベルにまで達した清瑞と珠洲の視線+残り6名の視線がとんでもなく怖いのでもう少し現実逃避に走りたかったかもしれないがそれでも九峪も男の子と言うか、腐っても神の遣いとして復興をなした総大将というか、この殺気の渦巻く魔界のなかで気弱げな目線を向けてくる天目の目を無碍にすることが出来るような種類の男ではない。

 

と言うかそんな男にここまで女の子達も慕わないだろうし。

 

刺されるような(誤字にあらず)視線のなか九峪は天目の目の前にまで移動して、視線の中で微妙に好奇心も混ざっているようだが、実際に其処までの殺気を感じているのは九峪だけなのだが、ほかの女性陣は興味が先にたっているほうが多いくらいだ。

 

いつかは自分もと考えていたし、正妻は清瑞、明日は我が身の女性だし、清瑞本人も自分の立場がそちらだったらと考えるそう強いことが言えるような状況でもない。

 

女性達は九峪の行動に静観を決め込み、其の視線が九峪にとっては殺意の波動となっているのだが、その辺は九峪の鬼畜王故の業だろう。

 

で、九峪はその不安そうな天目の傍らに座り。

 

「えっと、な、天目、いきなりで驚いたけど、何と言うか」

 

まぁ、いきなり子供が出来ましたといわれて即座に対応できるような男が居たらそいつは経験者だ、絶対に(何の経験者かはご想像を)

 

九峪は慌てた口調と言うかはっきりしない口調で答える。

 

九峪は未経験者というかこんなときの男に巧い言葉なんて出るわけが無い、と言うか出るような男は信用出来ない(妙な偏見はありません)

 

だが、殆どの男は慌てるし動転するのは絶対なのだ(断言、因みに作者はそんな経験ございません、と言うか言われてみたいと言うぐらい悲しい人生です)

 

「その、嫌なのか。この子の父親になるのは、その私と夫婦になるのは」

 

現在不安の塊の天目がその九峪の慌てた様子を拒絶と誤解する、完全に勘違いなのだが、どうも天目の思考がネガティブになっているのか悪いほうに考えが言っているようだ。

 

まぁ、無理も無いのだろうがこの状況で気丈に振舞える程の強さは彼女の人生で持ちえていない、戦いの強さが心の強さがではない、初めて立ち向かう困難に天目といえど普段の強さなど欠片も無いだろう。

 

実際、泣き出したいくらいの心境なのかもしれない、泣いて九峪に縋りたいのかもしれない、作者は男で子供も居ないからその心理は理解しようも無いが、全く知らない所で頼りの愛している男に自分が愛しいかどうかをたずねると言うような行為は。

 

もし嫌われたら、この世界で子供を抱えて一人きりだ。

 

そんな状態で、悪いほうに思考を向けるのは仕方が無い、涙を見せないで居るだけ気丈だと言える、叫びださないだけ冷静だといえる。

 

「そんなわけないだろ、その突然だったから動転して」

 

どうやら自分の言葉が天目を不安にさせたと気付いて九峪が慌てて訂正する。

 

九峪としては、自分の為にここまで天目が弱気になっているのが普段の天目を良く知っているだけに尚更、痛ましい、察してやれなかったことが悔しい、九峪とて好きで手を出した女性を残してきたわけではないのだ馬鹿みたいに甘い九峪が好き好んで自分の女の痛ましげな姿など見たくは無いだろう。

 

九峪という男が、おそらくここまで不安そうな女を受け入れないと言う答えはこれっぽっちも無いのだろう。

 

「そうか、そのすまん私も、何だ、怖くて」

 

九峪の答えに少し安心したのか、天目が嬉しそうに微笑む、綺麗に。

 

いつもの何か考えている笑みでもなんでもない、心からの微笑み、童女のような無垢な微笑み、不純物の無い表情。

 

恐らく人間の一生でそれ程見せる表情ではないだろう、其の涙を湛えた表情はそれ程に稀有で純粋な表情、故に綺麗で美しい。

 

そんな天目に九峪が言葉を続ける。

 

「だけど天目。勝手な言い草だと俺でも思う、お前と寝て,それでも清瑞とこの世界に帰ろうとしたんだし(帰らなければならない理由もあるのだが)。そのホントに勝手な俺に、お前が俺の子を身篭ってくれたのは確かに驚いたけど正直嬉しいし、俺の後を追ってここまでみんなが、天目が来てくれたのは嬉しい」

 

九峪がここでいったん言葉を切り、そして、天目の顔をいったん見て。

 

「勿論お前と夫婦になるのは嫌じゃないというか、嬉しい、お前の子供の父親にだってなりたい、責任だってとる。でも、俺は天目だけじゃなくて、その清瑞や珠洲に兎華乃、みんなをここまで来てくれたみんなも、その、なんだ、好きというか、帰るとき振り切ったはずなんだが。つまり天目だけを愛するってことが出来そうに無い、悪いとは思うがそれでもいいか」

 

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに喋ったり、真面目な顔で真剣に、そして済まなさそうに、色々表情の忙しかった九峪。

 

極論すれば、天目とも夫婦になるが、他のみんなも捨てられない、つまり浮気の公認を申している、何と言うか確かに女としては勝手な申し出だろう。

 

 

 

 

 

その九峪のプロポーズじみた言葉を言い終わったあと、天目は、俯いて肩を震わせ、嗚咽を漏らし。

 

「ははは、はは、うっ、くんっ、はっ、はは、はははは、んんっ」

 

泣いていた。

 

怒って肩を震わしていたのでもない、悲しみで泣いていたわけでもない。

 

天目は泣きながら笑っていた、涙を流しながら微笑んでいた、笑い声と、鳴き声の混じった嗚咽を漏らして、本当に嬉しそうに。

 

先程の微笑など比べるべくも無い、本当に心から溢れんばかりに笑っていた、先程の美よりもさらに美しい、クシャクシャに表情をゆがめた泣き顔なのに更に美しい。

 

泣いているから表情はクシャクシャのはずなのに,何よりも綺麗で、優しくて幸せそうな泣き顔で笑っていた、幸せそうに泣いていた、何の不安も無いと言うばかりに。

 

そして自然と天目の手は自分の下腹部をなでていた、何も心配はないと自分の分身に語り掛けるように。

 

愛しげに、幸せそうに。

 

 

 

 

 

「天目、そのどうした」

 

それでも俯いていては九峪には今の天目の表情は分からない、しかも嗚咽なのか笑い声なのか分からない声に不安になったのか。

 

自分の言葉が、本人も身勝手と自覚している言葉が、天目を傷つけたのかと不安げに尋ねる。

 

唯、この時まで周囲の女性陣はまだ何も言わず、静観を守っていた、先程の九峪の言葉に嬉しそうに頬を緩めているものもいたりはする、その頬の緩みから、今の天目の様子がわかっているのも居るのだろう、同じ女性でもあるし、同じ男にほれた女でもある。

 

まぁ、それでも恨めしげに九峪を睨みつけるのは居たが、それは致し方ない、それが人間の感情と言うもので、どうしようもないものだ。

 

まぁ、男の九峪が今の天目を察しろと言うのはどだい無理な話ではあるが、男なんてものはこういうとき女に振り回されるものだ。

 

その九峪の心配そうな言葉で天目が顔を上げて、その泣き顔のまま九峪に抱きついた。

 

九峪の耳元で呟くように言う。

 

「はは、心配しないでいい、嬉しいんだ私は。そんな九峪殿がこの子の父親になってくれるだけで嬉しい、それ以上なんて望んでなかったのだ。それなのに九峪殿は、本当に思った通りだ、ここで私だけを愛するなんて言ったら逆に愛想を尽かすところだったかもしれないぞ。いいのだよそれで、私だけでなくても他の皆も愛してやってくれ、私の望みでもある、それに私は二号なわけだしな」

 

最後はおどけた様な感じで、確かに正妻は清瑞なのだが。

 

珠洲がこれを聞いて居たら二号は自分、あんたは三号と主張したかもしれないが。

 

天目は嬉しくてたまらないのかそのときの表情は先程に負けず劣らず輝いており、九峪は抱き付かれているので見えないが、周りの女性が見惚れるほど透き通った笑顔で笑っていた、本当に先程から天目はどんどん綺麗になっていく。

 

そして九峪がなにか言おうと口を開く前に。

 

強引にその口に自身の唇を合わしていた、その直前に「ありがとう、私の旦那」と呟いて、それを九峪が聞いていたかどうかはおいといて。

 

まるで、映画のワンシーンのような光景だった。

 

 

 

 

 

で、幾らなんでも、その状態が何十秒も続くと他の女性陣も黙っていられないわけで(作者もいい加減シリアスラブロマンスを書くのは疲れるという身勝手なものもありますが)。

 

恐らくこの面子で一番嫉妬深く気の短い珠洲が割って入っていった、表情にははっきりと嫉妬のそれを浮かべて、若干羨ましそうに。

 

一分も他の女と自分の好きな男がキスしているのは幾らいい場面とはいえ耐え難いものがあったのだろう、と言うか居心地が悪いか、どうせあと何秒かの違いで他の女性が割って入っていただろうし。

 

「いい加減、見せ付けるのはやめて、天目。九峪は私のでもある」

 

まぁ、この「も」が珠洲なりの思い遣りなのかもしれない、以前なら口には出さないし素振りにも出さないが九峪が他の女(清瑞以外)と居たら刺すように睨んでいたものだ。

 

九峪も相手の女も。

 

それだけに、それなりに天目を珠洲は受け入れたのだろうが、それでもなんとなく悔しいらしい、何気に自分が一番に子供を作ってやると怪しい願望を持っていたようだし。

 

唯単に、九峪との間に明確な絆が欲しかったのかもしれない、彼女は孤独を恐怖する少女でしかないのだから。

 

そんな珠洲の言葉に続いて。

 

「そうそう、天目、二人の世界に入らないで。外野には目の毒よ、それとも見せ付けたい、何なら続きをしても構わないわよ」

 

兎華乃がニヤニヤと笑いながら天目をからかう様な調子で、もしかしたら本当に続きを見たいのかもしれない気もするが、この娘は見た目以上に年を取っているのでオバサンみたくこのラブシーンを楽しんでいたのかもしれないし。

 

九峪から体が離れた天目微妙に顔を赤らめて俯いている,どうやら恥ずかしがっているようだ、と言うかこれホントに天目なんだろうか、どうも先程から大人しすぎる。

 

「天目殿、その、おめでとう、としか言えないな。少し悔しいが、九峪様の言葉は私も嬉しかった。それに綺麗でしたよ先程の貴女は」

 

素直に感想を述べる亜衣、九峪の言葉は清瑞のことがある自分にも嬉しかったようだ、亜衣も今更九峪を独占する気は無いのだろう。

 

何となくM属性だからご主人様とかでもいいのかも知れないが、直接九峪にあの手の言葉を言われたのが悔しいのも確かなようだ。

 

「ええ、天目様、羨ましいですよ、それにお子様おめでとう御座います」

 

こっちも素直な衣緒、単純に天目の妊娠を祝ってくれているようだ、基本的に邪気の無い彼女だ本心からだろう、女として好きな相手の子を孕むのも羨ましいのは事実だろうし。

 

天目も衣緒の言葉に笑って返している。

 

「私は、ああいう九峪様が好きでしたから、だから貴方の言葉は、その、私も私だけを愛するなんて言ったら、九峪様を見限っただろうし」

 

伊万里、何気に台詞が初めて。

 

前回書かなかったが、伊万里は確かに上乃に仕組まれたのだが、それなりに双方合意と言う形で結ばれている、つまりは伊万里に対しても完全な浮気をやってのけている九峪、やっぱり鬼畜王。

 

九峪が帰ると言う時身を引いたのだが、最後の最後で諦め切れなかったのか九峪の後を追った、上乃に発破を掛けられたのは言うまでも無い。

 

彼女としても亜衣同様、先程の九峪の言葉は嬉しい限りだろう、無理矢理ついてきた自分を受け入れてくれるということは。

 

「私は人の世話とか慣れていますから、天目さん、困ったことがあったら言ってくださいね、これから大変でしょうから、私も子をなした事は無いですから、拙いですけどね」

 

どうやら天目の出産の心配をしている志野、ちと気が早い。

 

天目は静かに頭を下げていたが、素直に頭を下げる天目と言うのも稀有なものだろう。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(真っ赤)

 

今回、この状態に堕ちいったのは織部、どうやら他人のラブロマンスに免疫が無いようだ、キスの辺りからこの状態。

 

と言うか彼女は九峪とも恥ずかしいのかその手の雰囲気になることが少なかった、と言うか回避していたらしい、性格上、九峪ともかなり大雑把な付き合いだったようだし、本人はそれなりに真剣だったからここにいるのだが。

 

まぁ、酒で勢いを得てバージン散らして、その後も体の付き合いが主だったのだからしょうがないとも言える、どうもそういう雰囲気が生来苦手と言うかあがってしまうらしい。

 

肉体的関係では平気らしいが、精神的なほうでめっきり免疫が無いと言うか、弱いと言うか、なんとも不思議な性格の娘である。

 

 

 

 

 

で、最後に残ったのが清瑞、ある意味九峪を天目に寝取られたのが彼女かもしれない。

 

まぁ、珠洲が居る時点で、細かいことを言わないだろうし、今更自分の主人の性格を矯正する気も無いのだろうが、諦めているとも言える。

 

だって、結構九峪の不義を以前から把握していたし清瑞、まぁそれはそれでどうかと思うが、基本的に護衛の彼女が九峪の行動など手に取るように判っていたようだ、それはそれで内心面白くないところはあるのだろうが。

 

既に浮気性の男に惚れた自分の業だろうと諦めてすら居たらしい。

 

内心では今回自分でも把握してなかった織部等が出ているので少し腹を立ててはいたのだが(上記の不機嫌度がそれをあらわしている)

 

まぁ、ろくでもない女に捕まったのなら、手を出すくらいはするだろうが。

 

因みに、発覚するたびに九峪はボロボロになって清瑞に土下座して、彼女が満足するまで男として奉仕させられたらしいが。

 

何気に清瑞かなり、好き者らしい、その手の行為だけではなく色々我が侭も叶えてもらってもいたらしいが、九峪が普段恥ずかしがって口にしないような事等を言わせたりしたり。

 

諦めてはいるが、主導権を握るためにはそれはそれこれはこれということらしい、おおっぴらに浮気を赦すほど寛大なわけでもないし、其の度に自分が一番だと確認しないと不安なものもある。

 

因みに清瑞たちの世界では一夫多妻と言うのは珍しい話ではなく王族とか位の高い人間では当たり前のことであるので、現代においてそれほど禁忌の感情を持つこともなかったわけだが、それにどうも九峪からというよりは嵌められたという感が大きかったのが溜飲を下げる要因の一つなのだが。

 

この九峪の世界に行くことで少なくともライバルは減るかと思っていたらしいのだが、どうやら甘かったと言うか、自分が置いていかれるときを考えたら自明の理だなと思い返していた、飽くまで正妻は自分だということを譲るつもりは無いようだが。

 

それに先程の天目の不安そうな様子を見ていたら、子供のこともまぁいいかと思えたらしい、もし自分だったらと考えれば。

 

考えられないほど、彼女にとってはそれは恐ろしいことだったから、それを他人に耐えろと言うほど彼女は自分本位ではない。

 

まぁ、この世界についてきた時点で九峪が見捨てるわけが無いとわかりきっているのだが。

 

 

 

 

 

只黙っている清瑞に対して、天目は唯一自分から声を掛けた。

 

「その、すまないな、清瑞、お前としては・・・・・何と言うかな」

 

どうも歯切れが悪い、立場としては女房の目の前で子供が出来たといっていることと大差ないのだから致し方ないが、天目も引け目を感じざるを得ない。

 

「もういい天目、あのまま子を宿したままで九峪様の後を追うなとはとても言えんし。

九峪様はあのような方だ、皆が来た時点で遅かれ早かれだ。私が最初に身篭るとは限らんし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おめでとう、そのいい子を産んでくれ」

 

最後の言葉は純に懐妊の祝辞だったのだろう、清瑞なりの。

 

「ああ、いい子を産むよ、ありがとう」

 

それなりに争いも無く終結したりする。

 

 

 

 

 

 

わけが無い。

 

この面子基本的には九峪と言う人格をある程度理解していると言うか、どれだけライバルが多いと言うことを自覚している。

 

それに全員が九峪と肉体関係を持っているのだし、住んでいた世界の倫理観も現代とは違う、こういう事態になっても、納得する下地が出来ているといってもいい。

 

早く言うとそれを外れる人間が居ると言うわけで。

 

 

 

 

 

あの後、何かしら細々とはあったが、深夜で目立たないからいい様なものの、朝になって人が来れば、目立つと言うか現代では珍しい格好、一部露出が凄いのもいるせいで騒ぎになるだろう。

 

それを悟った九峪が遺跡からそれほど離れていない、九峪の自宅、それなりに大きい一軒家、因みに両親は海外勤務で不在(居たら面倒なので、都合のいい設定です)に移動することになった。

 

移動の際に、そんなに大きな町でもなく遺跡からほど近い郊外とあってそれほど目立つことはなかったのが幸いだが、以前の世界との差異に皆が驚いていたのは言うまでも無いが。

 

現代建築の九峪の家にもそれなりに驚いてはいた。

 

で、九峪の部屋に十人も入れるわけが無く。

 

リビングで思い思いに座していた。

 

 

 

 

 

やたら九峪が天目に気を使っているというか、腫れ物に触れるように扱うのがほほえましかったりするが、男からしてみれば妊婦なんて割れ物よりも扱いに困るものだろうが。

 

微妙に珠洲が天目の特別扱いに膨れて、九峪の隣に座っていた、以前のような悪態が表面上だけになっているのでそれなりに可愛らしい。

 

今は、先程九峪だけが出て買ってきた惣菜やおにぎり、サンドイッチなどで簡単な夜食を食べ、珍しい食べ物にもそれなりに興味深そうであったが、おおむね好評。

 

因みに時間を確認すると、1週間ぐらいしかたっていないようだった、どうも時間の流れが違う。

 

で、食べながら。

 

今後の相談(因みに九峪の家は資産家、これもご都合主義)

 

主題はやっぱり天目なのだが、この中で子供関連の知識を持っていたのは意外なことに兎華乃と伊万里、亜衣だけだった。

 

亜衣は巫女と言う立場でそれなりに出産に立ち会ったこともあるし、妹の羽江の世話は殆ど亜衣がやっていたので問題なし。

 

伊万里は住んでいた山人の集落で子供を取り上げる手伝いをしたこともあるし、労働力となる前は子供の世話などして手伝いをしていた。

 

以外に兎華乃は魔人の同族間だけではあるが子供の世話の経験があった、長生きの為それなりに経験があるようだ(やたら長寿のためだが)、妹二人を育てたのは兎華乃らしい、母親は未だ魔界に居るのかは不明だが。

 

他の面子は生活に追われていてその手の知識なし。

 

筆頭は軍人として生きてきた当の天目なのだが、母親になろうと言う人間が子供の知識は勿論、家事関連も知識が無いようだ。

 

因みに現代の生活の説明は九峪が細々としていると言うことで、その部分を描写すると面倒なので。

 

中には天目に。

 

「子供の名前は決まってるの」

 

「男の子と女の子、どっちがいい」

 

「私とも、子供作る」

 

とか、特に最後がヤバ気な発言もあったりするが(因みに珠洲、嗜めたのは志野)

 

それに続いて、兎華乃が「私とは」とか言って、その幼い肢体で妙に艶かしいポーズを取っってセックスアピールをしたりするが、清瑞がどついて止めました。

 

 

 

 

 

その日は既に遅いと言うことで、あまりたいしたことは話し合わずに眠りについた。

 

只、何故一人で自室に眠りについた九峪が朝になるとダブルのベッドの上に珠洲、清瑞、織部、兎華乃が全裸で幸せそうに眠っているのか大いに謎である。

 

九峪以外、天目は九峪の母親の部屋で眠っていたが、残りはリビングで雑魚寝していたはずなのに(夏だし、10人分も寝具が無かった、基本的に屋根があって掛けるものもあったので彼女たちにすれば十分な寝床、九峪は家主と言うことで自室に引き上げさせられたのだが)、どうも寝る前に数人が妙な笑みを浮かべた原因のようだ。

 

その結果が珠洲は下半身裸で九峪の足にしがみつき、腰を痙攣させ。

 

兎華乃は全裸(変身状態)でその豊かな乳房で九峪の頭を抱え込み(兎華乃は天上天下の棗真夜のように幼児と美女の二つの姿がある)

 

織部も下半身裸で上も引っ掛けるだけの状態で腰にしがみ付くように眠り。

 

清瑞が全裸で九峪の胸の上で、自分の乳房を押し付けるように寝息を立てていた。

 

マジに肉の布団であろう。

 

4人とも共通しているのは、寝顔がとても満ち足りており、体の彼方此方に強く吸われたのか赤い腫れた痕、特に乳房や首筋、太ももやお尻にあり、特に珠洲に多いのは問題ないだろうか。

 

そして特に清瑞の股間から流れ落ちる白い液体(一応4人とも危険日ではない)

 

どうも4人で夜這いを掛けたらしい、性格には珠洲、清瑞、兎華乃、織部の順で、清瑞以降はしている最中に乱入したのだが。

 

因みに清瑞が部屋に入ったとき、珠洲は九峪の下半身に顔を埋めて必至に頭を上下させていたとか、九峪がその珠洲の股間を指で愛撫していたりするんだが。

 

どうでもいいが、5Pで九峪、総回数何回シタ。

 

で、そろそろその極楽のような環境から目覚めようかというときに。

 

階下から、玄関を開けて飛び込んでくる音がしたとおもったら。

 

「あんた達誰なのよ!!!!!!

 

若い女の怒声が響き渡った。

 


 後書き

 

九峪の苦難父親への道改訂版第一話、以前に投稿した一話と二話をくっつけて内容を書き換えてとなりました、余り変わっていませんが感情描写などの精緻さが増したと思います。因みに改訂による新規参入キャラは今の所考えてはいませんがリクエストが多い場合は一考しますのでなんなりと申し付けてください。


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